生涯でたった1人愛した女性は




……が憎むべきソレだった


どんなに憧れただろうか




綺麗な花を見て綺麗と言える事を。



父と母と手を繋いで日曜日に何処かへ出かける事を。



美しい景色を見て涙する事を。



ありふれた日常を。




私は手に入れられなかった。




彼女はソレを全てもっていた。



私が憧れたモノを。



彼女はソレを



「つまらない」と捨てた



そう愛した女性は


私が憎むべきモノだった。



非日常を憎んだ私と

日常に退屈した彼女



その愛は


初めから矛盾していた。


あの日


最初に死んだのは


この胸の穴にあった[モノ]


















見た事のない行為


怒号



逃げた



優しい筈のかれからの怒号

















車に跳ねられた

















私が覚えてる限りの最古の嘘


「何で病院にいるの?」




望みが叶うなら

何でも一つ望みが叶うなら

彼女の笑顔の隣で彼女を見守り続けたい

それが望み

決して叶わない望み

手に入らない笑顔

私には望む資格さえない

しかし

忘れる事も許されない望み

なんて残酷な………


私は私を許さない


こんな望みを持ち続ける私を


私は許さない