※注意!妄想です!BLです!苦手な方はお戻りください。
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Side:O
 

 ――心臓が、止まるかと思った。
 
 
 そこには、ソファまでたどり着けずに倒れたカズがいた。
 とっさにカズの側に跪き、抱きかかえる。
 
 
 
O「カズ?どうした、寝てんのか?目、あけろ。開けてくれっ……」
N「……」
 
 
 生気がまるでない顔をしたカズを抱き締める。
 
 
 とくん、とくん
 
 
 カズの心臓の音が聞こえる。
 
 
O「翔くん!救急車!救急車呼んでっ!」
S「救急車呼ぶよりマネージャーの車で病院に行った方が早い!」
 
 
 翔くんはおれに答えながら、マネージャーに連絡した。
 おれたちは、人目を避けるようにして、意識の無いカズを車まで運んだ――。
 
 
 
 

 病院で医者に言われたのは、「倒れるまで痛みを我慢するなんてありえない」ということだ。
 まだ意識のもどらないカズに痛み止めの注射と栄養剤の点滴をしてもらった。
 注射がきいてきたのか、赤みのさしてきた顔を見て、少し落ち着く。
 
 
 
 カズは、一晩観察入院することになった。
 
 完全看護の病院で、緊急時以外、夜は付き添ってはいけない決まりになっていたが、意識がもどるまでは側を離れるつもりなんか無かった。
 病院とかけ合い、個室ということもあり、1人だけならとしぶしぶ承諾してくれた。
 
 おれは、リーダーという権限をはじめて行使した。
 他のメンバーとマネージャーを帰して、ベッド横のイスに座る。
 
 
 消灯時間の過ぎた病室は薄暗く、静寂がおれの不安を煽る。
 カズの手を握り、自分の頬にあてながら、反対の手でカズの頬を撫でた。
 
 
O「イタイならイタイって言えよ……」
 
 
 涙がおれの頬をつたい、カズの手も濡らす。
 カズの指先と睫毛が、かすかに動いた。
 
 
O「カズがいなくなったら、おれ、どうすればいいんだよ……」
 
 
 瞼がゆっくりと開いていく。
 意識を取り戻したカズが、おれの頬にあてている手に少し力を込めた。
 
 
 
 
N「ごめん……ごめんね、リーダー……」
O「ほんとだよ。おれの息の根を止めるのはカズなんだからな!」
N「うん……。もう二度とリーダーにそんな顔はさせないから」
O「約束だぞ」
N「リーダーに誓って」
 
 
 覆いかぶさるようにして、カズの唇を塞ぐ。
 
 
 カズは、逃げなかった。
 
 
O「好きだ」
 
 
 お互いの唇がふれる距離で、しっかりと目をあわせて言う。
 カズは、おれの頬に筋を作っていた涙の跡に舌を這わせた。
 
 
N「オレも、リーダーが好き」
 
 
 
 
 もう一度、キスをした――。