何年前か、行きつけの打ちっ放し場に行ったときのこと。
当時2日に1回のペースで打ちっ放しに通っていた私は、平日午前中の常連客になっていた。

そんな頻度で通っていると、他の常連さんの顔も覚えてくる。
特に話すわけではないが、お互いに「またアイツか」みたいに妙な仲間意識が芽生える。

その常連さんの中で、異常に上手いおじさん(おじいさん?)がいた。
50代後半に見えるのだが、体格が良く、見た目はやや強面。
この強面おじさんのことは後日書くとしよう。

私はいつも通り、試行錯誤を繰り返しながら球を打っていた。
そうしたら突然、強面おじさんに話しかけられた。
「トップを打ってみろ」

ゴルフでいうトップとは、球の赤道付近をリーディングエッジで打つ行為のことだ。
飛ぶ球は弧を描かず、銃弾のように真っ直ぐ、そして低く飛んでいく。

狙ってトップを打ったことなど無かった私は、試しに1球打ってみた。
結果は、球の表面をかすったゴロだった。

「トップを5球連続で打てるようになるまで続けろ」

いやいやちょっと待て、なんだこの部活感。
そう思いながらも、トップを狙って打ち続ける。

しかし、狙って打とうとするとこれが難しい。
球の位置、狙う目線を工夫し、たまにトップが出るようになった頃。
「それがゴルフの練習だ」

当時は何を言ってるのかさっぱりだった。

続く