※注意!妄想です!BLです!苦手な方はお戻りください。
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Side:N
 
 

 収録が終わったけど、楽屋に戻るのが憂鬱で、スタジオにいるスタッフたちと話していた。
 今日は偶然にもその輪の中に潤くんもいる。
 
 

 ~♪
 
 
 しばらく他愛無い話をしてたら、潤くんのスマホが鳴った。
 「わりい」と言いながら一歩下がり、画面を見ているところを見ると、どうやらメールみたいだ。
 
 気にせずに談笑を続ける。
 
 
 
 
 ガシッ!!
 
 
N「わぁっ!!」
 
 
 イイ感じでしゃべり続けてたら、いきなり左手首をつかまれた。
 びっくりして振り返ると、そこには楽しそうな表情の潤くん。
 
 
 
N「なんだ潤くんか、脅かさないでよ……」
M「いくぞっ」
N「へ?」
 
 
 承諾なんてとるつもりはさらさら無い潤くんが、強引にオレを引っ張っていく。
 
 
N「ちょっと!なに!?」
M「いいから♪いいから♪」
 
 
 
 オレにはずんずん進んでいく潤くんの後姿しか見えないけど、相当にご機嫌なんだってことは分かった。
 こうなった潤くんに勝ち目がないのは嫌というほど知っているから、おとなしくついていく――。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 潤くんに連れられてきた先は、よく知っている場所だった。
 
 
 
 
N「……オレたちの楽屋じゃん」
 
 
 ニヤニヤしている潤くんを不審に思いながら、ノブに手をかけようとした。
 
 
M「待て」
N「なんで?」
M「しっ……」
 
 
 オレを制した潤くんは、音をたてないように気を付けて少しだけドアを開けた。
 人差し指を唇にあて、『静かに』ってジャスチャーをした後、楽屋を指さし、反対の手を耳にあてる。
 
 ……盗み聞きしろってことなのね。
 
 そんなことしていいのかなって思ってたら、胸を抉る一言が発せられた。
 
 
 
 
 
 
 『ニノのこと、受け入れられないんでしょ?』
 
 
 
 リーダーと翔ちゃんが、オレのことを話していた。
 
 『逃げたい』って思ったけど、翔ちゃんがオレの事を気にかけてくれていたのを知っていた。
 だから、もう一度リーダーの口から拒絶の言葉を聞いて、ちゃんと諦めようって覚悟したんだ。
 
 どんなに傷ついても、リーダーへの想いと決別しようって。
 
 

 それなのに、リーダーの口から語られたことは、オレへの真摯な想いだった。
 気軽に好きだなんて言えないくらいに大切なんだってこと。
 
 
 
 
 ポタ、
 
 
 ポタポタポタ……
 
 
 
M「ニノ」
 
 
 横にいる潤くんが、優しい目をしてオレを見ている。
 見られているのが分かるのに、制御ができない。
 
 
 涙が、流れる。
 苦しくて、嬉しくて、涙がとまんない。
 
 あとからあとから溢れてくる涙を止めることなんてできなかった。
 両手で口を覆って、声をあげそうになっているのを抑えるのが精いっぱい。
 
 

M「言いたいこと、リーダーにガツンと言ってやれ」
 
 
 耳元で、小声なんだけど力強いアドバイスをされた。
 オレを連れてきたイケメンさんは、ウインクでバッチリとオレの背中を押す。
 
 やっぱ男前は何をやってもカッコイイ。
 
 
 
N「うん!」
 
 
 オレも負けじと力強くうなずき、その勢いでドアを開けた――。