前々から
『フリューゲルホルンの良いケースは無いですか?』
というような事を良く聞かれるので、僕なりのケースの選び方をお教えします。

さて、フリューゲルホルンのけすですが、う~ん確かに難しいです。。
なかなか良いものが無い、というのが現状ですね。
楽器自体、メーカーに寄っても大きさも形も違うので、トランペットのように『大体何でも使える』と言ったようなケースが少ないです。



●『ハードケース』

トランペットもフリューゲルホルンも同じ事が言えますが、やはり安全面で一番しっかりしているのは『ハードケース』です。
外側がきちんと固いもので覆われているもの。
しかし、この『ハードケース』も選び方を間違えると逆効果になります。

『ハードケース』は外側がしっかりしている分、どうしても重量が増えてしまいます。
という事は、衝撃が加わると『楽器+ケース』の重さがそのまま中の楽器にかかってしまうのです。
ですからハードケースを選ぶ際は
『ケースの中できちんと楽器がホールドされている事』
かつ
『衝撃を逃がす程度の柔軟性のある内装』
が良いと思います。

以前アメリカに住んでいるとき、ボブリーブスにピストンのアライメントをお願いした事がありました。
その時に彼が言っていた事は、
「楽器を送る時は絶対にハードケースから出して、大きめの段ボールに『ワーム(梱包する時に使うススポンジ)』を入れてその中に直接楽器を入れて送る事。その際、くれぐれも楽器ケースに入れて送らないで下さい!また、段ボールは衝撃があっても大丈夫なように楽器よりも一回り大きい物を選んで下さい」
と言われました。
これでも分かる通り、衝撃は『受けとめる』のではなく、『逃がす』ことを考えるのが良さそうですよね。

そこで僕がお勧めなのは『ソフトケース』です。


●『ソフトケース』
どうしても『ソフトケース』は衝撃で楽器が曲がるのでは?とか軟らかくて不安、という人も多いと思います。
確かに満員電車のようなジワジワと押される場合は弱い部分もありますが、比較的短い衝撃(ぶつける、落とす、たたく、など)には『ソフトケース』の方が良いかも知れません。
上記のボブリーブスの言葉の通りですね。
ただし、『ソフトケース』でも選び方があります。
まず
『楽器よりも比較的大きめのものを選ぶ』
『軽いものを選ぶ』
です。
比較的大きめのものは、楽器とケースの間にスペースがあるので衝撃が加わっても楽器が『逃げる』隙間があります(ハードケースとは反対の考え方です)。
そして、軽ければ軽い程、衝撃の力も少なくてすみます。
ですから、『ソフトケース』の場合はケースの中にあれこれ色々なものを入れるのは出来るだけ避けましょう。『ソフトケース』+『色々入れておくカバン』の組み合わせが良いと思います。
冒頭にも書いた通り、フリューゲルホルンはメーカーに寄って形も大きさも違うので、こういう『一回り大きいソフトケース』に入れて持ち運ぶのが良いのではと思います。




『ガツン』とした衝撃を受けた楽器は鋭角な凹み、曲がりになります。以前僕はトランペットをハードケースに入れていて、高さ20センチくらいからコトンと落とした事がありました。
そのケースは中できちんとホールドしていないものだったので、わずか20センチの高さからにも関わらす、ベルが思いっきり曲がってしまいました。。。それ以来そのケースは二度と使っていません。
本当に『ケース選び』大切です。




ちなみに以下が僕が使っている(いた)ケースです。


こちらはカーボン製のケース。特注です。金額に直すと100万円をゆうに越えるらしいです。。
(制作してくれた岸さん、ありがとうございます)
土濃塚隆一郎 (Ryuichiro TONOZUKA) official Blog

中身はこんな感じ。ミュートもマイクも色々入ります。とっても便利。
土濃塚隆一郎 (Ryuichiro TONOZUKA) official Blog


こちらがBACHの『ソフトケース』
これが非常に優れものでした。でも結構短い期間のみの販売だったので今はもう手に入りません。
土濃塚隆一郎 (Ryuichiro TONOZUKA) official Blog
最近では『GARD』が似たものを作っていますね。
でもなんでフリューゲルホルンのケースは布製だけなんでしょう(笑)?で、その生地がちょっと貧弱。。(僕の生徒でも数名持っていますが、一年で角が擦り切れてしまっていました。。)『ウォータープルーフ』では無くていいのでもう少し丈夫な生地で作って欲しいですね。あとぜひ革製も!


こちらはラニオンブルーの『ダブルケース』
フリューゲルホルンとトランペットが入ります。
アニバーサリーモデルです。この皮がたまらないです(笑)。もう手に入らないんだろうな~。
こんな見た目でもちゃんと『軽い』です。当時でも相当高かったと記憶しています。
土濃塚隆一郎 (Ryuichiro TONOZUKA) official Blog
この手のダブル(トリプル)ケースは色々なメーカーから出ています。でも全体的に重いかな~という印象です。楽器が2本(或いは3本)入る時点で結構な重さになるので、ケースは軽く無いと、いざ衝撃が加わるともろに楽器にダメージが伝わります。
ダブル以上のソフトケースを考える時はこの辺りをしっかりと考慮してみて下さい。