キーーーーーーーッ・・・・・・・・・・ガタン!


朝の満員電車が、急ブレーキをかけて止まった。

後ろにいた人におされて・・・・・・・・きゃぁ、ころんじゃう!

って思ったとき。

だれかが、あたしのうでをつかんで。

引っぱってくれた・・・・・・・・・・?

「コモリさん、大丈夫?」


ーーーーーーアズマくん!?


新学期が始まって・・・・・昨日から同じクラスになった、

アズマ ナオトくん。

懸命で手すりにうでをつっぱって、人がぶつからないように、

守ってくれる!

ドキドキ、ドキドキ・・・・・・・

心臓の音が、アマズくんに聞こえちゃいそうだよ。



その日の帰り。あたし、コモリ チヒロが、

仲良しのアッコと電車に乗ったら。

「あ。コモリさんたちも、電車通学なんだ」

同じクラスのシゲくんも、乗りこんできた。

一緒にいるのは・・・・・・・・・・・アズマくん!

アッコとシゲくんは、向かいの席で、

さっそくおしゃべりし始めたけど。

あたしは朝のことを思い出して緊張しちゃって・・・・・・・・。

アズマくんの隣に座って、だまったまま。

何か話さなくちゃって思ったとき、アズマくんが・・・・・・。

ド・キ・ン!

何?

今、「チヒロ」って下の名前でよばれたよね・・・・・・・!?

おどろいて顔を上げると、

アズマくんは、あたしが手首につけてる

ミサンガをのぞきこんでた。

「このミサンガ、ネーム入りなんだね。どこで買ったの?」

なぁんだ。名前よばれた、って訳じゃなかったのかぁ。

「買ったんじゃないの、これ、自分で作ったんだよ」

「へぇすごい!オレ、ミサンガほしんだよな」

じっとミサンガを見てた、アズマくん。続けてポツリと・・・・。

「チヒロ、ってさ・・・・・・・・」

ド・キ・ン!

「オレの妹と同じ名前なんだ」

あ、そうなんだ。名前をよばれるたびに、

鼓動が速くなっちゃう。

あたし・・・・・なんだかドキドキが止まらないよ。

そのとき。シゲくんと座っておしゃべりしてた

アッコの声が、車両中に響いた。

「見て~、あそこ。

 屋台がいっぱい出てる!」

アッコが指さす窓の外には・・・・・・わぁ!

サクラの下を歩く人がいっぱい。

「ね。行ってみよ」

ってアッコに引っぱられて。

四人、途中の駅で降りたんだ。


人波の向こう方へ歩いてって・・・・・

着いた先は、神社。

「恋花神社だって。恋花姫っていうお姫様が、

髪のお告げどおりに花の種を植えたら、

スキな人と結ばれたって言い伝えがあって。

お参りすると恋がかなう・・・・・・って」

アズマくんが、鳥居のわきにある案内書きを読んでくれる。

「ステキー。アタシも伝説になるような恋とか、してみたいよ」

うっとり顔のアッコ。

そうだね、恋花姫なんて、すごくロマンチック♡

「じゃあ、せっかくだしさ。二対二に分かれて、

デートっぽく行ってみない?」

シゲくんの提案に、アッコがまっさきに

「それ、いい!」って手をたたく。

「皆賛成?それじゃ、グーパーでペアを・・・・・」

言いかけたシゲくんを、アズマくんがさえぎった。

「あのさ・・・・・オレ、コモリさんとペアになってもいい?

もっと話してみたいんだ」

え?アズマくんの顔をチラッと見ると。

あら?ほおが少し赤い・・・・・みたい?

恥ずかしい、けど・・・・・・嬉しいかも!

