月刊きのこ人

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【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

⑥ナメコ

ぬるぬる★★★★★ 栽培の容易さ★★★★ 注目度★★★ 儲かり度★★
奥山に輝けるヌルヌルの星

今回はナメコ!

・・・いや待て、ナメコっていま普通に栽培しとるし普通に流通しとるやないか!


いや、そうですよね、そうなんです。でもちょっと話を聞いてください。ここで私はすごいひらめきに出会ってしまったんですよ!


みなさん、「なめこインサマー」をご存知でしょうか?はい、知りませんよね。漫画家・吉田戦車の書いたエッセイ集のタイトルです。その本において、ある夏の日、突然なめこを食べたいと言い出した子どもに苦慮する父親の姿を描いた話があるのです。


そこで思案した末に著者は「おやつとしてナメコを食べる」という提案を考えつき、最後には、スーパーで買ったナメコをめんつゆで食べさせてメデタシ!となるのです。


シュールな作風と余韻に漂うどこか物悲しい感じがさすがの吉田戦車ではありますが、それはさておき。


これは新しいキノコの楽しみ方なのではなかろうか!?と私は思ったのであります。


ふつうキノコといえば、みそ汁かお鍋、バーベキューや和え物もいいねぇ、となるけど、それ以外の料理もあるじゃありませんか。そう、デザート!


え、デザート??と思う方もいるでしょう。しかし中国では白キクラゲとフルーツのシロップ漬けを使った「白キクラゲポンチ」が市民権を得ていますし、オオゴムタケのように、野生キノコによる甘味レシピも存在します。


そんな中で、実はもっともデザートにふさわしいキノコが身近に存在していることに私は気づいてしまったのです。


そう、ナメコ!

ナメコのあのツルッツルプリプリ感。あれはもうゼリーに近いというよりは、ゼリーそのもの。見た目も小さくて丸くてなんかカワイイ。甘い味付けにもマッチする・・・かどうかはまあ、やってみないとわからんけど、やってみる価値あると思いませんか?


これぞキノコ界のナメコニクス的転換点、はたまたコロンブスのナメコ、ナメッコ星人もびっくりの大発明と申せましょう!!


皆さま!ナメコでキノコ業界に新天地を切り拓こうではありませんか!


 

⑤マンネンタケ

わびさび★★★★★ 栽培の容易さ★★★★★

注目度★ 儲かり度★

漢方薬と縁起物、二足のわらじ

キノコを鑑賞する方向性を考えたとき、キノコには大きな弱点がある。それは長持ちしないことだ。もう一つ言えば、育つ過程を楽しむ余地があまりない。

 

たとえば花を育てるときは、タネから芽が出て、背を伸ばし、やがてつぼみが開いて花になる、という時間がある。それが園芸の醍醐味だと思うが、キノコにはそれが無い。

 

いや、待てよ、そんなことはない。すごくゆっくり育つキノコたってあるじゃないか!

 

そこでマンネンタケの出番である。

マンネンタケは「霊芝」と呼ばれ、漢方薬にも用いられる薬用キノコだ。

薬効はさておき、見た目にもニスを塗ったような美しい色つやがあり、不老長寿の妙薬として珍重された歴史も手伝って、床の間の飾り物にされることがある。

 

これを盆栽みたいにして、育てながら鑑賞できたら面白いのではないだろうか。

 

マンネンタケはすでに栽培方法が確立されている。原木・菌床、どちらでも栽培可能で、空調施設無しでも育てられる。多湿とほどほどの高温を好むため、梅雨の前後に時期が限定されてしまうのが難点ではあるが、成長するまで1〜2か月かかるので、成長する様をゆっくり楽しむことができる。

 

育てたあとは煎じて飲むこともできるオマケ付き。ひと粒で2度おいしい、かなりおトクなキノコだと言える。(ただし、むやみに服用するのはNGらしい)

 

まあ正直言って、これで儲かるとはとても思えないが、園芸店やホームセンターのラインナップに加えてもらうだけなら、なんかできそうな気がしてくる。キノコの新しい可能性を示すという点で面白い存在ではなかろうか。

