「青木まりこ現象」と言う言葉を初めて聞きました。
一部の方には有名な言葉だったらしいのですが、
不勉強のためか、最近読んだ本から知りました。
物理学の先生が日常の謎から科学的な思考法のレッスンをすると言う、
一章に「青木まりこ現象」と言うものを取り上げています。
その現象を説明するいくつかの仮説を上げ、それぞれ吟味すると言う形で、
科学ないし科学的思考の方法説明するという少しコミカルな文章でした。
この言葉は青木まりこさんと言う、当時29歳独身の女性が、
書店に行くたびに便意を催すようになったと言う、
実名の投書が元とのこと。
すると同じような症状を呈する人たちが、私もそうだ僕も同じだと名乗りを上げ、
いろいろ議論が続いていると言うことのようです。
「便」という言葉が頻繁に出るので、品位を落とすのではないかとして、
この著者の方はアルファベットのBで代用し、
このような人たちを、「書B派」というような言い方をしています。
書は書店、Bはもちろん「便」で当然、大の方です。
ウィキペディアで見ると、なるほど、仮説というか屁理屈は、
1つの謎に対してこんなにも考えられるものかと感心させるほど多く載っています。
これがなぞを説明する仮説に当たるわけです。
いくつかあげれば、
①匂い刺説 紙やインクに含まれる何らかの化学物質に起因する。
②排B習慣説 自宅のトイレで本を読むことが習慣になっているため。
③プラセボ効果説 自分の過去の経験や期待、さらに他に多くの人は経験していると言う裏
付けによる心理的な影響。
④緊張・焦燥感説 膨大な知能、洪水にさらされる、あるいは買う本を決めなくて
はならないと言う精神的なプレッシャーがB意をもたらす。
⑤スマティックマーカー説 過度の情報からの逃避、防御反応
⑥リラックス効果説 ゆったり好きな本を探すというリラックス感による
⑦視線説 本の背表紙の活字を縦に追いかける視線の動きによって
B意がもたらされる。
⑧姿勢説 直立してうつむいた状態で立ち読みすることで腹筋が刺激され
B意を誘発する。
⑨形而上説 哲学的思考の産物又はトンデモ説
⑩交絡因子説 因果関係ではなく相関を見ているに過ぎない。
私も必ずではありませんが、こういう経験が少なからずあり、
書B派の1人なのかもしれません。
なので、非常に興味深く仮説を読みました。
なるほど、科学と言うものは一つの謎に気がつけば、
それを大勢であーでもない、こーでもないと議論し、
きちんと筋道だった論理と実験を積み重ねて、
1つの正解にたどり着く過程だと言うことが、
具体例で示されています。
ちなみに、現在でもこの「青木まりこ現象」は十分に説明がついていないようです。