「いいんじゃない?じゃあ、シゲくん、あたしと行こ!」

もう!アッコったら、嬉しそうな顔しちゃって。

そういえば、

「シゲくんのこと、気になる」

って言ってたもんね。

「これでペアは決まりってことで。

じゃ、また後でな~」

シゲくんとアッコが、先に神社の鳥居をくぐって。

アズマくんと2人きり。

「オレたちも、行こうか」

うん!まるで本当の恋人どうしみたいだよ。


ゆっくりと日が暮れてくて。

屋台の看板や、サクラを照らすライトが、

キラキラまぶしい。

屋台の並ぶ参道を歩きながら、

アズマくんは気さくに話しかけてくれる

「今日の体育の授業、シゲすごかったんだ。

あいつ、サッカーうまくてさ」とヵ。

「コモリさんって、昔から手作り得意なの?」とヵ。

なのに、あたしは、下向いたまま

「うん」とヵ「そう」なんて答えるばっかり。

だって。心臓がトクトク速くなって、

うまくじゃべれないの。

せっかく、アズマくん、あたしと話したいって

言ってくれたのに。

これじゃ、つまんない子って

思われちゃいそう!

でも、色んな言葉が頭の中をグルグル

しているのに、口からでてこないんだ。

そのとき。水槽にうかんだカラフルな

ヨーヨーが目に留まった。

あ、これ、いいかも!

「ね、アズマくん。ヨーヨーつり、やらない?」

あたしは、紙のこよりを持って、

ベビーピンクのヨーヨーをねらいをさだめた。

だけど、うまくゴムに引っかからない。

隣のブルーのヨーヨーがつれたところで、

こよりがプツンと切れちゃったけど。

「コモリさん、うまいな~!」

アズマくん、大げさに褒めてくれる。

嬉しくなったあたしは・・・・・。

両手ピースをほおに当てて、キメッ。

ふふっ、なんだか楽しくなってきちゃった!

「オレ、ヨーヨーつりって、初めてだよ」

アズマくんは、なかなかこよりをたらさないで、

ヨーヨーをじ~っと見てる。

「あのね、水からゴムが出てるところをねらうと、

つりやすいよ」

「そうか!ありがとう」

それでも、アズマくん、なかなか始めようと

しないんだ。

じっくりと、よ~く狙って。

やっと、アズマくんがつりあげたのは。

ベビーピンクのヨーヨー・・・・・・・。

「つれちゃった。コモリさんの教え方がいいからだね。

で、これ取りかえない?」

差し出されたヨーヨーがキラキラ輝いて見える。

見上げたら、アズマくんとバチッと目が合って・・・・・・・。

顔がボッと、熱くなっちゃった。

やだ、あたし今きっと、真っ赤だよね。

「あついね。のど、かわかない?」

って、わざと顔をパタパタ手であおいで

ごまかそうとしたら。

「買ってくるよ。ラムネでいいかな?」

さっと立ちあがったアズマくん。

屋台を探しに走って行った。


アズマくんが行った方をながめていたら、

人だかりのする一角があって。

何だろうと思って、近づいたんだ。

わ!お花の形!!あたしの目は、

つるしてある絵馬にひきつけられた。


絵馬を配る巫女のお姉さんの声が、

聞こえてくる。

「恋花絵馬で~す。願い事を書いて

つるせば、恋花姫様が叶えてくれますよ」

ステキ!あたしも願い事、書いてみたいなぁ。


そのとき、不意に後ろから肩を捕まれた。

「ねぇ、キミ、かわいいね~。

オレと一緒に屋台、まわろうよ~」

ニヤニヤしながら顔をのぞきこんできた

男の人が・・・・・・腰に手を回してくる。

やだ・・・・・・・。ダメですって言わなきゃ。

・・・・・・・・でも、体が固まって、声が出ない。

逃げたいのに、足も動かないよ・・・・・・。

怖くて、泣きそうになった瞬間。

「コモリさん!」

アズマくんが走ってきた……!

