骨折(Fracture)

1. 定義

骨の連続性が、外力や病的原因により完全または部分的に断たれた状態。


2. 病態

強い外力(転倒・交通事故・スポーツなど)や、骨粗しょう症・腫瘍などで骨の強度が低下している場合に発生する。

骨折時には、骨膜・周囲血管・神経が損傷し、出血・炎症・腫脹・疼痛が生じる。

骨折部では骨形成細胞が働き、血腫 → 仮骨形成 → 骨化 → 骨改造の過程で治癒する。

3. 症状

・患部の疼痛・腫脹・変形

・可動制限(動かせない)

・異常可動性(通常では動かない方向に動く)

・軋轢音(あつれきおん)(骨がこすれる音)

・機能障害(歩けない・持てない)

・皮下出血や短縮変形

4. 検査

・X線検査:基本。2方向撮影で骨折線・転位を確認。

・CT検査:複雑骨折や関節内骨折で有用。

・MRI:軟部組織損傷の評価。

・血液検査:合併症(出血・感染)や骨代謝評価に使用される場合あり。

5. 治療

・保存療法:軽度の骨折、転位のない場合。ギプス・シーネ固定など。

・観血的治療:転位・粉砕・開放骨折。プレート・スクリュー・髄内釘固定など。

・牽引療法:整復・固定目的。

・疼痛管理:鎮痛薬(NSAIDs等)使用。

・リハビリ:関節拘縮・筋力低下予防。

6. 看護・観察ポイント

・痛みの評価(VASスケールなど)

・腫脹・皮下出血の拡大有無

・循環障害の有無

 → 末梢冷感、蒼白、しびれ、脈拍触知の有無(コンパートメント症候群の早期発見)

・固定部位の状態(圧迫・ずれ・湿潤)

・ADL支援:更衣・移動時の介助、安全確保

・転倒再発予防(環境整備・動作指導)

・骨粗しょう症や薬剤歴の確認(ステロイド使用など)

7. 患者指導フレーズ例

「痛みやしびれは今どのくらいありますか?」

「動かさないようにお願いします。少し冷やしますね。」

「固定がきつく感じたらすぐ教えてください。」

「指先の色や感覚に変化があったらすぐに伝えてください。」

退院・通院指導

「固定中は濡らさないように注意してください。」

「腫れを防ぐため、心臓より少し高く上げて休みましょう。」

「痛みが強くなったり、指先が冷たくなったりしたら受診してください。」

「カルシウム・たんぱく質をしっかり摂りましょう。」

「転倒防止のため、段差やスリッパに注意してください。」