最近、思うところあって、仕事を休んでいる。

ちょっと年齢的なものもあって疲れ気味でもあるし。

 

ゆっくり家事しかしない日々を過ごして、

本当に最近、いまさら感があるけど藤井風にはまってしまい、冷静になろうと努めているところ。

 

それは先月末ごろ、早出の夫に付き合って早起きした日、夫が出勤した後つけたテレビで、

最近はほんとにコロナの話かなんかばっかりで気分が悪くなるから、ケーブルでやってるMTVかなんかつけてみようかと、

スイッチONしてたまたま、邦楽トップ50かなんかをやっていて、

洋楽一辺倒の夫がいない間くらいは邦楽のPVでも見てみようとボヤっと見ていた時。

藤井風「きらり」のPVが流れた。

ああヴェゼルのCMのあの曲、ちゃんと聞いたことなかったし聞いてみよう…

 

以前、報道ステーションで死生観が話題の曲といって藤井風さんが取り上げられていたのをたまたま見ていたけど、

「帰ろう」のPVも少し流れたけど、

私は歌のうまいR&B歌手とかいう人たちにさほど興味がなかったし(そういう人もういーっぱいいるじゃないですか)、

歌詞もなんだか説教じみているような気がして、深く考えていなかった。

床に座ってピアノを弾く、方言でゆっくり話すちょっと変人ぶった人、くらいに思っていた(その時は、です)。

 

ただ、「きらり」はCMで聞いてイイなと思っていた。これまでのヴェゼルのCM曲のような

カッコよさ至上というか、トンガりが過ぎてない感じがあって、

ポップで爽快で、明るい印象。

 

ちなみに夫は、ヘヴィロックとかオルタナとかテクノ、UKロック(マンチェスター系、80’sニューウェーブ系)とかの洋楽ばっかり聞いている。

ところどころ私の好みではないが、ドライブ中のBGMや、ビルボードのヒットチャート番組を見るときなども譲って一緒に聞いていた。

なぜか夫は邦楽を下に見てるところがあり、最近多い高めで優しい声の男性ボーカルも嫌い。(好きなのはエレカシ、パフューム、電気グルーヴ、他も少々ある)

R&Bバラード系は特に、洋楽でも毛嫌いする。歌の上手さを見せびらかすような、高い声をはりあげる系の女性ボーカルも嫌い。まあそれはわからなくもない。なぜだか昔から、私も女性ボーカルを聞かないから。唯一矢野顕子ですかね、CD持ってるの。

ただ夫は、嫌いな音楽、興味のないジャンルはいいところを見つけようともせず遮断してしまうようなところがあり、

私はちょっと残念、というか理解できずにいる。

私が好きな音楽について、特に知ろうと思ってくれているフシもないのが、すこし寂しい。

 

だから、私は実はヴェゼルのCM曲が好きだったけど、言わなかった。

 

そこで、夫のいない間に、PVでちゃんと聴くと。

もしかして、という予感がした。

 

気になるシーンと気になるフレーズがあった。

シーンは、バイクに乗って上半身で踊ってるシーン。

これは説明のしようのないものだけど、一生懸命さというか、どうなってもいいという捨て身感?のようなものを感じ、

フレーズは、

「何のために戦おうとも動機は愛がいい」ということば。

嫌じゃない、いやむしろイイな。好きやな。

 

そこで「藤井風」検索してみた。

どこをどうたどったかは忘れたけど、あのYouTubeのやばいピアノカバー動画たちに行きついてしまった。

 

私もピアノを高校まで習ってたので、あのピアノの上手さとすごさはよくわかるつもり。

指はエレクトーンやってた人っぽい、指が寝てしまってる独特の弾き方なんだけど、

昔のたたき上げで我流のジャズミュージシャンみたいで、そういう弾き方もありかと思う。

なによりちゃんと弾けてるし。

そしてなにより、なによりも、情熱的で圧倒されるし引き込まれる。ただただ自由に弾く楽しさがこっちに伝わる。

色気がある、とコメント欄にも多くの人が書いていたけど、私もそれはすぐに気づいた。

それと、曲ごとに違う人のように見える。

そういう不思議な魅力のせいで、次々見てしまい、

一日で夢中になった。

2日目もまた見てしまい、

3日目にはアマゾンでファーストCDとカバーCDをぽちっと買った。アプリもダウンロード。

夫にも話した。そんなにわかってもらえてないけど。(他に言う人いないから)(あ、海外の友人にラインしたか)。

 

