キム・ナムギルと彼の「行きつけの漫画喫茶」で語り合った話 ①



───── 続き ─────



- MBC 31期(2003年)公開採用タレントになる前に、劇団にいらしたんですね?劇団から放送局に目を向けたのはどのような目標を置いたからですか。
= その頃、私は舞台芸術に夢中になっている人でした。演技するということ自体がひたすら幸せだったので放送媒体に志望があったわけではありません。ところが先輩たちが「おまえはまだ若いから、人が多いメディアに行って、より多くのことを経験してみるのが役に立つだろう」といいながらかわりに願書を出してくれました。そのようにして他の放送局は、落ちてMBCに決まりました。その時はお金をもうけるとか、有名になりたいとか思う概念がありませんでした。「人々が認めてこそ俳優なのか?知られていなくても演技をしているなら俳優ではないか?」という考えをしばしばしていて、私は有名でなかった時も、自分は「俳優」だと思いながら演技をしました。


- 俳優としての自意識が強いですね。
= そういうわけで最近もそうです。周囲から「俳優が夢ではありませんでした?」「そうです」「夢を叶えましたね?」そんな会話をしていると、たまにもどかしくなります。「やりたいことをしているのに、なぜか物足りない?なぜか侘しい?」そうなっているのに。うーん… 夢見たことを仕事にしながら、私の中に眠っている何かがあるのではないかと思います。夢見ていたことをして嬉しいんではあるが、現実的に妥協しなければならもの、それでも放棄できないものが私の中でぶつかるんでしょう。


- 望まなくてもしなければならないことがありますよね。望んだからといってできないこともあります。
= 言えますね。私は「明日にでも演技ができなくなったらどうしよう。老いた両親もいますし、さて、私は何をすれば」という考えをよくします。そうすると、「あれこれと考えてないで仕事をどんどんしてお金を貯めておかなければならないのか?」様々な思いがありますね。ところが、いざ作品が入ってくると、またわけもなく悩みます。何でもしたくはないんです。


- 放送局の生活はどうだったんですか?公採で採用されたからといってすぐに重要配役を手にすることができるわけじゃないんでしょ?
= 公採契約期間が2年でした。2年間、放送局に通勤しながらコーヒーも入れて、電話も受けて、寸劇端役で出演もしながら過ごしたんです。その時間が私には本当に充実していました。演技以外の様々なことをたくさんしましたが、時間があるたびにドラマ局へ行って助監督たちと交わったりしました。放送局を歩き回りながら「何してるの?」と言いながら、ちょっかいもしたりして、「タバコでも一服しましょうよ」としながら監督たちと顔見知りになったりです。それでか公採契約が終わって他の放送局に行ってオーディションを受けるとき、私はあまりおどおど震えなかったです。放送局という空間に慣れたということですね。


‐ 2009年<善徳女王>で大衆に広く知られるまで の6年は、あなたにとってどんな時間でしたか。
= <後悔なんてしない> <カンチョルジュン(公共の敵)> <モダンボーイ>などに会って映画が持っている魅力を知っていった時間です。キム・ウンスク作家の <恋人>、ノ・ヒギョン先生の <グッバイソロ> など優れた作家先生たちと作業していた時間です。本当に多くのことをしました。やってみたいことも多かったんです。「ソルギョングとやるんだと?うわぁ!」「チョンジェヨンと?やった~!」毎 瞬間が大切で毎時間があふれんばかりでした。


- ああ... 私はなぜその時間が俳優として大変だっただろうと事前に想像したのでしょうか。私を恥ずかしくさせる答えです。
= (笑)その時は本当に毎日一生懸命生きたようです。まだ若輩だったからともいえますが、情熱もすごかったです。そうするうちに <善徳女王> に出て凄く私は愛を受けました(ブレイクしました)が意外にもいやに落ち着いていました。人が急にとてつもないことを得ると、ミスしがちでしょ?ところが、注がれる熱い関心と視線の中でそれなりに振り回されなかったです。6年の間に大きな人気を得たわけではないですが、それでもいくつかのキャラクターを経て、ここでの生き方を知ったんです。浮かれていたことは確かにありましたが、近いうちに、この人気が冷めるだろうということもよくわかっていたのでしょう。そしてピークに達したとたん公益を務め … (笑) 昇るやいなや国家が「こっちへいらっしゃい!」「えっ、私ですか?バイバイ~!」そんな感じでした(座中大爆笑)そのように空白が生じて「過去の栄光に溺れずに、恥ずかしくないようにうまく下りて行こう」という考えをしていたと思います。


‐ まぁ、あんなことであまりにも早く分別がつきました。
= そうして過ぎたからこそ、そうです。「その時は、むしろもっと楽しんだり、分別をなくしていればどうだったか。とても成熟しようとしなかったら、他の方向にももっと発展しなかっただろう」という気がたまにします。


- そしてもう下がる用意をすることに、至ります。
= 確かに。商業的な基準ではよくわかりませんが、俳優としてはまだお見せするものが多いですね。


‐ 観客としてあなたの演技に感嘆した映画は、チョン・ジェゴンを演じた <無頼漢>です。わびしそうに見える後ろ姿が特に印象的でしたが「あぁ、後ろ姿でも表情が読ませられるんだ」と驚いた記憶があります。
= <無頼漢>は、私の俳優生活の転換点となった作品です。良いキャラクターと良い仲間に会って、もう少し私の演技について深く悩んだ時間でした。私は作品を通じて成長するスタイルですが <無頼漢>を撮りながら、私の価値観が大きく変わったりもしました。



7年一緒に暮らす、手足が短くかわいい家族猫 タムタム


14年一緒に暮らすハルとモル.最近ハルは天国に旅立った.




─────  続く ─────