④コガネキヌカラカサタケ

運のよさ★★★★★ 栽培の容易さ★★★ 注目度★★★★ 儲かり度★

鉢植えからビックリドッキリ黄色いキノコ

ここからは「栽培したキノコを食べる」という発想から抜け出してみよう。そこからは新しい風景が見えるに違いない。

 

私がまず考えたのは、キノコを眺めて楽しむことはできないか、ということだ。

植物は果物や野菜として食べるだけではなく、育てて眺めて楽しむ園芸植物がたくさんある。魚だって熱帯魚のように飼って楽しむことができる。動物や虫だって。じゃあキノコにも鑑賞して楽しむものがあっていいのではないか、と。

 

そう考えて適任のキノコがあることに気づいた。コガネキヌカラカサタケだ。

 

コガネキヌカラカサタケは南方系のキノコで、腐葉土などに菌糸が混じっているものか、観葉植物の鉢植えに突然生えてきて、人を驚かすことがある。

 

気持ち悪いと思われる一方で、「幸運の黄色いキノコ」とあだ名されるように、これを好意的に見る人も多い。これを栽培できるようにしたら面白いのではないだろうか。

 

頼まなくても勝手に生えてくるくらいだから、栽培も比較的簡単に違いない。

さらに、聞いた所によると、このキノコは「菌核」という菌糸のカタマリみたいなものを作るらしい。これを植物のタネのようなものとして扱えたらすごく便利だ。商品としてめちゃくちゃ有利な条件じゃないだろうか。

これを腐葉土か何かといっしょに鉢植えにまいて、水をかけていればいつかキノコが生えてくる。なんかワクワクしてくるね〜(*´ω`*)

 

SNSで話題になって一世を風靡する可能性だってあるかもしれないぞ!

 

問題はキノコの寿命が短すぎること。気温にもよるけど、せいぜい2〜3日といったところ。そしてもうひとつ、栽培がうまくいってるかどうかはキノコが生えるまでわからないこと。植物なら見た目でうまくいってるかどうかは何となくわかるんだけどね、これキノコだから。

 

そもそも菌核ってどんなだろ。誰か研究してみませんか〜?

 

コガネキヌカラカサタケ栽培ブームがやってきて、一攫千金が成ったあかつきには、幸運の黄色いキノコが本当に金運を呼び込むことが証明される!?

③アミガサタケ 

味 ★★★★  栽培の容易さ ★★★  注目度 ★★★★  儲かり度★★
欧米で愛されるキノコ界の穴ボコ貴公子

キノコ好きにはおなじみのアミガサタケ。

春、他のキノコに先んじて生えてくる個性派キノコで、欧米ではモリーユ、モレルなどの名で呼ばれ愛されている。

 

その生態に謎が多く、栽培は難しいと思われていたが、近年は努力の甲斐があって、特にブラックモレルと呼ばれる黒いアミガサタケの仲間が栽培できるようになった。

 

実際に中国ではアミガサタケが盛んに栽培されている。畑地に簡易ハウスを組み合わせた栽培で、他の作物とローテーションする形で運用されているようだ。日本でも国産アミガサタケでの栽培の研究が進んでおり、そう遠くない将来に軌道に乗せられるのではなかろうか。

 

栽培にいくらかメドがついていて、しかもイタリア料理店などに引き合いが強く販路にも困らない。乾燥品としての扱いが多いことから、鮮度を気にせずストックできるのも強みだ。

 

まさにいいことづくめのキノコだが、日本で生産者として挑戦しようとする人がまだ現れないのにはワケがある。採算をとれるかが未知数だからだ。


アミガサタケは単価がそれなりに高いが、栽培が畑ベースのため、エノキタケやブナシメジといった菌床キノコに比べてはるかに生産性が低い。アミガサタケ単独で生計を立てるのは厳しいかもしれない。(過去記事参照)

ほかの職業と兼業でやるとか、地域おこしとして自治体などから補助を得る、有名飲食店やホテルと提携して付加価値をつけるなど、商売としては、ひと工夫が必要だろう。

 

