皆さん、『深夜特急』はご存知ですか。そうです、沢木耕太郎氏の紀行小説です。

 

小説の元となった香港からロンドンまでの放浪旅がおこなわれたのは、70年代前半だと思われますが、小説として発表されたのは、1986年に第1便、第2便の2冊、そして1992年に第3便です、

 

その後、文庫版として6分冊されて発刊されました。

 

小生が最初に読んだのは、この文庫版の時でしょう、おそらく。94年に刊行されています。

会社を辞め、フリーランスで編集やライターの仕事をし始めて2年くらい経った頃でしょうか。

 

最初に読んだ時から、ハマりました。路線バスで放浪の旅をするというテーマもそうですし、訪れる各国の各所の紀行文も魅力的でした。

 

もともと、放浪、彷徨が好きな小生は、この文庫本を持って、いろんなところを彷徨いました。

 

もちろん、仕事がありますし、お金はありませんでしたので、もっぱら、都内の散歩や出張先での散歩の時です。

 

ここにも出てくる中では、イスタンブールやイタリアの各地、スペイン、ポルトガル、ロンドンなどは訪れたことはありますが。

 

それで気づいたのは、『深夜特急』を読みながら、随所を歩くと、旅気分が醸成されてくるということです。

 

書かれている場所とは全然違うところを歩いていてもです。

 

下町の〇〇銀座などの商店街を歩いていても、そこが中近東のバザールのような気がしてきます。

 

そして、都内を歩く時には、異国の人の気分で歩けるのです。

 

地方都市も然り、その土地ゆかりの紀行文や小説を読むというのはもちろんありですが、そうでなくても『深夜特急』はオールマイティです。

 

そして、本を閉じて街を彷徨い歩いても、旅は続きます。

 

そんなことから思いついたのが、12月は必ず『深夜特急』を読もうという習慣です。

 

かれこれ10回は読んでいることでしょう。

 

途中、読まなかった年もありますし、途中まで読んで終わりということもしばしばですが、

 

年の瀬に読むと、なんだか旅に出ているようで楽しいのです。

 

12月前半は忙しいですが、仕事で出かけた先々や電車の中で読み、仕事に行く時には、ひとまず旅を中断して、仕事が終わるとまた旅の続きを味わうといった風情です。

 

そして、読むたびに、頭の中に浮かぶ風景が違うということです。

 

香港などは、英国領の時代ですから、実にエキゾチックさとアジアの猥雑さが混在したカオスが実に心地よい。

 

今の香港はどんな感じだろうか。と頭に浮かべたり、だから極力、実際の土地の写真を見ません。

 

そこに都内の何某かの場所を想起したり、あるいは全然違う土地のことを思い浮かべたりも、実に楽しい。

 

そんなことをしながら年の瀬の街を味わう贅沢さを面白がってきました。

 

さて、今年も『深夜特急』で年の瀬を旅しています。

 

今日はもう大つごもり。

 

現在、第5巻でトルコのトラブゾンを旅しています。

 

「あぁ、香港からずいぶん遠くへ来たもんだ」なんてね。

 

おそらく、アンカラかイスタンブールあたりで、今年は終わります。

 

「ヨーロッパの旅は、正月3が日だな」

 

そんな感じで今年は暮れていきます。

 

『深夜特急』に限らず、さまざまな紀行文や旅小説で、ヴァーチャルな旅をしながら散歩することをお勧めします。

 

ではまた。