2022年の3月から、米国FRBがインフレへの警戒を強めて、

金融引き締め(利上げ)を急速に進めるのではないかという思惑から

株価も暗号資産も大幅な値崩れを起こしている。

この状況を安易に不況の到来ととらえ、

守りに入るのか?チャンスととらえ追加投資するのか。

現状だけを分析するのではなく、

過去の歴史から同じようなことが起こった時に最終どうなったのか?を知っておくことが重要。

成功者の多くが歴史を勉強しているのは、過去から未来を想像する力を養っているからだと思います。

それを踏まえて、みなさんは今の状況をどうとらえますか??

チャンス?絶望?どっち!?

 

前回利上げ時の米株インデックスファンドの下落率は最大20%、政策金利の引き上げで株価下落は続かない

 

 

 米国株式市場の下落に歯止めがかからない。前週末のNYダウ平均は450.02ドル安と6日続落。S&P500も1.89%安と4日続落。また、ハイテク株主体のナスダック総合は2.72%安と4日続落し、下落率は1週間で7.55%安と、2020年10月以来の大幅安に。昨年11月の史上最高値からは15%超の下落。「いったいどこまで下がるのだ」と不安にもなる。今回の下落のきっかけは、米国FRBがインフレへの警戒を強めて、金融引き締め(利上げ)を急速に進めるのではないかという思惑からだ。前回の利上げ時の米国株価の推移を振り返って、利上げ時の株価の下落率と調整期間の長さについて確認しておきたい。
 

 米国の前回の利上げは、2015年12月からだ。米国のサブプライムローン(信用力が劣る住宅ローン)問題に発し、2008年9月のリーマン・ブラザーズ破たんにつながった「世界金融恐慌」といわれる大不況に対応し、米国は08年12月にFFレートの目標値を1.00%から0.00%~0.25%という水準に引き下げ。当時は、これに合わせて08年11月から住宅ローン担保証券などの買い入れを行う量的金融緩和も実施。この量的金融緩和策第1弾は2010年3月に解除することが決定したものの、10年11月には長期国債を購入する量的金融緩和第2弾が発表され、11年6月で完了。12年9月からは量的金融緩和第3弾を実施し、14年10月末に終了した。その後、1年以上の期間を置いて、利上げに動き出したことになる。
 

 今回は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への対応策としてFFレートを0.00%~0.25%という最低水準にまで引き下げたことに加えて、量的金融緩和も同時に実施したが、その量的金融緩和を22年3月に終了すると同時に金利の引き上げを開始しようとしている。前回に比べると金融引き締めのスピード感がかなり違う。したがって、金融引き締めによって株式市場が受ける影響は、前回とは異なることになる可能性が小さくない。ただ、前回の動きは、今後を考える時の手掛かりにはなるだろう。
 

 前回の利上げ前の米国株式市場は、ゼロ%台という超低金利と3回に及んだ量的金融緩和によって市場に溢れ出た資金の受け皿として、高い上昇率で株価が値上がり。2010年10月末から15年10月末までの5年間のS&P500に連動する「上場インデックスファンド米国株式(S&P500)」の年平均株価上昇率は23.35%になっている。2020年12月までの過去30年間では、平均上昇率が概ね年9%だった「S&P500」の成長率と比較すると、相当速いスピードで上昇していたことがわかる。そして、15年12月に米国が政策金利を0.25%引き上げたことによって、金融正常化への歩みを始めると、株価は下落に転じた。15年12月2日に付けた高値から16年2月12日の安値までの下落率はマイナス20.08%になっている。約2カ月半で20%の下落。そして、利上げ実施前の株価水準を上回るまでに、1年半ほどの期間を要す。ちなみに、日本株インデックスファンドは、米株インデックスファンドの動きを規模を小さくして追随している。
 

 その後、米国の政策金利は2018年12月まで段階的に引き上げられていく。ただ、この金利の引き上げ局面では、株価は上昇を続けた。2017年1月から20年1月まで3年間の上昇率は年率12.64%になった。ゼロ金利時代の上昇率ほどには大きく値上がりしなかったものの2ケタの成長を実現。このことからも、金利の引き上げが株価にとっては必ずしもマイナスではないことがわかる。
 

 現在は、直近の高値(22年1月4日)からの下落率は、1月21日現在でマイナス7.78%だ。前回と同様の下落率には、下落幅と下落期間の両方が達していない。ここからさらに2カ月間程度の間に10%前後の下落があっても不思議ではない。前回と比較すると。利上げ前の株価上昇率は21年12月末時点では年率44.34%という非常にハイペースな上昇をした後にあたる。前回の利上げ時よりも、より深く下落するようなことも覚悟した方が良いかもしれない。
 

 ただ、ここで大事なことは、政策金利の引き上げに反応して下落した株価は、その後、反発に転じ、政策金利の引き上げが続いても株価の上昇は止まらなかったこと。株価にとって重要なのは、金利の水準ではなく、企業の収益。金利が上がる中においても、企業収益のプラス成長は、株価が上昇する理由に。今回の政策金利の引き上げも、インフレによって経済活動が混乱することを避けるために行われる。経済環境が安定すれば、その中にあって力のある企業の収益は増大するものだ。
 

 気を付けなければならないのは、政策金利の引き上げによって、「力のない企業(本来は生き残る力がないにも関わらず金融緩和によって命脈を保っていた企業、あるいは、本来の実力以上に株価が評価された企業)」があぶり出されることだ。ちょうど中国で、民間大手不動産開発会社の中国恒大グループが資金繰りに窮しているようなことが、今後、金利が上昇してくる米国でも起こり得る。このために、前回の利上げ時にも株式インデックスが利上げ前の高値を回復するまでに1年半の時間を要した。今回の市場の調整に、どの程度の期間が必要か事前に予測することは難しい。ただ、新陳代謝を行うことによって、株式市場はより力強い体質に変わって成長を確かなものにしてきたというのが、これまでの歴史だ。現在の株価下落局面で慌てて株式投資を止めてしまうような決断は避けたいところ。
 

 むしろ、これから5年、10年という投資期間があるのであれば、株価の下落をチャンスととらえて、積立投資でコツコツと買い進めることこそが、現在の環境下ではもっとも合理的な投資態度といえるのではないだろうか。株価の下落が、どの程度で終息するかは予測が難しい。また、株価がいつまで低迷していて回復するのかという期間を予測することも難しい。だからこそ、毎月一定の金額を投資し続ける積立投資の効果が活きる。
 

 コロナ禍も発生から2年を経て、ワクチン接種の進展、治療薬の登場など、コロナへの対策は進んだ。ロックダウン(都市封鎖)を実施しなくても、コロナと共存できる生活が始まりつつある。今回のショックの原因であった「コロナ・パンデミック」とも、私たちは折り合いをつけようとしている。この2年間の不自由な生活や、強制的に始まった新しい生活スタイルも決して無駄なことではなく、持続可能な生活のためには必要な変化だったということだ。現在の株価の調整安を経て、これからの社会に必要な企業が評価される新しい時代を迎えると考えられる。株式投資、株式ファンドへの投資は終えることなく続けることが大事。(グラフは、米国の政策金利引き上げ時の日米の主要株式インデックスファンドの推移)
 

「Yahoo!ファイナンス」より引用。