もう一つ。そう簡単ではないだろうが、マッシュルームのように屋内で季節を問わず生産する栽培方法を確立するという道もある。これが完成すれば

栽培の容易さ★ 儲かり度★★★★★

と評価は一変する。

かなりまとまった資金が必要で、リスクも高いが、アミガサドリーム待ったなしである。

 

アミガサタケの可能性を信じたい。

②トリュフ  

味 ★★★★  栽培の容易さ ★★  注目度 ★★★★★  儲かり度★★★★★

キノコ界随一のセレブ食材
世界三大珍味とも呼ばれているトリュフ!
フランスやイタリアなどで特に好まれ、その高級さゆえに「黒いダイヤ」との異名を持つ高級食材である。
トリュフ(セイヨウショウロの仲間)には、食用・非食用を含め、たくさんの種類があり、そのうちのいくつかは日本にも産する。地下に生えるキノコであるため、これまでキノコ好きですら注目していなかったが、近年、そういった地下生菌を積極的に探す人が増え、各地で発見の報告が相次いでいる。地域によってはごく当たり前に発生するようだ。

栽培は古くからなされていて、かつてフランスでは広大なトリュフ園があったという。

トリュフは基本的に木の根にとりつく菌根菌であるため、シイタケやエノキタケを育てるような菌床栽培とは違い、露地で行う「林地栽培」が基本らしい。木の苗の根っこにトリュフの菌を感染させ、それを植え付ける。栽培には時間がかかるが、決して難しい方法ではない。現在でも世界各地で栽培されている。


日本に産する食用トリュフは、イボセイヨウショウロ、クロアミメセイヨウショウロ、ホンセイヨウショウロなど。
天然ではイボセイヨウショウロを代表とする黒トリュフが多いようだが、海外産のトリュフと比べると評価は高くないらしい。その点、白トリュフであるホンセイヨウショウロは、発生は比較的まれであるが非常に価値が高いとされる。目下、栽培に向けて研究中だとか。

 黒トリュフはもちろんだが、白トリュフの栽培を軌道に乗せられれば・・・。


海外の栽培ノウハウが、高温多湿である日本で通用するかは未知数だ。しかも屋内栽培と違って発生スパンが長いので、栽培方法を研究するにしても時間がかかる。

その道のりは険しいものになるだろうが、市場の規模が大きく、販路の開拓は比較的やりやすい。何より単価がべらぼうに高い。それに見合うだけの価値は十分にあると思う。


トリュフ狩りとして観光に展開することもできるし、放置されている里山を活用して、農山村復活の起爆剤にすることだって可能だ。


夢のあるキノコの一番星と言っても言い過ぎではないだろう。
 

(2016年の記事に加筆修正)

エリンギ、ホンシメジ、タモギタケ、ハナビラタケ、ササクレヒトヨタケ・・・

いま、かつて見ることのなかったいろいろなキノコが栽培可能になり、市場に出回っている。

たとえばキノコ最大手のホクトは、新品種『霜降りヒラタケ』を開発し、テレビCMをうって市場にアピールしている。
同業の私から見ても、日持ち・味・ボリュームの点で、3拍子揃ったいい商品として目に映る。でも、売れているかというと、うーん。
「人気がある」って感じには見えない。

「なんか他のキノコとシェア食い合ってんなぁ」ってのが正直な印象だ。

栽培キノコは工場の大規模化により、年々生産量を拡大し続けていたが、15年前くらいに頭打ちになった。とうぜんながら消費量もあまり変わっていない。この状況でさらに新しいキノコの栽培を始めても、けっきょく他のキノコと競合してしまうので「大ブレイク」みたいのはなかなか期待できない。

じゃあどうすればいいか。流通量の多い、ふつーのキノコ栽培を続けてコストカットに努めましょ!ってのが正論。でもねぇ。

・・・やっぱ栽培キノコの新規開拓ってのは夢とロマンがあるのよ!

ということで。これから栽培を始めたら有望なキノコは何かをキノコマニアの立場で考えてみた!

