もしも、ラブミー部が既に五年前にあったら

『あの・・・ボス・・・?』

まだ、「敦賀蓮」の準備中の久遠。まだ英語で喋っている。

「なんだ、久遠。」

『・・・こ・・・これは・・・?』

「うん?ああ、明日からお前が着るやつだ!!」

『・・・!?!?』

久遠はものすごく驚愕しすぎて、眩暈がする。

その理由は、目の前にハンガーでかけられている、服。

『い、いやです!!絶対にいやです!!ってか、死んだほうがマシだ!!』

彼がここまでいうのは、よくわかる。なぜなら・・・。

「なぜだ!!素晴らしいじゃないか!!この銀のギラギラで!!」

銀の布についているラメがギラギラと光ってるあげく、

「この袖についているヒラヒラ!!」

袖には、白い糸というよりヒモがたれるように沢山ついていて、動くたびに揺れそうで、

「すごく存在をアピールできるツナギじゃないか!!」

体に密着しそうなツナギだった。簡単にいうと昭和の時代のアイドルが着ていた服装である。

『いやです!!絶対にいやです!!こんなの着るぐらいなら、他の事務所のオーディションを受けます!!!』

本気の本気で久遠は嫌がった。その時だった。

「・・・!!」

ハッと蓮は目がさめて、見慣れた部屋を確認したあと、胸を撫で下ろした。

「ああ・・・嫌な夢だ・・・。」

思えば、あの頃の自分は、完全にラブミー部に入る資格があったかもしれない。

(・・・俺に踏み込むな、俺も踏み込まないって感じだったからな・・・あの頃・・・。)

ローリィごとく、相手に対して、既にあの頃にソフトに壁作ってたため、蓮はそう思う。

はぁ・・・と溜め息をつき、ベッドから出て、側に置いといたケータイを開くと

「あ・・・。」

ケータイ画面にキョーコの番号が出ていた。

「あ・・・そうだ・・・今日は・・・。」

夢見が悪くて、今日がカインとしての映画撮影だと忘れていた。

(・・・まいったな・・・。)

苦笑いして、キョーコに電話をかける。

<・・・はい。最上です。おはようございます、敦賀さん。>

「うん、おはよう・・・。」

<今日はですね・・・。>
別にマネージャーとして、とは言われてないのに、マネージャーのようなことをする彼女に笑みが零れる。

(・・・あの頃は、こんな気持ちを抱くことになるなんて、まったく予想してなかった。いつのまにか、彼女は俺の中に入って、俺の心を奪って・・・俺の決意すら、変えてしまった・・・。)

困った子だと本当に思ったが、それすらいいと思えた・・・。

あとがき

あれ?シリアスに入ってしまったぞ・・・!?なぜだ!?