「うちのタローったら、本当に変わってるのよ。頭はいいんだけどね。この間なんて、パク監督の映画にパク監督の子供時代役で出ちゃったのよ。これがまた、どこか本当に似てるって評判で。撮影の時、パク監督のお母さんも見に来ていたんだけど、『まったくこの通りだ』って感心してたんだから。

実はね、パク監督のご両親は千葉の幕張に住んでるの。ごみ収集のお仕事をされてるんだけど、パッカー車を何十台も持つ大手の収集業者さんなの。だから、ご実家はとっても立派で。

でもね、監督がタローくらいの頃は本当に大変だったらしいのよ。パク監督の一家は、ひいお爺さんの時に日本に来て、工事現場とかで寝泊まりしながら暮らしてたんだって。おばあさんは日本人なんだけど、戦後も韓国に引き上げないで、日本で事業を始めたの。最初はリアカー一台からだったらしいのよ。それが数十年かけて、日本や韓国の経済が発展するのと合わせて、どんどん豊かになっていったんだって。

今はソウルには監督の奥さんと子供たちだけが住んでいて、他のみんなは日本で暮らしてるの。奥さんも日本人なのよ。国際色豊かな家族よね。」


野原サクラ