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第0章 プロローグ
 
 
Side:?
 

 全員がいつもの席に座った楽屋内。
 
 小さくまとまるのはいつものことだが、各々が見ている景色がいつもとは違っていた。
 テーブル席の場合、大体2人と3人で向き合うことが多い。この楽屋も例外ではなく、通常であれば大野、二宮、櫻井の3人で並んで座り、その向かいに松本、相葉が座るのが常だ。
 
 そのいつもの席についた相葉は、いつもであれば目の前に櫻井がいるのだが、今日はまるで鏡をみているみたいに自分の顔があるのが不思議でたまらない様子だ。
 無意識に手を伸ばして触ろうとしたところを相葉の顔した櫻井に止められた。
 
 
 
 
 
 
 

A(S)「ひとまず、整理しよう」
 

 相葉(櫻井)がそう言って、ぐるっと4人の顔を見渡し、深く息を吐く。
 顔も声も確実に相葉なのだが、品の良さを感じさせる動作とその一言は他の4人を注目させる威力を持っている。
 故に、メンバーにはわかってしまう。
 相葉であって、相葉では無いことが。
 
 
 
 

A(S)「相葉くんの中にいる俺が、櫻井翔」
 

 落ち着きはらっている声。
 この声が、こんなにも知的に聞こえてくる日が来るなんて、一体誰が想像しただろう。
 
 
 
 

N(M)「あー、ニノの中にいるのが、オレ松本」
 

 続いて「松本」と名乗った二宮は、ふざけて松本の真似をしている二宮としか思えなかった。
 当人である松本と二宮以外の3人は、二宮のモノマネが如何にクオリティが高かったのかを再認識する。
 
 

N(M)「だけど、いくら中身が翔さんだとはいえ、相葉くんが仕切るって不思議……」
M(A)「松潤ひどいよ、おれだってやればできるんだから」
 

 冷静なツッコミに、情けない顔をした松本が割り込む。(……中身は相葉なのだが)
 

M(A)「あっ!おれ、相葉雅紀ねっ!」
A(S)「だろうね」
 

 身振り手振りを加えながら言葉を発する松本には、相葉の要素が満載だ。
 本人の意思とは関係なく体を提供することになった松本は「勘弁してくれ」とテンションがダダ下がっている。
 
 
 
 

O(N)「大野さん」
S(O)「……」
 

 大野の中に入っている二宮が櫻井の中に入っている大野を呼ぶが、櫻井の筋肉質な腕で力瘤を作って遊ぶのに夢中な大野は反応しない。
 ムッとした二宮は、さっきから大野と繋いでいた手を上に引っ張り上げて立ち上がった。
 それにつられて立ち上がる大野。
 

O(N)「大野さんの中に入ってるのがニノミヤカズナリね」
 

 むくれたまま、「次はあなたの番ですよ。おじさん」と一緒に立ちあがらせた大野に言った。
 大野は言われ慣れていてなんとも思わないが、外見は櫻井であるため、相葉の顔をしている櫻井がなんとも言えない表情になる。
 

S(O)「おれ、大野……ぅおっ」
 

 櫻井の顔した大野がしゃべり終わるなり、大野の顔した二宮が繋いでいる手を今度は下に引っ張って一緒に座らせる。
 

S(O)「カズ、口で言えよ」
O(N)「いーじゃないですか、別に。しかし、相葉さんのキャラを松潤の外見でやると…オネエだね…」
A(S)「……ぷっ」

M(A)「なんだよそれっ!おれがオネエみたいに言うなよっ」
N(M)「……おい」
 

 「傑作♪傑作♪」と手を叩いて喜ぶ大野(中身は二宮)をじろりと睨み、精一杯低くした声が聞こえてくるも、二宮の声なのでいつもの松本の声ほどの威圧感は無い。
 
 

 そんなやり取りをしている間も、大野と二宮、つまり櫻井と大野の手が離されることはない。しかし、それがずっと気になっていた櫻井が口を開く。
 
 

