イーロンマスクのスペースエックス社が、

ものすごい勢いで打ち上げている衛星の内、

40機が磁気嵐に巻き込まれ、軌道に到達しないまま、

大気圏に突入してチリになったと言うニュースがありました。

スペースエックスが計画しているのは、

スターリンク衛星と呼ばれるものです。

計画では40,000機以上の衛星打ち上げ、

地球全体にアミをかけたようにして、

地球のどの場所でも快適にインターネットがつながる、

という壮大な計画ですです。

ソビエト連邦が1957年にスプートニク1号を打ち上げて以来、

これまでのおよそ9000機ほどの人工衛星が打ち上げられています。

最初にこの数を聞いた時は、

40にゼロを三つをつけ間違ってのではないか、

などと思いました。

なんとなくロケット一機が衛星を一機運ぶようなイメージがありました。

それで、40,000台のロケットを発射するなどとは考えられなかったのです。

聞くところによると、この衛星は薄い板状に折りたたまれ、

多いときには一度に60機ほどが打ち上げられるそうです。

この衛星がオシャカになった原因は太陽の表面で爆発する

太陽フレアによって吹き出されたガス。

ガスといっても電気を帯びた粒子でできたガス。

これが猛烈な勢いで地球に降り注いでくるため、

精密機械の衛星などはもろに影響を受けるとのこと。

同じように、通信衛星の障害や放送衛星、

GPSなどに誤差が出ます。

幸い、地球の周りには磁場があり、

この磁場に守られてダイレクトに太陽からの風に、

我々がさらされる事はありません。

それでも地磁気は丈夫な一枚岩ではなく、

図にあるように磁気の弱いところがあり、

この付近では衛星の故障がかなりの頻度で起こっているようです。

欧州宇宙機関による地球の磁場の変動を示すアニメーションをキャプチャした画像。

青色が地磁気の弱くなっているところを、白い点が衛星の故障した場所を表している。

Screenshot from YouTube Channel of European Space Agency

地磁気の弱いところは太陽風の影響を受けやすく、

普通は地磁気に守られていても、

太陽風が強ければより広範囲に影響を受けます。

今回のアウトになった衛星はどのあたりで

影響を受けたのかわかりませんが、

「風」でコントロールを失うとは衛星が凧のような気がしてきます。

つよい太陽風が吹き付けると、

地球上ではオーロラが広い範囲で発生して、

その影響により電力や通信に障害などが起こると言われています。

日本でも平安から鎌倉時代にかけて、

藤原定家の「明月記」に赤気（赤い光）と言う言葉でオーロラをさし、

これがたびたび観測されたと言うことが記録があるそうです。

定家の時代であれば不吉なものが見えたと言う程度の話でしょうが、

現在では生活に直接影響が出ます。

現在でもこれが心配されるのですから、

スターリンク衛星が計画通り地球を覆い、

どこでもネットが快適につながる近い将来において、

太陽からの大嵐に遭遇した場合、

これに依存している世界は大変なことになるのではないか、

など心配をしてしまいます。

風よけの地磁気も、この2 、300年間ずっと低減しているようで、

上ような心配も、空か落ちてくると心配した

「杞」の国の人を笑えないのではないかと思ったニュースでした。

磁気嵐で衛星49機のうち40機がチリになる