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※注意!妄想です!BLです!苦手な方はお戻りください。
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ネタ元は2015年1月7日のディスカバです。

めっちゃ古くて、ごめんなさいm(_ _ )m

 

 

 

Side:S
 
 
 年末年始へ向けて、怒涛の仕事ラッシュとなる12月。
 今日もテレビ番組の収録のために朝から某テレビ局に缶詰めの予定だ。
 
 
 マネージャーの運転する車でテレビ局に着き、気を引き締めて楽屋に入ればそこにはすでに智君がいた。
 昨日別れてから6時間と経っていないから、コンサートツアー時に地方でホテルに泊まるのとあまりかわらない。
 半分寝ている智君を横目に新聞を広げたら数分もせずにボサボサ頭のニノが入ってきた。(……ボサボサ頭は智君も俺もなんだけどね)
 
 
 年末年始にドラマの仕事を抱えているニノは、俺らなんかよりもはるかに忙しい。
 それなのにいつものテンションと変わらず、疲れなんか微塵も感じさせない。
 ニノは昔からそうで、特に負の感情は外にださない。
 場の空気を何よりも大事にする奴だからな。
 
 
 
 "ペタペタ"と足音を響かせて「おはよ」ってよく通る声で挨拶をしたあと、テーブルに置いてあるウェットティッシュを一枚引き抜いて、ソファに座ってる智君へと一直線に進んでいく。
 
 『手でも汚したのか?』と少しだけ疑問に思いながらも何も聞かずに新聞に意識を戻そうとした。
 
 
 
 
 ……が、智君の隣に座ると思っていたニノは智君の目の前で立ち止まった。
 ぼ~っとしている智君がつられるようにして見上げる。
 2人して暫く見つめあい、軽く息を吐いたニノが「やっぱり……」と言って、斜めがけのカバンから十センチ四方のタッパーをとりだした。
 
 
 
 
 
N「口あけて」
 

 唐突な命令に、なんの躊躇もせず大きく口を開ける智君。
 その様子を確認して右手に持ったタッパーの蓋を開け、器用にウェットティッシュで左手を拭いてそのタッパーに指をつっこんだ。
 
 

 ポイッ
 
 

O「むぐむぐむぐ……うめぇ」
N「はいはい、おやじギャグはいりませんよ」
O「むぐ…ギャグじゃ、むぐぐ…ねえし」
 
 

 ニノが智君の口に放り込んだのは、梅干し。
 自分の指を小さな舌でペロッと舐めながら頬を膨らませて拗ねる智君を見るその目は、心配そうに細められていた。
 
 
 

 ガチャッ
 

A「おっはよー♪」
M「おはよう」
 

 智君がまだ口をもごもごさせているなか、泣き虫コンビが楽屋に到着した。
 相葉君のテンションは相変わらず高いし、松潤は定番のサングラスをかけている。
 まさにいつもどおり。
 
 ざっと2人の全身に目を走らせる。
 これまたいつも通りに俺達とは違い、寝ぐせなんかないし、服装もオシャレに決めている。
 
 
 

A「リーダーもニノも何してんの?」
S「ニノが智君に梅干しを与えたところだよ」
M「あ~、そりゃマズいな」
A「うっひょー♪ニノやるぅ!ねね、リーダー、ニノ家秘伝の梅干しはおいしい?」
O「むぐ……おいひぃ」
A「だってさ、よかったね」
N「……どうも//」
 
 

 天然コンビの無邪気なやりとりに、ニノの頬が赤らむ。
 
 いつからか当たり前になっていた光景。
 実は、ニノが智君に梅干しを食べさせるってことには意味がある。
 
 
 

A「コンサートも重なってるし、忙しかったもんね」
M「しっかし、毎度毎度、本当に自分が疲れてるって気付かないもんかね……」
O「悪かったなあ!気づかなぃ……んぐぐっ」
N「あー、もう。ほら、しゃべりながら食べるのは危ないって」
 

 慌てたニノが、持っていたウェットティッシュに種を吐き出すよう智君の口元にあてる。
 智君はおとなしく言うとおりにした。
 

 どんなに仕事が立て込んでもアドレナリンが出っぱなしになるのか、智君は疲れていることに自分では気付かない。
 ニノが気づかなければ、限界に達してぶっ倒れるレベルだ。
 
 この世界に生きている身分で突然仕事を休むなんぞもってのほか。
 だから、そうなる前にニノが智君に梅干しを与える。
 "ニノの梅干し"でパブロフの犬みたいに智君は自分の疲れを自覚するし、その智君が疲れているっていうサインで俺達はいつもより智君を気をにかける。
 
 実によくできている。
 
 
 サインを梅干しにしたのは、実はもう一つ理由がある。
 昔からニノのお母さんが差し入れしてくれていた"二宮家秘伝の梅干し"は智君がいたく気に入っていて、どんなにハードなコンサートでもそれさえ食べれば頑張れていたんだ。
 実際、梅干しに含まれるクエン酸には疲労回復の効果があり、科学的にもお墨付きだ。
 

 言わば、"二宮家秘伝の梅干し"は俺達グループの生命線だな。(笑)