天才子役タローのアドリブ大作戦
うちの息子、タローはちょっと変わってるんです。頭はいいんだけど、興味のあること以外は目に入らないタイプ。そんなタローが、あのパク・ジュンイル監督の映画に子役で出演することになったんですから、親としては驚きでした。
しかも、役どころはなんと監督の子供時代! ただ、撮影は日本で、セリフは全て日本語。字幕が入るので、タローは韓国語が話せなくても大丈夫だと安心しきっていたんです。ところが、届いた台本は全て韓国語! パク監督いわく、「アドリブでいいから、イメージで演じてくれればいい。字幕なんだから、多少違ってもわかんないよ」とのこと。
まあ、確かにタローは自分で動画をたくさん作ってるし、セリフを考えるのはお手の物。それに、撮影場所は東京の下町。昭和の雰囲気が残る場所で、パク監督の子供時代の城北地区とは少し違うけど、雰囲気はバッチリ。
タローは他の日本人の子役たちと、ほとんどアドリブで演じきりました。言葉は違っても、子供同士、感覚で通じ合うものがあるんでしょうね。他の役者さんたちも、アドリブの方が自然な演技になるって言ってくれて、私もホッとしました。
タローは天才子役だなんて言われることもあるけど、私にとっては、ちょっと変わってるけど、誰よりも優しい自慢の息子なんです。
野原サクラ