1)トビウオの顔から考える木の家の形 | 木の家散歩

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木の家の設計監理経験豊かな建築家・山中文彦と木材産地、職人技術者のネットワークにより、夢の木の家を造る「木の家づくりネットワーク」のブログです。自然素材を活用し、家族と環境に優しい、本物の木の家をCM型施工管理システムによるリーズナブルコストで実現します。

久し振りにトビウオのお造りを頂きました。ささやかな幸せに舌鼓を打っていると、その顔が気になりました。

どうも他の魚の顔と違います。


横から見ると目の大きさがひときわ目立ちますが、どうも平べったいですね。

鯵の顔と比べると、縦横が反対になるくらいにプロポーションが違います。

胸ひれが大きく、上に向けて飾られています。

そこで、正面から見るとまた不思議な顔です。


頭の上の部分が水平であること、頭の上から下にかけて逆三角形の形をしていることが良くわかります。

この形はどこかモーターボートの正面を見ているようなイメージがあります。

そうです、トビウオは外敵から身を守るために、水中から水上に飛び出すことを選んだ魚でした。

その時に、水面を滑空するにはこの形が適していたのではないでしょうか。

命を守るトビウオの形・デザインはこの頭の形と大きく硬い胸ひれ、そして周りを見渡しやすい大きな目に表れていろように思われます。

ながい進化、適応の過程で遺伝子レベルで獲得してきた動物の形は、無駄が無く、美しいのは、大いなる自然の中で生かされている、生き抜いてきた美しさではないでしょうか。

木の家も、日本の気候風土に適合しながら、メンテナンスやランニングコストをかけるかたちで自然環境に負荷をかけることなく、長い時間と歴史の中で適応し、淘汰され、生き延びた家の形、デザインがあります。

建築材料、技術の開発、CADによる設計の発達によって、デザインも設計者のアピールと住まい手の自己顕示を代弁するがごとく、様々な形が発想されています。

しかい、長い歴史に耐えうるデザインになるかは、自然と向き合いながら、無理をせずに長きに渡って残っていく形、デザインであるかが大きく関わっていると思います。

思いつきの突然変異は自然から淘汰されます