頭が痛い話/10月の参観日 | 毎日がキラピカ

毎日がキラピカ

育児育児で自分の時間は激減。それでも「自分が一番大事」という姿勢は崩さず、趣味の吹奏楽だけは意地で続ける。そんな私が気まぐれな頻度で書きます。

毛虫とのイザコザシリーズ後編を楽しみにして下さっている方々、申し訳ありません。

今日はあきらの参観日でしたので、それにまつわる話を書きます。


昨日、いつもの宿題(プリント2枚)に加え、書きかけの遠足の作文を持って帰って来たあきら。

1年生は先週の金曜日に、神戸の王子動物園へ遠足に行きました。

それをテーマに作文を書くようです。「おうじどうぶつえん」と、タイトルが既に書き込まれて印刷された作文用紙の、その15文字×16行=240文字の用紙のうち、あきらはたった1~2行しか埋めることが出来ていない状況でお持ち帰りです。学校で完成できなかった子だけ宿題として持ち帰ったそうです。

ちらっと目を通してみましたが、すごい箇条書きの作文です。

書き出しがいきなり「でんしゃのなかがおもしろかったです」

そしてその続きは唐突に「おべんとうがおいしかったです」

作文と思えないような文章。しかもこの2文で筆が完全に止まっています。困った人です。


以前から(夏休みの絵日記の宿題などから)何となく嫌な予感がしていたのですが、どうやらあきらは「思ったことを書く」という事が苦手のようです。


私は子供の頃から文章を書くのが好きです。中でも、自分に関する事を書くのが好きで、日記もよく書いていましたし、今こうやってブログで文章を書くことをとても楽しんでいます。それと、メールも良いですが、実は手紙を書く事が結構好きです。

自分に関することを書くのが得意なので、卒論やレポートという類のものではなく、「何故わが社を希望されましたか?」的な問いに対する答えを文章で書く方がスラスラ進みました。そういえば、私が勤めていた職場の入所試験に、私はあの小論文のみで合格したのだと思っています。会心の出来でした。それに比べて一般常識のペーパーテストは酷い出来だったと思われます。よりにもよって秘書を希望していた人間があんな酷い出来だとは…というほどに酷い出来だったと思います。まぁ結局採用されたのでなんでもいいのですが。…話が逸れました。

既におわかりでしょうが、私の文章は説明が長く、それを踏まえて自分の感じたことなどもたくさん書こうとする癖があるので、文章は長くなる一方。むしろ長いほうが得意で、さらにはすぐ余談に走ります。後から文章を短くするのに苦労するほどです。

ちなみに私の母は文章に長けており、以前はコピーライターをしていました。取材して記事を書いたりしていました。

ちなみに私の兄はある雑誌の記者です。取材して記事を書いたりしています。いつの間にか編集長になっていました。


そんな私の血を引いているとは思えないあきらの作文。あんなに本が大好きで、しょっちゅう本を読んでいるのに、文章が下手とはどういうことか。でもまぁそんなことは言っている暇がありません。とりあえず提出期限(つまり今日10月9日)までに何とかしなくてはなりません。


ふと、気になったことをあきらに聞いてみました。

わたし 「作文を家に持って帰った人は

      あっくんのほかに何人くらい居てるん?」

あきら 「え? 俺だけ!


ギャフン!


聞くんじゃなかった。

ドッと疲れが出ました。

もうなんでもいいからサッサと書かせてしまいたい。


そう思うのに、あきらの筆は一向に進みません。

仕方がないので、どうやって用紙を埋めればいいのかを教える事にしました。方向は間違っているが時間がないため手段は選ばない。


たとえば

「でんしゃのなかがおもしろかったです」は、電車の中で何がどうおもしろかったのかを書いてみたら文章が少し長くなるよ。

「おべんとうがおいしかったです」は、誰と一緒に食べて、お弁当には何が入っていて、自分はどのおかずが好きだったのか、早く食べられたか、そういうことを書いてみたら文章が少し長くなるよ。

と、いささか出すぎたヒントを与えてやると、「!」と来たようです。


少し書き進みました。

ところが、半分の手前にして、また止まってしまいました。

電車も弁当もサイの角もシロクマも登場してしまいました。

また頭を抱えて悩んでいます。

なぜ数日前のことでそんなに悩むのでしょうか。動物園という、ネタ満載な所へ行ったのに、なぜそんなに書き進まないのでしょうか。


そう。

これも以前から何となく嫌な予感がしていたのですが、あきらは過去のこと(それが昨日であっても)を思い出すのが苦手なようです。実はあきらがあまりにも過去のことを思い出せないため、私は、真剣に脳の病気を疑ったこともありました。


