学食デートと桜
今日は、主人が大学の学食に誘ってくれました。
「たまには、僕の日常を覗いてみない?」
そう言って微笑む顔は、何だか少し誇らしげです。
学食のメニューは、決して華やかではありません。しかし、一つ一つの料理に丁寧な仕事ぶりが感じられます。
今日のご飯は、大学で開発されたという黒米。プチプチとした食感が楽しく、噛むほどに滋味深い味わいが広がります。唐揚げは、特別に飼育された鶏肉を使っているそうで、驚くほどジューシー。お味噌汁も、出汁がしっかり効いていて、心まで温まります。
「美味しいね」
思わず笑顔がこぼれます。
「ふふ、だろ?」
主人は得意げに笑いました。
窓の外には、満開の桜。
淡いピンク色の花が、春の陽光を浴びて輝いています。
「桜、綺麗だね」
「ああ、本当に綺麗だ」
主人は、桜並木を見つめながら、
「この桜のように、僕も大きく成長したい」
と、呟きました。
その横顔は、以前よりもずっと頼もしく見えます。
美味しいご飯と、満開の桜。
そして、成長を続ける主人。
今日の学食デートは、忘れられない思い出になりそうです。
野原サクラ