今月分の仕事が遅れていて、遅くまで事務所に残っていた。
夜10時を過ぎ、ちょっと休憩しようとコーヒーを淹れ、そしてテレビのスイッチを入れた。
特に興味の湧くような番組もないままにチャンネルを進めて、BS放送に入ったとき、ある番組に目がひきつけられた。
某お笑いタレントが全国の立ち食いそば屋を巡る、という内容のようだ。タイトルは 「ふらっと 立ち食いそば」 というもの。
初めて観た番組だ。
その画面に、「千葉・市川 唯一無二 ゲソ天の名店 鈴屋」と出ている。
千葉県市川市は、私が学生時代を過ごした街だ。数えきれない思い出がつまっている。
その頃よく通ったそば屋に、ゲソ天がおいしい店があったのだ。
かれこれ40年近くも前の事である。
その頃は市川駅の南口から歩いて数分の、細い路地に入ったところに小さな古い建物で営業していたはず。
そば、うどんがそれぞれ180円くらいだったか・・?
目の前のショーケースに、色んな天ぷらが並んでいた。私がいつも注文するのは、ゲソ天か かきあげ天、エビ天など。
そのほかに、ちょっとサイフに余裕があるときは、奮発してご飯と別皿でメンチカツ。
それでも500円くらいで食べられた。
隣には、博識のオヤジさんがカレー屋を営んでいた。常連客とよく世界の歴史の話をしていたのを覚えている。
カレー専門店といっても、L字型のカウンター席が6席ほどで満員の小さな店で、いろんな種類があるわけでなく、壁に貼ったメニューには、「並 350円 大盛 450円」とあるだけ。
甘口とか辛口の区別もない。
でもそれがまた癖になる味で、コスパもいいし、貧乏学生の私には、このカレー屋と隣りのそば屋は欠かせない存在だったのだ。
で、その そば屋である。
店の名前は憶えていない。ゲソ天は、イカの足を1cmほどに刻んで、かき揚げのように、まとめ揚げしたものである。
ゲソ天は、長いまま揚げてあるのはよく見るが、ここのゲソ天はブツ切りにしていることが特徴だった。
この画面が出たとき、「あれ? まさかあの店・・・?」
ゲソ天があの店と同じだ。
数年前、市川駅の南口付近に行ったとき、周辺の景色は様変わりしていて、高いビルが立ち並び、カレー屋・そば屋があった所など、どこだかわからないくらい開発が進んでいたのだ。
もう40年もの年月が流れているんだから、まさかね・・・
そう思いながらも、少しだけ期待しながら番組を観ていた。
そしてその店主が映し出された。
あっ!!!!
思わず声を上げた。
そう、間違いない、 あのそば屋のご主人だ。
インタビューが始まった。
「何年 やっているんですか?」
「早いもので、もう 43年になります・・・」
間違いない。あの頃はこの人が店をやっていたのだ。
「ずっと市川で?」
「以前はここから少し離れたところに店があったんですが、駅の周辺の再開発が進んだので、撤退せざるを得なくなって・・・
しばらく場所を探してたんですけど、この駅ビルの2階に入れることになって、ようやく再開したんです・・」
移転前の店の写真が映し出された。
そうそう、これだよ これ・・・
この暖簾と赤ちょうちん・・・
画面の奥側の並びがカレー屋だな・・・
学生の頃の様々な思い出が、一気に押し寄せてきた。
貧乏で苦労していた思い出が、断然多いな・・・(笑)
あんなことや こんなことも・・
懐かしくて、ちょっと涙ぐんでしまった・・・💦
昔のことを思い出して涙ぐむなんて、トシのせいかね(苦笑)
今度、市川の方に行く機会があったら、絶対行ってみよう。
まぁ、オレの事なんて覚えてるとは思えないケド・・・
あの店の味は、オレは しっかり覚えてる・・・
(*´ω`*)