明日は歌舞伎座で「義経千本桜」を観ます。
歌舞伎を観るのは今年に入ってから10回目くらいですから、我ながら結構なペースです(苦笑)
少しの贅沢が許されるようになり、歌舞伎のよさも少しはわかるようになり。
大人になるのは悪いことばかりではありませんね。
初めて歌舞伎を観たのは6~7年前のこと。
特に歌舞伎が見たかったわけではなく、「大人のたしなみとして」 一度ぐらい見ておこうか、という感じで彼 (現在は夫) と二人で出掛けました。
少し緊張しながら歌舞伎座に到着。
歌舞伎座のなかに一歩足を踏み入れた途端、日常の喧騒から切り離される分厚いシャッターが、ドシーンと降りました。
もちろん、心の中で。
風格のある建物。
豪華な内装。
華やかな着物姿の女性たち。
初めて見るような数々のお店。
何もかもがきらびやかに見える。
・・・別世界に来たような感じがしました。
そこは、「非日常」の時空間でした。
定式幕が開くと、鮮やかな色彩の舞台が開き、輝かしい役者さんを呆然と眺めたような。
このときは故・団十郎さんが弁慶、菊五郎さんが富樫を演ずる「勧進帳」を観ましたが、歌舞伎を楽しむというよりも、ただただ雰囲気に酔いました。
酔いしれた、というほうが正確でしょうか。
二回目の観劇は、田舎から母が上京してきたとき。
「東京ならではの楽しみを味わわせたい」 と考え、歌舞伎を観に行きました。
故・勘三郎さん、幸四郎さんなどが出演する 「仮名手本忠臣蔵」 でしたが、勘三郎さんの動きの美しさに目を奪われました。
とはいえ、この辺りまではまだ 「『歌舞伎』というものを観れてよかった」 「親孝行ができてよかった」 くらいの感想しか持っていませんでした。
そんなわたしが、歌舞伎の世界に “陥落” したのは、この後に、二つの舞台を観てからのことです。
ひとつめは、渋谷の文化村で上演されたコクーン歌舞伎 「佐倉義民伝」 。主演は勘三郎さん。
劇中にはラップがあったり、現代劇のような演出があったりと、かなり大胆で新しい演出がなされた舞台でしたが、奇をてらった感じはしませんでした。
とにかく面白くて、心からの拍手を送ったステージでした。そして、素人ながら「これはやっぱり歌舞伎だな」と感じた。
このときから、歌舞伎ってなんだろう…と考え始めたように思います。
また、コクーン歌舞伎は舞台との客席との距離がとても近く、間近に役者さんの姿を見たことも大きかった。
役者さんが額に玉の汗を浮かべながら演じる様子に、「ああ、命がけなんだな」 と。その心意気に触れ、グラリと気持ちが揺れました。
ふたつめは、玉三郎さんがお三輪を演じる 「妹背山婦女庭訓」を観たとき。
綺麗とか美しいとかいうよりも、ビリビリっとした凄みを感じました。
この舞台を観終わったあとは、何日もの間、玉三郎さんの姿が残像として頭に張りついていました。
玉三郎さんの舞台は、同じ時代に生きていてよかったなと思わせてくれます。
そうしてついに歌舞伎の世界に「陥落」したわたしは、足繁く通うようになり、今に至るというわけです。
さて、これから初めて歌舞伎を観ようというかたに、わたしから二つのアドバイス。
まあ、アドバイスなんて出来るほどの知識も経験もないかもしれないけれど、知ったかぶりをさせてくださいな。
ひとつめは、劇場についたら「筋書き」を買い、「イヤホンガイド」を借りたほうがいい。
歌舞伎のセリフは古い言い回しが多く、聞いていてもよく理解できないことが多いです。
さらに、演目によっては、肝心の部分をセリフではなく謡(うたい)のなかで説明したりもします。こうなると、わたしなどは全く理解できず、手も足も出ません。
筋書きでストーリーを頭に入れ、さらにイヤホンガイドで解説を聞きながら舞台を観るほうがずっと理解が深まります。これまで、イヤホンガイドを煩わしいと感じたことはありませんよ。
筋書きが1000円ちょっとくらいで、イヤホンガイドが800円(+デポジット1000円。返却すれば戻るお金) だったかな。せっかく高いお金を出して観に行くのですから、もう少しだけお金を払い、内容をしっかりと理解できるほうが満足できると思います。
もうひとつのアドバイスは客席について。
最初の頃、わたしは1等席でばかり観劇していました。たまにしか足を運ばなかった頃のことで、せっかくならいい席で観たいと思っていましたので。
今は月に2~3回は足を運びます。
となると、お財布が傷む。これ真実。
2万円の席を2度も3度も観にいったのでは、夫と二人で塩をなめて暮らさなければならなくなります(苦笑)
そこで、3階席から観てみました。
悪くないです。
客席は、想像していたよりもずっと近い。セリフもよく聞こえます。
役者さんの表情をしっかりと見たいなら、オペラグラスを持参しましょう。
ただし、上の写真がそうですが、舞台に向かって左側(西側)からだと、花道が見えない席があるので要注意。選択の余地があるならば、東側(正面の席ならば、真ん中よりも番号が大きいほう)を選んでください。
3階A席で、1等席の3分の1の値段です。今月でいえば6,000円。B席なら4,000円です。
それぞれの懐事情にもよるし、価値観にもよるのでしょうが、何がなんでも高いお金を払って1等席から見なければ歌舞伎を味わえない、というものではありません。
3階席でも十分に楽しめますから、気軽に見に行ってみることをおススメします。ちなみに、歌舞伎は3階の席から売り切れるのだそう。
なお、この頃のわたしは、月に何度も行けそうなときなどは3階席をとり、「これは」と思う舞台のときは1等席や桟敷席をとるようにしています。
前回の「これは」 は 9月の「陰陽師」でした。
そして、次の「これは」 は12月!
玉三郎・幸四郎・海老蔵 がそろい踏みです。
これを見ない手はありませんからね。
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