そして、ぐっと男の人をにらみつける。

「手を、離してください!」

「あ~?テメエ、何にらんでんだよ。

邪魔すんなよ」

怖い・・・・。でも、アズマくん、一歩も引かない。

低くて強い声で。

「・・・・・大事なコなんです」

「ちぇっ!何だよ。彼氏連れなら、

先に言えよな!」

男の人は、アズマくんのハクリョクに

おされたのか、舌うちして去っていった。

「大丈夫?オレが待たせちゃった

せいで・・・・・・・ごめん!」

アズマくんは悪くないよ。

助けてくれてありがとうって、

言いたいのに・・・・・。

何もいえないまま、涙が出てくる。

怖いからじゃない・・・・。

今、はっきり分かったこの気持ち。

あたし・・・・・

アズマくんが、スキ。

「大事な子」って言ってくれたアズマくんの声。

くり返し、頭の中で響いてる。

嬉しかった。

なのに胸がつまって、目の前のアズマくんに、

お礼さえ、いえないなんて。


そのとき、聞き覚えのある声が、

耳に飛び込んできた。

「アズマとコモリさんじゃん!」

「え~、2人で来てたの?」

クラスの男子達のグループだ!

「いや。シゲとアッコちゃんも一緒

だったんだけど、別行動中で」

「そっか。じゃ、オレらと一緒に回ろうぜ!」

「今さぁ、願い事が叶う絵馬っていうの、

皆でやりに行くところなんだ」


アズマくんの目が、どうする?って聞いてる。

皆と合流して、絵馬書くのもいいよね。

アズマくんへの思いが実りますように、って。

でも・・・・・・・今日は、せっかくの日。

もう少し、アズマくんと2人でいたい気も・・・・。

ああ、どうしようかな。

皆と一緒に恋花絵馬に願い事する?

それとも、「2人でまわろう」って言ってみる?

どっち選ぶ?

皆で絵馬に願い事をする

せっかく誘ってくれてるのに、断れないし・・・

やっぱり、願い事叶えたいもん!


みんなで願い事したあたしは…


「恋花絵馬、やってみたいな」

あたしが言うと、アズマくんも

「そうしようか」って。

その横顔が少し残念そうに見えたのは

・・・・気のせいかな?


ひと文字ずつ丁寧に、

絵馬に願い事を書いていく。

ようやく書き上げて、フ~ッとひと息つくと。

「コモリさん、ずいぶん真剣に書いてたね」

急に後ろからアズマくんに話しかけられて、

ビクッとしちゃった。

願い事、見られてないよね?

アズマくんは何てお願いしたんだろって、

思いながら顔を見ると。

「ナイショだよ」

まるであたしの心の中、

見すかされてるみたい!?

「皆、もう書き終わってつるしてきたよ。

待ってるから、行ってきなよ」

あたしは絵馬をつるすと目を閉じて

両手を合わせた。

「恋花姫様、あたしのお願い、

どうか、どうか、叶えてください!!」

ゆっくりと顔を上げたとき、

あたしの目は・・・・・・・。

隣にかかっている絵馬に、

すいよせられた。

・・・これ、アズマくんの絵馬?

鼓動が、苦しいくらいに速くなる。

・・・・・・恋花姫様!

もう一つ、大事なお願いをしてもいいですか。


アズマくんのスキな人があたしで

ありますように・・・・。

あたしはもう一度、ギュッと

目を閉じ、手を合わせたんだ。


帰りの電車。座って、ウトウトしかけてたら、

頭の上からシゲくんの声が聞こえた。

「今日は、ちょっと驚いたよ。

アズマは女の子に積極的なところ、

初めて見たからさ」

え?それって・・・・?

少し顔をあげたら、アズマくんと目は合っちゃった。

アズマくんはあわてたように、

シゲくんをドアの方へ押しやった。


2人になると、アズマくんは

あたしの隣に座って。聞いてきたの。

「え、え~と・・・・コモリさんの願い事は

なんだったの?」

何て答えようか口ごもっていると、アズマくんは・・・・。

「ごめん、やっぱりいいや。

願い事って人に言ったら、叶わない気がするし。

オレも・・・・・今日の願いごとは本当に

叶って欲しいから、誰にも言わない事にする」


アズマくんのスキな人って。もしかしたら・・・。


アズマくんに、名前呼ばれると、ときめいて。

ちょっとした、しぐさや言葉に、幸せなキモチになって。

スキな人と一緒だと、何でもないしゅんかんが、

全部スペシャルに思えるの。

あたし、アズマくんをスキになって、

本当に嬉しい!


