美しい作品を見て感動する。

友人からの何気ない言葉に傷つく。

大会でいい結果を残すことができて嬉しい。

親しい人がこの世を去ってしまい悲しい。

 

こんなとき、世の中の多くの人は涙を流すのではないだろうか。

 

自慢できることではないが、私の涙腺は鉄壁である。

だからこそ、自分が涙を流した事柄の記憶は鮮明に残っている。

 

今回はその中で一番遠い記憶の隙間ついて聞いてほしい。

 

◆◇◆

 

私の一番遠くにある涙を流した記憶は、幼稚園の年長さんの時。

 

理由は母親にショート丈のキュロットパンツを渡されたときだった。

 

いわゆるミニスカート風ショートパンツである。

 

母親が渡してきたそれは水色のチェック柄で、幼稚園生が着る分には何の変哲もないものだったと思う。

 

にもかかわらず、私は号泣し、身に纏うことを全力で拒否した。

そして記憶が正しければ、私はその後それを着ることはなかった。たしか友人に渡った気がする。

 

私が昔からあまり女性らしい服装が好きではなかったのは確かである。だからこそ母親もスカートではなく、キュロットを選んでくれたのだろう。余談だが、私と母親ないし家族との関係は、私の反抗期を除くすべての期間において良好である。故に、母親から強制されたとか、そんなこともない。

 

当時、スカートの制服を着て登園していたし、とある記念撮影の時には自らドレスを選んでいた。

色だって、当時一番好きな色は水色で、数か月後にからって登校するランドセルも水色だった。


にもかかわらず、号泣である。

 

恐らく母親も大層驚いたことだろう。

 

娘の好きな色の、嫌いじゃない形状の服を買ってきたのにまさかの号泣。

 

今振り返って思い出す当時の心の声は

 

「こんな女の子っぽいもの着たくない」

 

のみである。

 

しかしそれで親を困らせるほど泣いたというのは幼さ故なのだろうか。

 

◆◇◆

 

さてどうだろ。

 

落ちもなければ山もない。

 

まぁ、至極普通な一般人の過去の話なんざそういうもんだろう。

 

私は、自分語りを文字に起こせて満足している。

 

これを書きながら思い出したが、「女の子っぽいもの」を避けたいがための葛藤は人生において数度あった。

 

その話もいつか聞いてほしい。

 

ではでは。