春の宝物

春の日差しが降り注ぐ中、僕は仕事の合間にふと竹藪が目に入った。緑の葉が風に揺れ、どこか懐かしい香りが漂ってくる。

「そういえば、お母さん、筍が好きだったよな…」

思い出したように、僕は竹藪に足を踏み入れた。まだ柔らかい土を掘り起こすと、そこには真っ白な筍が顔を出していた。

「わあ、すごい！」

思わず声を上げてしまう。こんなに立派な筍を見たのは初めてだ。

「お母さんに喜んでもらいたい！」

そう思った僕は、いくつか筍を掘り、家に持ち帰った。

母は筍を見て目を輝かせた。

「あら、筍なんて！どこで採ってきたの？」

「仕事場の竹藪でだよ。」

「そうなの！ありがとうね。早速料理するわ。」

母の手にかかれば、筍はあっという間に美味しそうな煮物や混ぜご飯に変身した。

「うーん、やっぱりお母さんの料理が一番美味しい！」

僕は幸せそうに頬張った。

次の日、僕はパート先のお弁当に母の作った筍料理を詰めた。

「わぁ、美味しそう！」

同僚たちも喜んでくれた。

「これ、お母さんが作ってくれたんだよ。」

「そうなんだ！お母さん、料理上手だね！」

みんな笑顔で筍料理を味わっていた。

春の味覚を分かち合うことで、家族や仲間との絆が深まったような気がした。

あの日、竹藪で掘り出した筍は、僕にとってかけがえのない宝物になった。

児童小説のポイント

その他

僕のお母さん。筍。