文章がアレな上に昨日のことさえ記憶が曖昧なあきら。

用紙はあと半分も残っているのに…。

私がゲンナリしていたところ、あきらが閃いたようです。


あきら 「そうや!ワニがおったわ。赤ちゃんワニがおった」

わたし 「じゃあそれを書いたら?赤ちゃんワニがいました、て」

あきら 「でも赤ちゃんじゃないかもしれん」

わたし 「………。なんでもええから書いとき。

     赤ちゃんワニじゃないかもしれんけど

     ちっさいワニがいました、て書いとき。(←ヤケ)

     ついでにそのワニを見てどう思ったか書いとき。」


あきらは書き始めました。

結構長い文章を書いているようです。これは期待できます。

ワニのネタが済んだあたりで用紙の半分を超え、さらに何か書いています。今度は滑り台で遊んだことを書いているようです。これで一気に残り2行のところまで来ました。

やれば出来る子です(これは誉め言葉ではないという説あり)

そして残り2行…。

私からの「なんでもいいから思い出した動物書いとき」というひどい指示により、何やら無理矢理書き、1マスを残して無事完成しました。


その後ようやくいつもの宿題に取り掛かります。私はかなり疲れていましたが、あきらも相当疲れて眠いようで、プリント2枚に大変な時間を要して終了。時刻は既に22時を回っており、あきらにとっては深夜です。

すぐにあきらを寝かせ、「朝はひかるの児童センター、午後は幼稚園の面接、夜はあきらの作文…。今日は疲れた一日だった…」と、すごい疲労感と睡魔を感じていたところまでは覚えているのですが、実は私、その後の記憶がありません。まさにバタンキューでダウンしていたようです。深夜にお父さんが帰って来て、ご飯を出したことはおぼろげに記憶しているのですが、それ以外はまるでわかりません。



そして今日。

あきらの参観に行って来ました。道徳の授業で、「友達のいいところ探し」という内容でした。「計算がはやい」とか「木登りがじょうず」とか、4人のお友達から「あきらくんのいいところ」を書いてもらい、その中でも「木登りがじょうず」と書いてもらえたのを一番気に入っていたようです。

私は彼の悪いところばかりに目が行き、日々叱ってばかりですが、友達から見たあきらはこういう良いところがある子なのかと、とても嬉しかったですし、あきらもさぞかし嬉しかったことだろうと思います。


授業中のあきらは時折、先生の話をまるで聞かずにどこか遠くをジっと見たりしていました。「あぁやっぱり妖精か宇宙人が見えてるんだな」と再確認しました。

そういえば私の母はあきらを「宇宙人」と表現しましたが、幼稚園の年長の時の担任の先生はあきらを「自由人」と表現なさいました。みんないいところ押さえてくるなぁと改めて思います。でもまぁ今日の授業ではまずまず我慢できる範囲でした。


さて、教室の後ろに掲示されてある、「おうじどうぶつえん」の作文を読みかえしてみることにします。

クラス全26名の作文が当たり前のように貼られていますが、あきらの作文だけはできたてホヤホヤです。


「おうじどうぶつえん」 ○○○○あきら

でんしゃのなかで○○さんと□□さんがおもしろかったです。

おべんとうの、うずらたまごのめだまやきが、おいしかったです。

しろくまがなかなかみえなかったです。

さいのつのが、おおきかったです。

おもったおおきさよりもちいさいわにがいました。

おもったよりもおおきいぞうがいました。

ながいすべりだいがたのしかったです。

いちねんいちくみの、せんせいがすべりだいをすべっているとちゅうのしゃしんをとってくれました。

かんがるうがはねていませんでした。

きりんがてつをなめていました。



おわり。





余談

参観後、担任の先生と少しお話をしました。

先生から「あきらくんは、昨日のことを覚えていないんです」と言われました。

今朝も、「一言発表」の時間に何も言うネタがなく苦しんでいて、

「昨日お家で何をしたの?」と先生が訊ねても

「………。覚えてへん」と答えたそうです。

その後、必死で記憶を手繰り寄せたらしいあきらが、

「晩ご飯がおいしかったです」と発表し、

「晩ご飯は何を食べたの?」とメニューを訊ねたところ

「………。覚えてへん」と答えたのち、再度記憶を搾って搾って搾ったあきらは

「……………シチュー…」ひとこと答えたのを最後にバタっと力尽きて机に伏せたそうです。



頭痛いです。