森村桂の旅行記に「天国にいちばん近い島」という作品がありました。
発表は1966年。80年代に映画化され、
同名の主題歌もヒットしたらしいのですが、
タイトル名しか記憶がなく、原作も読んだことがありません。
若い方はご存じないと思います。
こんなことを思い出したのも、ニューカレドニア観光局が
「天国にいちばん近い島」というフレーズを
商標登録したというニュースをみたからです。
原作を読んだことがないので恐縮ですが、シャツ一枚で暮らせる気候、
美しい景色、一年中たわわに実る果実などが天国イメージさせるのでしょうか。
果物がたわわに実っているわけではありませんが、
おいしそうな食べ物がこれでもかと並んでいるところがあります。
そうですデパートの地下食品売り場、デパ地下です。
グルメの人にとっては天国そのものかもしれません。
手をかけて作られ、きれいに盛り付けられた惣菜や、
工夫を凝らした、スイーツの並んだショーケースを
見て歩くのはたのしいものです。
フルーツ、果物、野菜さえ、美しくレイアウトされ陳列されています。
先日たまたま10時ジャスト、食品売り場のオープン時間に入りました。
普段でもきれいに陳列されていると思っていましたが、
オープン直後は一段と整っていました。
特に、青果売り場の果物や野菜が整然と積み上げられ、
惣菜などもそれぞれと美しく、
そしておいしそうに盛り付けられていました。
お店の人の思い入れが伝わってくるような光景でした。
天国と違うのは (天国が無料で飲食できるかどうかわかりませんが)
少し高めのお値段がついていることです。
それでも並んでいるものは1階ブランド売り場の品物に比べれば、
はるかに容易に手に入ります。
おいしいものが手に入るのも天国に近いように思います。
視覚だけではなく、嗅覚も心も刺激される売り場があります。
それはパンの売り場です。
他の食品もそれなりに良い香りがして、食欲を刺激されますが、
パンの焼ける香りは、食欲というより
何か幸せを感じさせる香りだと思っています。
嘘か本当か、洋服店とパン屋の前で同じように品物を落とした時、
パンの焼けるにおいのするパン屋の前では、
洋服店の前に比べ倍近い人が
落とし物を拾ってくれたという実験結果があるのだそうです。
確かに幸せな気分を感じるのなら、気持ちに余裕ができて、
他人に親切にしたくなるのかもしれません。
ということで、デパ地下の中のパンの売り場は
「天国に一番近いところ」だと言いたいのですが、
ニューカレドニアに敬意を表して、
天国に二番目に近いところだとしておきます。