春は芽吹きの季節

自然のエネルギーが爆発する時だ。

すごいなぁ！

このエネルギー・・。

物言わぬ自然界のこの植物たちの生きる姿勢は…。

庭の片隅の山椒の若葉も出てきた。

知人の霧島の別荘からもらってきてもう何年になるだろう。

独特の香りはお洒落な日本料理に品よく治まる薬味だ。

これには鋭いとげがある。どこを触ってもその棘が刺してくる。

子供のころの姉たちの言葉

我が家が何をしていたかは知らないが家業で造り酒屋だったという話をしていた。

その根拠は家に箍の入った木製の大きな大きな桶がたくさんあったからだ。

子供の私たちが入ったら出ることもできないような大きさだった。

造り酒屋というのは全く嘘だと子供ながらに私は思っていた。

あの水も深い井戸から組まねばならないようなところで造り酒屋なんてやってられないと思ったからだった。

その現場で働く奉公人たちに大変厳しかったという。

「○○どんの家に奉公するか山椒の木に登るか」と言われていたとまことしやかな話だった。

棘のある山椒の木に登って痛い目に遭うか、それとも酒造りの厳しいあるじに仕えるか‥というものだった。

まことしやかに話されるその当時はまだやっぱり家柄や氏素性が重要視される時代だった。

士族の出であるということも大きな誇りだったらしい。

あげくには、「華族の家柄だから・・」とか「東大出だから素晴らしい方で…」などという人物判断なども出てきて婿選び嫁選びなどについてはそれはもう大変なことだったようだ。

その点では、末娘で姉たちとは１０歳以上も離れて生まれた自分はいつもどこか冷めて物事を見ていたような気がする。

山の中の日当たりの悪い薄暗い場所に生えていた幹の大きな山椒の木を今でも思い出すが、今庭に生えている小さな山椒の木からそんなことまで連想してしまうのもどうかと思うのだが、自分の記憶の箱の中からときどきは取り出して日の目を見せてやってもいいような気もする。

この頃、新鮮な野菜をつかって白和えをよく作る。

その野菜の中には庭で獲れた菜っ葉を結構使う。

ごくごく少量の山椒の葉を散らすと味がおしゃれになるのでよく使う。

雨がよく降り続いたが山椒はつややかに光るように若芽を伸ばしている。

あれから７０年以上たったかな。

今あの鬱蒼とした山はどうなっているのかな？

ヤマモモもあったし少しはなれたところには古参竹の山があってタケノコがよく穫れた。

孟宗だけのあの大きなタケノコが出るところには見つけた人が棒を立てて目印にしていたりしていた。

持ち主は変わってもあのままに変わらすにあるような気がする。

しかし、もし今行っても、私は怖くて歩けないだろう。

幼いころの魑魅魍魎もそのままそこにいそうな気がするからだ。

いくつになってもビビりやでこわがりで・・・。

こんなのを昔何と言ったかなぁ！

おわり

またまた書きたいように書いていたらこんな風になった。

御判読ください。"(-""-)"

2023/03/24 山椒の葉に寄せて