今回はダンピングファクターとスピーカーケーブルの話です。
今までよく分かってなかった、「ダンピングファクター」について勉強しました。
値が大きい方が性能がいいぐらいの認識だったのですが、ダンピングファクター(以下DF)の値が小さいと、音が籠る(低音が締まらない、速く減衰しない、ぼやけた音)原因となるみたいです。
具体的には音楽の場合20を下回らなければよいとのこと。(20〜50が実用範囲)
色々なサイトのデータを見てみると、多少前後しても問題はなさそうだけど、目安としては20は納得ですし、10近辺になってくるとちょっと無理がありそうです。
このDF、音響というより、オーディオ界隈でよく話題になるようです。
特にパワーアンプの性能の指標の一つとして、盛んに議論されているみたいです。
でも、調べていくと、音響機器については、パワーアンプはあまり関係ないと出ました。
実際に、計算式に当てはめて計算してみると、トランジスタのパワーアンプのDFは、あまり関係ないというか、YAMAHAのサイトにも書いてあったけど気にしなくていいに近いです。
なんだ、だったら音響をやる上で、DFの値なんて気にしなくていいじゃんと思ったら、そうはいきませんでした。
アンプ単体では200とか300といったDFの値で問題なくても、音響システム全体で考えると、意外とDFは小さくなっています。
何がDFを下げているかというと、スピーカーケーブル!
オーディオの場合、1〜3mもあれば足りる?けど、PAの場合はそうもいきません。
5mは短め、10m、20mも当たり前の世界。
長くなれば導体抵抗が大きくなり、DFが下がる。というわけです。
で、どれぐらいの長さになるとDFが20を下回って、支障が出てくるかというと、当然ケーブルによって違います。
例として良く使われる&データが公表されているCANARE社のケーブルで計算&比較してみます。
アマチュアPAが使いそうな4S6、4S8、4S11の比較です。
それぞれ何mならDFが20を下回らないのでしょうか?
*これから出てくるケーブルの長さについては、DFが19.4とか若干20を切っているものもあります。あくまでも目安です。
まずは、CANAREの「4S6」から。
【8Ωは10m、4Ωは5m】
要するに、一般的な8Ωのスピーカーを使おうとしたとき、メインの外音が1対なら10mまで、スピーカー2台をパラレルで接続して2対(または、ウーファーを追加)にすると、5mまでになるってことですね。
実際音響をやっていると、ステージ幅+3mぐらいが必要なスピーカーケーブル長の目安になります。(+3mは、結構ギリですけど)
スピーカーケーブル長からステージ幅を計算すると、8Ωの場合、ステージ幅が7m、4Ωの場合ステージ幅が2mってことになります。幅が2mのステージって笑
つまり4Ωでの運用は実用的ではないってことです。
スピーカー1対(8Ω)までて足りる、カフェとか、教室サイズぐらいの小規模ステージまで対応可能です。弾き語りか小音量のバンドまでですね。
「4S8」は
【8Ω20m、4Ω10m】
8Ω運用であれば、大きなホールでもない限り、大体どんなステージでもいけますね。
10mあれば、間口7mぐらいのステージがギリギリ対応可能。
ということで、中規模ステージでのバンド演奏も(ギリギリ)OK。
「4S11」は
【8Ω40m、4Ω20m】
これなら、中規模の現場は余裕もって使えます。ステージ幅15m超えまでOK。
体育館サイズはちょっと厳しいかもしれませんが、小さなホールぐらいまでは行けそうです。
さて、3種類比較してみました。
これだけで判断すれば4S11買っておけば、安心みたいに思うでしょ?
そうも言ってられないのが、難しいところ。
まず問題になるのが、値段です。
4S11は4S6の約3.5倍、4S8の約1.7倍の値段です。
数mならともかく、中規模でも100mぐらい使いますからね。。。
出せる人もいるでしょうが、高いものは高いです。
次に問題になるのが取り回しです。
4S6 直径6mm
4S8 直径8mm
4S11 直径11mm
今気づきました。型式の末尾の数字は直径なんですね。
ケーブルの巻比べってやったことない人が多いと思いますが、結構直径で巻き心地が変わります。
(私はギターのシールドで経験済み)
ケーブル巻いてて普通って感じなのが、6mm前後で、ちょっと太いなって感じるのが7mm前後。ここまでは巻きにくさを感じないんですけど、8mm程度になると極太って感じで巻きにくいんですよ。
11mmのケーブルは巻いたことないんですけど、想像を絶する巻きにくさだと思います。。。
また、巻き心地が悪いだけでなく、体積と重量UPで搬出入が大変になると思います。
太いケーブルの取り回しは最悪ですね。
結局、中小規模のPAでちょうどいいのは、4S8。
感覚的には4S8でも太くて取り回しどうなのって感じがしますが、がまんできます。
で、自分は何使っているかというと、奇跡的に4S8なんです。
何もわかっていなかった10年前、なんとなく太い方がいいだろうって、太い方を買って、それ以降全部同じので揃えていました。
自分の「とりあえず迷ったら、高い方買っとけ主義」に感謝しています笑
そういえば自分の機材で音響をやると、
「きれいな音を出してくれる」
「クリアな音でいい」
「やりやすい音」
って言われるんですけど、音響の腕とかではなく、
「スピーカーケーブルの差」
なのかもしれません笑
ちなみに乗り込みやステージマンで音響に入ると、みなさんが使っているのは4S6。
短くて届かないのはNGなので、15mや20mを使ってるのを見ますが、20m4Ω運用だとDFは約5です。
「そりゃ低音締まらないよね」
って感じです。
そもそもアマチュアアーティストはきちっとアタックが出せない関係で、音量を稼ぐと低音成分が多めになりがちになることがが多いです。
低音成分が多いところに、ぼやけた低音を出すPA機器が合わさると、
・音が分離しない
・何やってるのかわからない
っていう、地獄絵図が目に浮かびます、、、
アーティストの評価にさえ影響がありそうです。
スピーカーとパワーアンプのインピーダンスや許容入力の話と違って、ダンピングファクターは値が小さくなったからといって壊れるわけでも、音が出なくなるわけでも、事故につながるわけでもありません。
でも、イベントのクオリティには影響がありそうです。
今後、PA機器をそろえるみなさん、スピーカーケーブルのことも考えてあげてください。