こんにちは。保険のミカタです。

 

香港も夏本番を迎え、日中外を歩くと汗びっしょりです。

 

そのまま室内に入るとエアコンがガンガンに効いていて、

その時は気持ちが良いのですが、この温度差を繰り返すうちに

体調を崩してしまいがちです。

 

今回も香港の貯蓄型保険について、引き続き説明をしていきたいと思います。

 

前回の記事では、貯蓄保険の名義変更機能、後継人指定、

ポリシーの分割機能について説明しました。

 

つい最近、M社の日本支社が法人向けに販売していた名義変更プランと

呼ばれる貯蓄プランが、行き過ぎた節税により金融庁から

業務改善命令を受けたというニュースが報道されていました。

M社の日本と香港は別法人で、販売しているプラン内容も全く異なります。

 

香港では、もともと法人税の税率が非常に低く設定されており、

控除項目も多岐に認められているため、企業の節税を目的に

設計された節税保険プランなるものはそもそも需要があまりありません。

 

それよりも、保険が持つ保障機能や貯蓄機能を上手く活用し、

企業のさまざまなリスクをヘッジすること、従業員の福利厚生を

充実させること、資産形成を行うこと等、企業が保険本来の機能を

最大限に活用ことの方が重要視されており、保険会社側でもスムーズな

企業活動のサポートをするというWin-Winの関係が強固に構築されています。

 

報道によると、日本で販売されている多くの名義変更を前提とした

節税貯蓄プランは、契約後の3~4年目までに解約した場合、

解約返戻率が極端に低くなる設定で、その時点で契約者を法人から

個人に名義変更することで、法人側では高額の損金計上が可能となり、

それにより法人税が節約できるというカラクリのようです。

 

節税プランの解約返戻率は5年目以降急激に増加するのが一般的で、

その時点で名義変更を終えた個人が解約した場合、出た利益に対し

課税はされるものの、節約できた法人税の金額が圧倒的に高額と

なるため、総合的に節税が可能になるというカラクリのようです。

 

このような、いわゆる節税保険プランは、保険商品そのものとしては、

早期解約リスクが非常に高くなり、また個人への名義変更後、

比較的短期で解約することを前提としているため、運用利回りという面で

貯蓄ツールとしての機能をほとんど果たしていないことになります。

 

日本の保険会社が販売する貯蓄プランは、さまざまな規制や

高コスト体質により、“利回り”や保障面での勝負が厳しいため、

あの手この手と、手を変え品を変え、顧客にアピールするしか道が

残されていないのではないかと思われます。規制を強化する政府、

競争力の低い保険商品、海外の保険会社の商品を

購入できない消費者…そこに勝者は存在しません。

 

一方、香港で活用される貯蓄プランの名義変更機能は、企業の節税保険の

それとは全く別物となります。名義変更を繰り返すことで、資産は子供から

孫、ひ孫へと代々引き継がれ、半永久的に運用の継続が可能となります。

貯蓄プランのボーナス部分は複利で増えていくため、長期で運用すれば

するほど、年月の経過とともにプランの現金価値は急カーブで増えていきます。

 

なお、貯蓄プランのボーナス部分については、解約時まで現金化できない、

というのが原則ですが、最近の貯蓄プランでは、一定のパーセンテージを

一定の年数が経過した後に現金化するオプションが付随しているものが

主流となっています。

 

それ以外にも、2年目以降毎年決まった金額が配当金として支払われ、

配当部分はいつでも自由に引き出し可能、という自由度の高いプランもあり、

香港市場では人気が高いのですが、自由度の高さと利回りがトレードオフの

関係になってしまいます。貯蓄はしたいけれど、短期的かつ自由に

現金化したい、という方にはお勧めですが、長期で高い運用益をめざす、

という方には不向きです。

 

貯蓄プラン購入の際には、解約という選択肢以外に、プランを継続しながら

一部引き出しができるタイミングやその額について、基本ルールを

理解しておくことが重要です。また、解約して現金化、という一択ではない

ということを理解しつつ、自身のライフスタイルやお金の使い道に応じ、

将来の現金化のタイミングを予めプランニングし、それに適したプラン選択を

することも重要なポイントになるかと思います。

 

次回も引き続き貯蓄プランについて、お話を進めていきたいと思います。

 

お楽しみに。