CDが届いてから、いざ聞いてみると、「きらり」とは違う、ずいぶんとゴージャスな音作りで昭和歌謡風をやっていたのに驚いた。

昭和歌謡風、といえばクリス松村さんはこれ聞いてるよね当然、と思い検索すると、案の定。ですよね。

 

私は正直、全体としてどストライクではなかったけれど(やっぱりR&B調の歌いまわしが不慣れで)、

ただ、CDを聞くまで知らなかったお気に入りの一曲がある。

「特にない」。あっさりとした、淡々とした、B面の名曲っぽい曲(B面ていうのがもうアレ)。

これは歌詞も自分に言い聞かせるような言葉になっている。

脳内で再生すると、自分にそう言い聞かせているような状態になり、悟りが近づいてくるように思えてくる。

これは風さん本人がインスタで、Nujabesのこの曲からinspirationを得た、と公表している。

それをまたサブスクで探して聞いてみた。好き好き!教えてもらってありがてえ!

 

そうやって、サブスクやYouTubeの面白さ楽しさを知ることになった。少し世界が広がった。

ひと月もたたないうちに、今はテレビよりよく見ている。

10代20代の若い人たちはこうやって楽しんでいるのか。そらテレビ見なくなるわ。

 

風さんの詞は癒されるとか、いろいろ言われているけど(癒されるという言葉は私は多用したくないと思っている、なんか変な意地で)、

アルバムを通してなにやらすごく「恥じる」という言葉が多いなと思った。あと逆に「胸を張る」。でも「前進」のイメージも多い。「行け未開の地」とか「前に進むしかない道」とか。

たぶん、自分に嘘のない言葉を選んでいるんだと思う。

音楽の道に進む自分に対して戒めたり、未熟だと思うことなどを正直に言っているんじゃないか。そして覚悟を決めているかのような。

何せ若いし、ピアノ弾くのに忙しいし、そんなに恋愛を豊富に経験する時間もなかっただろうし(想像)、これまでのR&Bにありがちな

恋愛模様の歌詞なんか書くとウソっぽくなるだろう。

大人っぽい曲の作りで、色っぽい歌声のわりに、歌詞はとても等身大なんだ、妙に安心した。

 

ただ彼には、動画で膨大な歌を弾き語りカバーする中で、その歌の人生(物語)を自分の中に消化しているようなところがあって、

それが実年齢以上に説得力のある色気となっているように思える。

文学が心を豊かにするように、一つ一つ昔の歌を歌ってきたことが、年齢以上の経験値となって表現を豊かにしてくれているのではと思う(本人は本はあまり読まないといっていた)。

 

多くの人が風さんを「天才」とかいって持ち上げるけれど(いや天才かもしれんと思うけど)、私はあえて冷静でいたい(いやそら顔も曲もかっこいいしかなり好きやけども)。

顔も性格もいい、とか言ってる人、性格は推測でしかないよね?顔もいいし性格もよさそう、くらいにしとけ。

音楽もいい、というのもよくわかる。ファーストも多彩な楽曲が揃っていて、しかもどれも完成度が高くて、少なくともどれかが沼への入口になる。

でも24歳の人間よ。あまり強いたくない。等身大の岡山出身の兄ちゃんでいい。。。なんか天才天才言われたらどんな気がするか、と思うと遠慮してしまう私。。。

 

勝手な希望を言えば、ゆくゆくは山下達郎のように、

確固としたオリジナリティを普遍化できるような、息の長いミュージシャンになっててほしい。

最近は一部でアイドルみたいな騒ぎになってしまっているので、早く落ち着かないかな。別にいいんだけど。。

 

ともかく、私が好きな音楽を自由に聞けばいいんだ、ということを再確認した。

30代までは自分で好きな音楽を探してひたすら聞いていたんだし。

藤井風さんを機に、再び音楽を日常に、もっと取り入れていこうと思う。

あ、おかげさまで、大事な映画の告知をYouTubeで発見して、見逃さずにすみました。前を向くといいことあるね。