sekai no owariという1つの世界観について

バンドというより、ひとつの世界。

今日はsekai no owariというバンドについて紹介していく。sekai no owariを語るとき、まず外せないのがその4人の構成だと思う。

彼らは単なる4人組バンドではない。役割が明確に分かれた世界観の設計者のようなものに見える。もう、音楽というより寓話に近いのではいか?そんなふうに思ってしまう。本当はメンバー紹介したかったが。文字数がオーバーしたので割愛しますごめんなさい。

「昔のセカオワ」

今のセカオワと昔のセカオワでは方向性などが大きく異なると感じる。

初期のsekai no owariは、とにかく内向きだった。世界の終わり、ファンタジー、病室、孤独、逃避。

歌詞に出てくるのは「社会」ではなく「心の中」あの頃のセカオワを好きだった人は現実に居場所がなかった人が多かったのではないかと思う。明るい曲調なのに、どこか息苦しい。可愛いメロディなのに、笑顔じゃない。

Saoriのピアノはおもちゃ箱みたいなのに、Fukaseの声はずっと震えている。このアンバランスさが、「生きづらさ」をそのまま肯定してくれていた。「逃げてもいい」

「ここにいてもいい」そんな言葉を直接言う事は少ない。しかし音楽性そのものが、世界観が、そう言ってくれていたのではないか。

「今のセカオワ」

昔が内向的であったのに対し、今のsekai no owariは、はっきり言って開かれている。

社会、戦争、差別、愛、希望、祈り。

テーマはどんどん外へ向かっていっている。

音楽性も、より洗練されて、ポップで、グローバルになった。

海外のサウンド、ダンスミュージック、エレクトロ。

「わかりやすい」と言われることも増えた。

でも、ここで誤解しちゃいけない。

セカオワは“変わった”んじゃなくて、“外に出る勇気を持った”だけだと思う。

昔は、自分たちを守るためにファンタジーを使っていた。

今は、ファンタジーを使って世界と話している。

これは、1つの成長であると僕は思う。

ちなみに僕は今も昔もどちらも同じくらい好きだ。どっちが上とか、正解とかじゃないと思う。人生のフェーズによって、必要なセカオワが違うんじゃないかと思う。そこを伝えた上で次は自分の好きな曲を紹介したい。少し昔の曲でファンタジー寄りだが、聞きたいと思う人が1人でもいてくれたら嬉しい

「MAGIC」という曲について紹介&考察

※個人的意見を大きく含みます。

まずこの曲は恋愛的ことを想像させる歌詞が沢山使われているが、この曲は単なる恋愛ソングではなくて「他人を通して自分を生かそうとした人間」が、静かに行き止まりに辿り着くまでの物語なんじゃないかと思う。

まず大前提として言いたいが「MAGIC」はセカオワの中でもかなり異質な曲だ。

ファンタジーのような曲調だが現実味が多すぎるし、かと言って社会批評するわけでもないし、希望も絶望も大声で言わない。代わりにあるのは、

ひたすら具体的で、生活感があって、逃げ場のない感情。この曲は

「好き」「愛してる」「君が必要だ」

そういう言葉を含みながら、

実はずっと “自分が空っぽであること” が描かれている


この曲は冒頭僕はね、君のこと初めて見たとき

この世界に産まれてきた意味がわかったんだ」という言葉で始まる。

主人公は「君に出会った瞬間」を

人生の意味が分かった出来事として描く。

そんな人生を変えるほどの相手。
だが、そんな相手の魅力はほとんど語られることはない。普通の恋愛曲なら

どんな人かどんなところが好きかを語る。でもこの曲では違う。

ほとんど語られていくのは

「君を見た自分がどう変わったか」だけ。

つまりこの出会いは

恋じゃなくて、自己救済の始まり。

主人公は

君を好きになったというより、

君を使って“生きる理由”を作ったというふうに見えた。

ここで既に、関係は対等じゃない。サビ前の「僕は君のためなら何でもできるのに君はなんで一人で生きてゆけるような顔をするんだ」という歌詞。ここまでで分かるのは、

主人公は「自分の価値」を他者との関係性で掴もうとしている

でも相手は主人公の存在意義を必要としていない。これらからもさっき言った自己救済という言葉の表現が正しいことがよくわかるだろう。相手と自分。この温度差が、この曲の中心的な苦しみだ。

普通のラブソングなら

「好きだからそばにいたい」とだけ描くんだけど、

この曲は違う。そこもまた魅力の一つだ


そして何よりこの曲、タイトルで騙される人が多くいるんじゃないかな。


普通セカオワの“MAGIC”なら

世界が変わるとか現実をひっくり返すとか救いが起きるとか。

でもこの曲での魔法は

一度も現在進行形で使われない。魔法は

かつて確かに存在した。でも今はもう発動しない。思い出すことしかできない。そんなふうに感じられる。なぜならこの曲は過去のことを思っているように聞こえるからだ。全ての歌詞が過去形で書かれている。そして曲の最後……これは実際に聞いて考えて見てほしい。とりあえずこれは

「魔法が効かなくなった世界」

なんじゃないかと僕は思う。

セカオワが今まで一番描かなかった世界だ。


「愛が完成したあと、それを失っても生き続けてしまう人間の記録」この言葉が1番しっくりくる。

魔法はあった。

確かに世界は輝いていた。

でもそれは戻らない。

だからこの曲は静かで、優しくて。そして異様に怖い。

そんなmagicという曲をぜひ聞いてみて欲しい。


最後に


SEKAI NO OWARIの音楽は、聴くたびに同じ感想にはならないと思ってる。

それは彼らの曲が、流行や年齢に寄り添うのではなく、聴く側の人生の変化をそのまま映してしまうからだと思う。明るく聴こえた曲が、ある日ふと重くなることもあれば、昔は分からなかった言葉が、急に現実として迫ってくることもある。そうやって、音楽の意味が変わってしまう経験そのものが、SEKAI NO OWARIを聴き続ける理由になっている。

彼らは一貫して「物語」を描いてきたが、それは必ずしも救いや正解を用意する物語ではない。世界の歪さや、人の弱さ、不完全さをそのまま残したまま提示することがある。その姿勢があるからこそ、SEKAI NO OWARIの音楽は、楽しい時だけでなく、うまく言葉にできない感情を抱えた瞬間にもそばに残る。

たとえ世界がきれいに見えなくなったあとでも、それでもあのころ聞いた音楽は、感情はきっと残っているだろうし、思い出せる。その時の感情を思い出させてくれるSEKAI NO OWARIだからこそ、これから先も聴き返すバンドであり続けると思う。