夏、1番苦労することは腕にある無数の傷を隠すこと。


沢山リストカットをして出来た腕の傷はもう化粧などでは隠せないほどである。


だから最高気温が35度を超えるような日でも長袖を着ていなければならない。


リストカットの自傷痕は他人にはあまり見られたくない。
他人の気分を害してしまうから、白い目で見られたくないから、というよりは「好奇な目で見られたくないから。」





そもそも自傷をリストカットを始めたのはいつだろう、なぜだろう。
なんでこんなことをしてしまったんだろうかと後悔することもある。



リストカットを始めたのは高校1年生の時。
リストカットは私の『逃げ場』になっていた。

リストカット(リスカ)を始める前私に『逃げ場』はなかった。それなのに周りからは「逃げるな」と言われる。『逃げ場』がないのに逃げるなとはどういう事なのか。
逃げ場を作ればいいのかと思い私は逃げ場を作った。
それがリストカットだった。
沢山腕を切った。気が済むまで剃刀で傷を作りまくった浅いものから深いものまで。
泣きながら血塗れになってもうもはや何が何だかわからなかった。


おかしいことかもしれないけどそうでもしなければ私は生きて来れなかった。





「生きるため」の『逃げ場』は周りから見たら「死ぬため」の『愚かな行為』のように見られた。



ひたすら辛くて生きにくくて痛くて痛くて痛かった。なにが辛いのか何が苦しいのか何が痛いのかも分からなかった。
どうすればいいのかもわからなかった。



痛かった。


リストカットがバレた時の親からの言葉。視線。空気。

周りからの視線。

深く切りすぎて救急外来で傷を縫ってもらった時のお医者さんからの視線。




切った時の感覚。













全部痛かった。