※注意!妄想です!BLです!苦手な方はお戻りください。
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Side:S
 

 ――ミーティングルーム。
 
 全員が揃い、席に着いた。
 
 だけど、智君の隣に座ると思っていたニノが、相葉君の隣に座った。
 みんな驚いた顔をしたけど、とてもその事を指摘なんかできなかった。
 
 あんなに人に気を使うニノが、「何も聞かないで」って全身で訴えてるんだ。
 
 恐る恐る智君を見たら、呆然としていた。
 
 確信した。
 智君は、ニノにちゃんと言ったんだ。
 
 ニノも智君もしばらくはぎこちなくなるだろうけど、彼らには今まで培ってきた絆があるから大丈夫。
 俺はそう思っていた。
 
 
 

 いつものように、俺と松潤主導でコンサートの打ち合わせを進める。
 大まかの方向性が決まり、今日の打ち合わせは終了となった。
 
 
 
N「相葉さん、ご飯食べに行かない?」
A「おっ、ニノから誘うなんて珍しいね。もちろんいいよ」
 
 
 ニノが相葉君をメシに誘っている横を智君が通り過ぎていった。
 なんだか落ち込んでいるような気がして、急いで後を追う――。
 
 
 
 
 
S「智君!」
O「……」
 
 
 人があまりこない自販機コーナーの前で智君に追いついた。
 立ち止まった智君は、前を向いたまま。
 
 
S「ニノに、言ってくれたんだね」
 
 
 智君は、『ニノ』って言葉にビクっとなった。
 元々猫背で小さな背中が、より小さく縮こまる。
 
 
 
 
 
O「翔くん、おれ、ちゃんと振った」
S「うん、ありがとう」
 
 
 後ろ姿の智君に感謝を伝える。
 
 
 ふいに、智君の肩が揺れた。
 おかしいと思い、ゆっくりと前に回り込む。
 
 
 
 
 
S「!!」
 
 
 ぎょっとした。
 

 智君は、泣いていたんだ。
 声を出さず、ひっきりなしに涙だけをこぼしている。
 ニノを傷つけてしまったことが自身にもダメージを与えてしまったんだ。
 仲が良かったから、よけいにそのことが智君に重くのしかかったんだろう。
 
 
S「そんなに気にしないでいいと思うよ。ニノだって感謝してるだろうし」
O「ん……『振ってくれて、ありがとう』って言われた」
S「だったら……」
O「でも、『しばらくは離れたい』って……」
S「それは……仕方ないでしょ」
 
 
 ニノの心中を察してそう言えば、智君が勢いよく顔を上げた。
 困惑顔をしておれに強く詰め寄ってくる。
 
 
O「なんで!おれ、これで今まで通りに戻れるって思ったから振ったんだよ」
S「……は?」
O「おれから離れていくのがわかってたら、絶対に言ったりしないよ!」
S「なんだよ、それ……」
O「そっちこそなんだよ!」
 
 

 泣きながら怒っている。
 だけど、俺はなんで怒られているんだ?
 
 じゃあなにか、気持ちは受け入れないけどニノは側にいなきゃいけないのか?
 それともニノが自分から離れていくくらいなら気持ちを受け入れるっていうのか?
 
 
 
 
 

 ありえない。
 
 そんないびつなものは、すぐに綻びが出て2人とも駄目になってしまう。
 智君がどんなに嫌がろうが、断じて許すわけにはいかない。
 
 
 

 たとえ俺との関係が険悪になっても――。