A(S)「ニノ、頼むからそれ止めて……」
O(N)「それ?」
 

 相葉の指が、櫻井と大野の繋がれた手をさす。
 

A(S)「自分が男と手をつないでると思うと、いたたまれないし、気持ち悪い」
O(N)「うーわー。翔さん、何気に失礼だよね」
S(O)「なー」
 

 悪のり気味に見つめあう櫻井と大野。(つまり、大野と二宮)
 言いたいことは山ほどあったが、これではいつまでたっても本題に入れないと思った櫻井は、目の前の光景を頭の中から追い出した。
 
 
 

A(S)「信じられないけど、俺ら、心と体が入れ替わってしまったみたいだ」
O(N)「すげえよな。絶対できるもんじゃねえよ」
A(S)「ここで問題なのは、迂闊にこのことを周囲に漏らすと、研究対象にされかねないってことだ」
N(M)「……だよな。ただでさえプライベートがないのに、これ以上は勘弁だな」
A(S)「俺もだ。だから、これは俺たちだけの秘密にしよう」
M(A)「うわあ♪秘密♪なんか、わくわくするねえ」
 

 無邪気な表情をする松本。
 中身は相葉だとわかっているのだが、一瞬身構えてしまうのは、そんな表情をした時の松本がろくでもないことしてきたのを実体験として知っているからだ。
 
 
 
 

O(N)「オレは賛成。ようするに、自分たちで元に戻る方法を探すってことだよね?」
A(S)「そういうこと」
N(M)「オーケー。俺も賛成だ。とっとと見つけようぜ」
O(N)「リーダーもだよね」
S(O)「ああ、色々調べられんのは、嫌だ」
A(S)「じゃあ、満場一致っつーことで」
M(A)「おっけー♪」
 

 こうして、今後の方針が決定となった。
 だが、差しあたっての問題が残っている。
 
 
 
 
 
 
 
O(N)「翔ちゃん、あのさ、今のままだと自宅にさえ帰れないよね」
A(S)「そうなんだ。だから、今夜から5人で合宿したらどうかなって」
M(A)「はいはいはい!!賛成!おれ、大賛成!!」
N(M)「相葉さんは、ただ合宿したいだけだろ……」
S(O)「でも、それしか無い」
O(N)「ですね」
 

 これも即決した。
 だが、さすがにこれはマネージャーに説明しないわけにはいかない。
 合宿する場所の手配や、送迎のこともあるからだ。
 
 通常であれば、説明役になるのは櫻井か松本だ。
 だけど今は……、3人が櫻井と松本の外見をしている2人を見る。
 
 
 
 
 

M(A)「なになに?どうしたの?あ、おれが説明すんの?いいよ!じゃ、マネージャー呼ぼっか……」
A(S)「ちょ、待って、待って!」
N(M)「一人で突っ走んな!」
 
 

 早合点してマネージャーを呼びに楽屋の外に出ようとしていた相葉を慌てて止める。
 相葉以外の4人は同じことを確信していた。
 

 『相葉ではだめだ』と。
 
 

 不審がられるが、メールで連絡しようかと相葉(櫻井)と二宮(松本)が思っていると、大野(二宮)が櫻井(大野)に話しかけていた。
 
 
 
 
 
O(N)「リーダー、翔ちゃんの真似、できるよね?」
S(O)「おう。こないだカズとどっちが似てるか競ってたからばっちりだ!」
 
 
 櫻井は『お前ら、なんつー遊びをしてんだよ』と言いたかったが、なんとかこらえて成り行きを見守る。
 

O(N)「じゃあ、大丈夫だね。今からオレが言うこと、翔ちゃんの真似してマネージャーに伝えてね」
S(O)「わかった」
 
 

 二宮が"合宿場所の手配"やら"送迎"やら、当面必要となることを大野に教えた後、チーフマネを楽屋に呼び出した。
 4人が固唾をのんで見守る中、櫻井(大野)はマネージャーに不審がられることなく、無事に伝え終えた。
 『くだらない』と思っていた大野と二宮の遊びがことのほか功を奏し、4時間後にはシェアハウスを目的に建てられた一軒家を借りられることになった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 こうして急遽、合宿がスタートした。