考察:おいしいだけじゃダメ
結論から言おう。「おいしいだけじゃ広まらない」!
ずば抜けておいしいはずのホンシメジやハタケシメジのシェアがあまり広がらないのがいい証拠である。かと言って価格競争では今のエノキ、ブナシメジ、エリンギあたりに勝てるわけがないので、いま目指すべきは「個性」。これに尽きる。

マツタケを見ればわかる通り、個性のあるキノコは、オンリーワンとして他のキノコとシェアを食い合わない。
 

①カンゾウタケ   

味★★  栽培の容易さ★★★★  注目度★★★★  儲かり度★
栽培キノコ界の超ダークホース
すでに栽培が可能とされていて全く流通していないものとしてカンゾウタケをあげたい。

赤い!酸っぱい!なんかキモい!!ということで、個性的であることに異論をはさむ余地はまったくない。問題は、その赤さと酸っぱさにあまりにも馴染みがなさすぎるということ。キノコが赤い時点でドン引きなのに、なおかつ酸っぱいとか、明らかにやりすぎである。

なお、大多数のキノコファンのあいだでも「マズい」というのが共通認識のようだ。

しかし!マズいからこそ誰も注目していない。そこにこそチャンスがあるともいえる。

本当はマズいのではないのだ。まだおいしい食べ方がきちんと研究されていないだけ!この日本の高い調理技術にかかれば、きっと「日本人の口に合うおいしいカンゾウタケ料理」が見つかるであろう。そのとき、カンゾウタケは未曽有のブレイクスルーを迎えるだ!グワハハハハ!

生でも食えるという触れ込みだが、「食える」というだけでそれ以上のものではないし、安全性にも少し不安がある。加熱調理の方がポテンシャルが高いというのが私の見立てだ。

毎度、口をすっぱくして言っている(カンゾウタケだけに)が、塩をしっかり効かせてソテーするとかなり旨い。

売り方としては、スーパーに並べるようなことはせず、プロが調理する前提で飲食店で出すのが良いだろう。見た目のインパクトがあるのでSNS展開にも向いている。


ただ、このやり方で儲かるかといえばかなり怪しい(^-^;

きのこonきのこ、屋上屋を架す、のヤグラタケ。

 

クロハツなどの他のキノコの上から生えてくるという珍しい生態のキノコ。

前々から私が気になっているのが、はたしてヤグラタケはどんな早業を使ってクロハツに感染し、クロハツが腐るまでのごく短い時間でキノコを作るまで行くのか、ということだ。

もしかしたらクロハツがきのこを作る前の段階から寄生が進んでいて、栄養を奪いつつ準備しているのかもしれない。クロハツのキノコが大きくなるまでは成長の邪魔をしないようにしなければいけないし、さりとて遅すぎてもいけない。かなり巧妙な仕組みを仕掛けているのだと思う。

 

生長しきったヤグラタケ。このキノコは傘の上に胞子をつくるという珍しい特徴を持つ。


これは厚膜胞子と呼ばれる特殊な胞子で、普通の胞子より大きくて丈夫。遺伝子的にはクローンなので、植物で言うところのムカゴみたいなものらしい。


寄生する仕掛けには、この厚膜胞子が重要な役割を果たしているに違いない。
 

おいしそうな見た目のシメジが列をなしているのに出くわした。これはカキシメジだ。

有名な毒キノコで、中毒する人が多いため、ツキヨタケ、クサウラベニタケと並んで「毒キノコ御三家」と呼ばれることもある。ただ実際は、他の二種と比べて大きく水をあけられていて、特に最近はカキシメジで中毒したという話はほとんど聞かない。

 

においを嗅いでみるとわかるけど、カキシメジは古い機械油のような、あんまりよくないにおいがする。すこし用心していれば食中毒を防げるだろう。

 

ちなみにカキシメジには複数の種類が混じっていて、たとえばこの写真のものは苦味が強く、「ニガシメジ」と呼ばれるものだと思う。

芝生キノコの常連さん。

キコガサタケ撮るの楽しい・・・
 

ムラサキヤマドリタケ。夏の里山を代表するイグチの仲間。

紫色の地に黄色い斑入りのものが一般的だが、その見た目は変化に富み、ときどき似ても似つかないものも見られる。

 

上品な紫色から、源氏物語のヒロインのひとりとイメージを重ねて「紫の上」と呼ぶ人もいるようだ。