Zaion's blog 『EXTRA・FIGHT』

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連れの実名も出すから迷惑かからん程度に書くわぃ!

嘘や偽りは無いから退屈な内容になるやろうけど…

ボケ防止の為1日を振り返る事を目的とした日記にする。

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えんとつ町はえんとつだらけ。
そこかしこから煙が上がり、頭の上はもっくもく。
黒い煙でもっくもく。
朝から晩までもっくもく。
えんとつ町に住む人は黒い煙に閉じ込められて、青い空を知りやしない。
輝く星を知りやしない。
見上げる事を捨てた町で、一人の男が上を見た。
町をおおった黒い煙に男が想いをはせたのは、酒場で出会ったお喋りモグラが、聞かせてくれた夢物語。
煙の向こうの世界の話。
光り輝く世界の話。
ありゃあしないと思ったが、全く無いとも言い切れない。
なぜなら誰もいっていない。
答えは誰も持っていない。
それから男は、日毎夜毎、煙の向こうの世界の話を何度も何度も叫んだが、バカだバカだとはやされて、ホラ吹き者だと切り捨てられた。
男がいったい、何をした。
男が誰を傷つけた。
そこに理由はありゃあしない。
見上げる事を捨てた町では、目立たぬようにの大合唱。
見上げる事を捨てた町では、夢を語れば笑われて、行動すれば叩かれる。
黒い煙は町を飲み込み、いちるの光も許さない。
黒い煙は人を飲み込み、あらゆる勇気を認めない。
それでも男は声を上げ、震える膝をひた隠し、舟に乗り込み海に出た。
暗くて怖ぁい海に出た。
誰もいない海に出た。
誰もいない海に出た。
煙の向こうの世界の話。
光り輝く世界の話。
ありやしないと思ったが、全く無いとも言い切れない。
なぜなら誰もいっていない。
答えは誰も持っていない。
己のまなこで見る前に、答えを出して成るものか。
煙に飲まれてなるものか。
ひと波超えて、ふた波超えて、嵐に襲われ、不安に襲われ、帰る港もありゃあしねぇ。
頼る仲間もいやぁしねぇ。
気がつきゃ船底、穴ぼこだらけ。
漕ぐ手を止めると沈んでしまう。
浮くのがやっとの、おんぼろ舟。
ずいぶん前から進んじゃいない。
ここで終わってなるものか。
ここで終わってなるものか。
ここで終わってなるものか。
男は勇気を振り絞り、積み荷の紐を振りほどき、出来ない理由を海に捨て、言い訳御託を海に捨て、ほんのわずかな食料と、確かな覚悟だけを残し、再び波に立ち向かう。

紳士、淑女(しゅくじょ)の皆々様。
よってらっしゃい見てらっしゃい。
どうかみんなで迎えよう。
今夜が夜の町の最後の夜だぁ。

男が向かうは、闇夜の向こうのその向こう。
ただの一人で、ただひたすらに舟を漕ぎ、信じ、信じて、信じぬき、進んで進んで進んだ舟は、黒い煙を突き破り、光の海に躍り出た。
なんと見事な景色だろう。
なんとまばゆい光だろう。
この未来の産声を果てしなく続く世界を、感動、今、まさに変わらんとする時代を。
独り占めしてなるものか。
町のみんなに伝えよう。
町のみんなに伝えよう。
えんとつ町はえんとつだらけ。
そこかしこから煙が上がり、頭の上はもっくもく。
黒い煙でもっくもく。
朝から晩までもっくもく。
しかし、えんとつ町の煙の上には青い空があったのだ。
輝く星があったのだ。