「それじゃあ、はじめまーす。スタートっ!!」
スタッフがカチンコを鳴らし、カメラが回りだす。
このシーンは『レイン』が『エマ』を野薔薇が咲いているとこに連れて行くシーンなため、
青い薔薇が沢山咲いているようにみえるように作っており、景色などはCGを入れる。そこに二人は立っていた。
『エマ』がトゲがあるのに薔薇をとろうとするため、『レイン』がかわりに薔薇を切り取り、トゲを取り除いたあと彼女に手渡す。
「ありがとう・・・。」
彼女はお礼をいい、薔薇を受け取る。
「綺麗・・・ありがとう、連れてきてくれて。」
「・・・喜んでくれたみたいでよかった。」
「ねぇ・・・前、魔界には青い色の花しか咲かないって言ってたでしょう?どうして?」
「さぁ・・・なんでかな?理由はいろいろ言われてるけど、よく聞くのは、一日中、夜しかないからって話だね。」
「あ・・・そうかも。天界は夜がなかったけど、お日様が花を明るく照らしてた。それで色んな色がついたのかな?」
「多分ね?」
「くすくす、でも多分なのね?」
「うん、多分だから。」
話しがつきたが、二人の間に、柔らかい空気が生まれており、
「「・・・・・。」」
お互い黙り込むと、お互いを見つめ、『レイン』が『エマ』の腰に腕を回し、
彼女はそれを受け入れるが、下に顔を向ける。
「・・・前に話したでしょう?私の親友とその恋人の話。」
「うん・・・。」
「今・・・思うの。親友は堕天使になっていれば、私は・・・彼を殺すことはしなかっただろうって・・・。」
「エマ・・・。」
「堕天使になると、翼がなくなって、聖気もなくなって・・・人間みたいになる。だから、こうやって、あなたに触れられても弱ったりしない・・・親友が死んでしまうと思ったから・・・私・・・。」
「・・・言わなくていい。」
「私・・・親友の恋人を・・・。」
「言わなくていい!!」
「・・・!!」
「あ・・・ごめん・・・。」
『レイン』が怒鳴ったため、『エマ』が怯えた表情で彼をみると、彼は謝る。
「もう・・・止めよう。君は、十分苦しんでるだろう?」
「・・・・・・。」
「エマ、何も考えないで、俺をみて。」
また彼女が下に向いたので、『レイン』はそう言うと、『エマ』はゆっくりと彼を見る。
「俺がいる。だから・・・。」
「・・・ありがとう、レイン。貴方に会えてよかった・・・。」
彼は何かを言おうとしたようだが、言葉にするのはやめて、彼女を抱き締める。
抱き締められた『エマ』は彼の背中に腕を回した。
そして、お互い見つめあうと、二人はキスを交わした・・・。