「万博と空母と中華街、そして私」

大阪万博の開催が迫り、宿泊施設の不足が懸念されていた頃、政府は驚くべき策を講じました。なんと、謎の漂流をしていた中国の空母を大阪湾に曳航し、宿泊施設として活用することにしたのです。

広大な甲板は、当初スポーツ施設として市民に開放される予定でした。しかし、いつの間にか中華系の人々が集まり、無数の露店が立ち並ぶ、活気あふれる中華街へと変貌を遂げたのです。

夫と私は、万博見学のついでに、この話題の新中華街に宿泊することにしました。空母という非日常的な空間に足を踏み入れると、そこはまるで異国情緒漂う別世界。色とりどりの提灯が夜空を彩り、食欲をそそる屋台の香りが漂います。

「こんな場所で眠れるなんて、夢みたいだね」

夫の言葉に、私も深く頷きました。

空母の甲板に設けられた客室は、思った以上に快適でした。窓の外には、大阪湾の夜景が広がり、行き交う船の灯りがロマンチックな雰囲気を演出しています。

翌朝、私たちは中華街で朝食を済ませ、万博会場へと向かいました。万博の熱気と、新中華街の活気。この二つが織りなすエネルギーに、私たちはすっかり魅了されてしまいました。

今回の大阪旅行は、万博だけでなく、思いがけない空母中華街との出会いによって、忘れられない思い出となりました。異文化が融合するこの不思議な空間は、きっとこれからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。


野原サクラ