先日所用があり、ある地方の街へ出かけていました。

用事が早く済み、予定の新幹線の時間まで間があったので、

駅近くの銭湯へ行ってみました。

 

旅行に限らず、うまく時間が出来れば、

銭湯を探して入るのが私の楽しみです。


 

この時探した銭湯も駅から歩いて10分以内。

比較的わかりやすい場所にあり、小雨降る中、傘をさして出かけました。

 

男女別に入り口があり、下駄箱に靴をいれ、

引き戸を開けるとすぐに番台があります。

 

こちらの番台は、脱衣所が全部見渡せるようなタイプではなく、

トイレの入り口のように中が見えないような格好になっています。

 

貸タオルと買った小さな石鹸を受け取り、脱衣所に入ってびっくり。

正面の椅子がっしりした体格の60代位の人でしょうか?

肩から腕にかけて刺青の方が座っていました。


 

へー、ここは刺青もオッケーなところなのか、などと思いながら、

あまりじろじろ見ることもなく、まして目を合わせるなど、

とんでもない話で、そそくさと服をロッカーにしまいました。

 

その人が立ち上がった時、背中も見えました。

肩から尻、太もも、ふくらはぎにかけてもしっかり入っています。

タトゥーならたまに見かけることはありますが、

間近で全身の刺青を見るのは、幼い頃銭湯で見て以来かもしれません。


 

すごいものを見たなと思いつつ、洗い場に入ってまたびっくり。

湯船には4人の刺青を背負った方々が入ってらっしゃいました。

 

うわーと思いましたが、まさか引き返すわけにいかず、

洗い場の隅の方で体を洗い始めました。


 

まいったなぁ。今日は近所で何かのお祭りでもあって、

神輿担ぎの何とか連の人たちかな。

あるいはどこぞ組の方の旅行会なのか。


 

ただ、このグループは声高に話すわけでもなく、

酔っ払っているわけでもなさそうで、

ごくごく自然にぼそぼそと話を続けているだけです。

そうこうするうちに、この銭湯にはサウナあるらしく、

サウナから若い人が2人出てきました。

やれやれ、仲間がいたワイ思ったところ、

この人たちの肩や足にもやはり刺青。

どうやらお仲間のようでした。


 

この銭湯に来る前に、ニュースサイトで、

神奈川県の老舗銭湯が常連客の迷惑行為やクレームに疲弊して、

閉店をすると言うニュースを読んだばかりだったので、

ひょっとしてこういう人たちが何か騒動起こすのではないかと

内心ビクビクしておりました。


 

私が体を洗い湯船につかろうとするタイミングで、

このグループは脱衣場の方へ移動しました。


 

ここで以外だったのはサウナから出てきた若いお兄さんたち2人が

自分たちが使った洗い場の椅子をきれいに戻し、

使った桶をカランの上にかけてきちんと戻してから出て行ったことです。


 

体もきちんとタオルで拭いて、

脱衣所に雫など落とさない気配りをしていました。

 

これが意外で上の人に教育されているのか、

単に銭湯に慣れているのかよくわかりませんが、

感心して見ていました。

 

しばらくすると、私と同じく刺青なしのサラリーマン風の人が

洗い場に入ってきました。

この人は脱衣室にて入った途端、刺青の集団に鉢合わせをして、

私以上にビックリしたのではないでしょうか。

 

私を見て少しほっとしたような顔をしていました。

洗い場のフツーの空間が戻って来ました。