2024-11-8

 

短歌をどうぞ  18首

 

晩秋にふさわしくないこの暑さオクラの花がまだ咲きつづく

 

落ち着かぬ気持のままに迫りくる本番前の歌詞の確認

 

没落の貴婦人を歌うこのドラマ美しくもあり哀しくもあり

 

バルバラのこの感性がどことなく私の深い部分をくすぐる

 

もうこれが最後かもしれぬと思う事ことあるごとの儀式のように

 

本来の自然の色に塗りなおすマニキュアの色の赤の退廃

 

巻き爪の治りゆくのをもう半年診続けている皮膚科のドクター

 

一見は健康そうに見えますよ内なる老いは静かに潜む

 

心底に晴れてすっきりすることのなかりしままの私の人生

 

人生はそんなものかもしれないと思い至ったような顔して

 

設営に集まる歌姫翌日の晴れの姿がちらほら見える

 

雑巾とエプロン持って会場の掃除に明日は精を出そうぞ

 

オーナーの亡きあとずっとつかわれぬままのホールが明日生き返る

 

信頼を互いにしあう大切をしみじみ思う秋の終わりに

 

右肩の痛みがだんだん強くなる一曲弾いて指を休める

 

レタス巻き作りてみれば真ん中にあるはずの具が偏っている

 

作り置く麦茶の減りが遅くなり秋は深まる緑茶を買えり

 

巻きずしの残りがあったと頭から離れずにいる秋の夜更けに