息子のタローは、ちょっと変わったところがあるけれど、聡明な子です。

先日、タローの小学校の体育館が新しく建て替えられました。古い体育館は昭和46年に建てられたものでした。

解体が始まる前、タローは体育館の裏側で奇妙なものを見つけました。それは、コンクリートに刻まれた靴跡でした。おそらく、体育館ができた当時、子供たちが遊び半分でつけたものなのでしょう。

しかし、タローは靴跡を見て、妙なことに気が付きました。それは、靴跡に残されたロゴが、当時日本で販売されていた運動靴のものではなかったのです。もしかしたら、当時この小学校に通っていた外国人の子供が残したものかもしれません。

タローは解体業者の方に頼み込み、靴跡の部分だけを切り取ってもらいました。

息子は一体何を考えているのでしょう。

変わり者の息子を持つ母親の、ささやかな驚きでした。


野原サクラ