
アトランティスの滅亡によって、太古のエジプトが新しい人類誕生の布石を担うことになるのであるが、すでに紹介したように、その担い手となるのがペルシャから侵略してきたアラルト王子と霊的指導者のラ・タであった。
彼らはエジプトの地を征服して、新しい秩序による、霊的な改革を行い、万人平等の政策を打ち立てた。
これらの活動行為は、ラ・タが高次の存在から霊的な指示を受けて行われたのである。
ラ・タはコーカサス山脈とカスピ海の中間で生活を営む、ズー族の首領の娘から生まれたが、これはキリストのような奇跡的生誕であり、肌が白く、瞳が青い、彼らの種族とは異質の体を持っていたため、恐れられ、母親とともに種族を追放されるのである。
そしてカルパチアの王アララトに拾われて、彼の息子アラルト王子とともに育てられるのであるが、ラ・タは子供の頃から霊的能力を発揮し、21歳のときに啓示を受けて、アラルト王子とともにエジプト遠征に旅立つのである。
彼らが征服したエジプトの地は、自然界の中心となり、霊的にも諸力が集中する中心となった。この地は幾何学的に見て緯度、経度ともに陸地の最も多い場所に当たり、ギゼーの大ピラミッドが、その中心に据えられている。そして、この位置に霊的諸力が集中するように計画されたのである。
こうして祭司ラ・タは、高次の存在からの霊的指示を受け、新人類誕生のための準備として、霊的諸力を駆使し、エジプトの民の精神的改革を図るのである。
彼は、霊的諸力を行使する2つの神殿を造営した。1つは「犠牲の神殿」と呼ばれ、あの獣的な奇形をもった「間の子」たちの障害を取り除く浄化の儀式を行う場所で、音楽療法、光線療法、食餌療法などを駆使して施療にあたったのである。
もう1つの神殿は「美の神殿」と呼ばれ、肉体の浄化を受けた者が、より高次の精神的修行をするところで、霊的な教育と特殊な舞踏を取り入れて、神と人類への忠誠と奉仕を誓う場所であった。
だが、すべての改革が順調に進んだ訳ではなかった。征服する以前の支配階級者たちは、彼らの改革に多くの不満を持ち、ラ・タの失脚を狙うのである。
彼らの陰謀の手によって、無垢なラ・タは容易に唆されるのである。それはラ・タの定めた一夫一婦制を、彼自身に破らせることによって成された。当時、ラ・タは自分と同じ白色人種を造り上げることに夢中になっていた。これは必ずしも霊的な意図と一致するものでなく、進化の霊的法則を理解し、適用していく上でラ・タの盲点であった。
彼は完璧な白色人種を誕生させようという謀略に乗せられ、「美の神殿」の美しく高貴な踊り子イスリスと、彼の法を冒して結ばれ、陰謀者の罠に落ちるのである。
こうしてラ・タはエジプトを追放されることになる。ラ・タに随行したのは、彼に忠誠を誓った231人で、この中にはアトランティスの賢者ヘプト・スプフト、後悔の念にかられているイスリス、ラ・タの娘のアリス・ホベトを伴っていた。一行は、現在のエチオピア高原として知られるアビシニアの地に逃れ、この地のヌビア山中に立て籠もり、アカシック・レコードを解読して霊的な意義における考古学、占星学、天文学などを修得し、記録に残した。これは現在でも、発見可能であると伝えられている。
彼らは、この地で霊的な偉業を果たした。アトランティスが物質的な進歩であったのに対し、ヌビアの地では精神的、霊的な理解と向上が果たされたのである。
彼らの果たした偉業は、世界各地の霊的指導者にも行き渡った。このことは彼を追放したアラールアールト王の耳にも入り、追放から9年目に赦免され、ラ・タのエジプト帰還が果たされるのである。
ラ・タのエジプト帰還後、ピラミッドの建造に着手され、ヌビア山中での天文学・占星学的計算を基に、アトランティスの偉大な秘儀参入者ヘルメスの指揮によって、この偉業が成し遂げられるのである。
エジプト帰還後、ラ・タは単に“ラ”と呼ばれるようになり、イスリスは「美の神殿」の女祭司となって“イシス”と呼ばれるようになる。
ここに登場する人物は、後にエジプト神話の神人として祀られる、太陽神ラー、母なる神イシス、「エジプト死者の書」に登場するトート神(ヘルメス)などの真の姿である。
