4)見積に必要な実施設計図と数量調書 | 木の家散歩

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木の家の設計監理経験豊かな建築家・山中文彦と木材産地、職人技術者のネットワークにより、夢の木の家を造る「木の家づくりネットワーク」のブログです。自然素材を活用し、家族と環境に優しい、本物の木の家をCM型施工管理システムによるリーズナブルコストで実現します。

見積を適正な内容で作成するには実施設計図書が必要です。


実施設計図書の内容から、どのような材料を、どこの箇所に、どれだけ使用するかを読み取ることになりますので、それらの情報がきちんと記入されていなければなりません。


外部や内部の部屋の仕上げ材料を記入した仕上げ表、面積表、各階の平面図、断面図などは一般的な図面のため一般図と呼ばれています。


その他に、木の家の骨格=木組みを設計した構造図があります。

柱や梁などの木組みを支える木材の大きさ、長さを構造計算に基いて決められた寸法が表示された伏図と呼ばれるものや、基礎の形状や鉄筋の配筋の仕方を記入した基礎伏図、詳細図などです。


また、室内の壁などがどのように作られていくかを示した展開図、天井の内容を書き込んだ天井伏図、サッシや室内のドアや引き戸、収納などの扉を戸のようにするかを記入したサッシリスト建具表などが必要です。


このような建築図の他にも、水道管や排水管、衛生器具リストを描いた給排水衛生設備図、電気コンセントや照明、スイッチ、冷暖房換気設備、テレビ・電話・インターホンなどの配線図と機器リストなどの電気設備図などの設備図があります。


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図面リストですが、全部で124枚になります。

この図面が竣工後に竣工図として建築主さんに引き渡されます。




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詳細図の一例です。

細部にわたって材料仕様や数値が記入されています。


こうした図面から一つ一つ使用する材料や必要とする労務費(施工手間など)を拾い出すことを積算と言います。


その積算数量に対して、材料や労務費のの価格を値入れしていくことで工事原価が算定されます。


日本の設計事務所ではそうした数量積算を行わないところが多いため、どのように積算するかが分からない事務所が多いですが、公共工事や大型民間工事などでは積算事務所が協力しながら設計事務所が数量積算を行うことが標準です。


実は、設計とは設計内容を記入した図面のことだけでなく、こうした積算数量調書の作成も含めて設計と呼ぶのですが、日本の設計料が安いため、ほとんどは建設会社=ゼネコンに任せているのが多いと思われます。


工務店選定において、設計図書に基いて複数の工務店に競争見積を提出してもらい、それを比較して適正な見積内容と技術力によって施工工務店を決めることが望ましいと言われますが、図面をしっかりと用意すれば用意するほど細かい数量積算に時間がかかり、標準的な規模の住宅の見積でも、その仕事だけでもスタッフ二人で少なくとも一週間はかかります。


そのような経費をかけて、3分の1以下の確率で見積したところで、契約にいたらなかったときは、その経費が回収できる仕事量があるときは見合うでしょうが、現在のような状況では決して喜んで競争見積をまじめに行うことは難しくなってきています。


そのためには、きちんとした図面と数量調書を設計事務所が作って、施工者が単価を入れるだけの見積でしたら施工者の負担が少なく、同じ積算調書に対しての値入れになるため、横並びに比較するだけで適正な見積の判断がしやすくなります。


しかし、設計事務所でそこま出来る、行うところは少ないのが実情です。


木の家づくりネットワークでは、原価公開CM型見積方式を取っているため、こうした積算数量調書を作成し、材料、労務費の原価を明示することで積算しています。



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