恋が叶うという、お祭りの夜に始まった

・・・・・運命的なあたしの恋。

恋花絵馬に書いた願いが、

いつかかないますように。

あたしはアズマくんの横顔を

見上げながら、そっと祈ったんだ。


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「今日は2人でいたい」って言って見る

せっかくのチャンスなんだから、

アズマくんと2人きりのほうがいいよね!


勇気を出して、アズマくんを見あげて。

あたしは、小さい声で切り出した。

「皆と一緒もいいんんだけど、

あたし、もう少しアズマくんと・・・・・」

そこまで言ったら、突然アズマくん。

皆の方向いて。

「ごめん。オレ達、これから、他、回るんだ。

また明日、学校で」

そのまま、あたしの腕引っぱって

歩き出したんだ。

「何、それ~。お前らもしかして、

付き合ってんの?」

「へえぇ!いつからそういう関係?」

背中から、冷やかす声が聞こえてくる。

困ったなぁって、後ろを振り返ると。

「コモリさん」

って言ったアズマくんの声は、落ち着いてた。

「アイツらのことは、大丈夫だから。行こ」

アズマくんの笑顔を見てたら、気にしないで、

楽しんじゃおって思えてくる。

2人して皆に大きく手をふって。

また歩き始めたんだ。


アズマくんと2人でまわれて・・・・

やっぱり嬉しい!

スキップでもしたいウキウキ気分だよ。

「ね、綿あめに、たい焼き、お好み焼き。

アズマくんは何食べたい?」

って言うと、あれ、アズマくんたら、

じっとあたし見てる。

あたし、はしゃぎすぎだった?

恥ずかしい~!と思ったら。

「コモリさんが楽しそうでよかった。よし!

ここの屋台、全部見てまわろう」

アズマくんの爽やかな笑顔。

嬉しい気分が倍にふくらんでくよ。

それからは、何もかも夢みたいな時間!

たい焼きを、半分ずつ分けて食べたり。

スーパーボールすくいの競争したり。

リンゴ飴をかじりながら、

ヨーヨーうぶつけあって歩いたり。

この時間がいつまでも続いてほしいな・・・・。

そう思いながら、ひとつずつ、

ゆっくり屋台を見ながら歩いてたんだ。

そしたら、すごくキレイなもの見つけちゃった。

屋台に並んでいたのは、

色とりどりの小さなガラス細工。

動物や、果物にお花・・・・・

いろんな形があるんだぁ!

あ、これ、かわいい!

二匹のガラスの金魚がペアになってる・・・・。

少し大きいのが男の子、

小さいのが女の子かな?

思わず手に取ってながめていると・・・・。

「これ、ください」


アズマくんはあたしの目の前に、

買ったばかりの金魚の袋を差し出して言った。

「さっき、怖い思いさせたおわび。受け取って」

「いいの?・・・・・ありがとう!」

どうしよう・・・・幸せすぎるよ。

―――あ、いいこと

思いついちゃった☆

あたしは袋から、男の子の金魚を

取り出して、アズマくんに差し出す。

「良かったら、今日の記念に

一つもらってくれない・・・・・かな?」

「せっかくペアなのに・・・・・・いいの?」

「うん。アズマくんと一個ずつ、

持っていられる方が・・・・嬉しいから」

アズマくん、金魚をじっと見つめて、

それから少しテレくさそうに言ったんだ。

「大事にするよ。ありがとう」

「ううん、あたしこそ。一番の宝物にするね」


今夜、あたしは、宝物を二つも手に入れた。

このガラスの金魚と。

もう一つは、アズマくんをスキってキモチ・・・・・。

二つとも絶対に大事にするよ。

あたしの心の中で、

強くちかったんだ。


━━━━━━♪スキの始まり終わり♪━━━━━━


皆は、


「皆で絵馬に願いごとをする派?」


それとも


「今日は2人でいたい派?」



また今度違う話のせまぁすアップ

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