本場結城紬1回目の洗い張り | 着物屋さんの中の人

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埼玉県熊谷市にて今年で創業17年になる着物屋の店主です
毎日着物を着て店頭や街中をウロウロしております

私自身が2年前に購入し30~40回着用した奥順さんの本場結城紬をこれから洗い張りします。

 

本場結城紬とは?

本場結城紬の一番の特徴は、真綿から手でつむぎだす糸にあります。
真綿は、蚕の繭を煮て柔らかくして広げたもので、やわらかく、空気をたくさん含むために温かく、とても心地良く優しい素材です。この真綿から人の手で糸をつむぎ出すことで、素材の良さを損なわない、最上質の糸ができあがります。

日本全国に数ある紬の中でも、縦糸・横糸の両方に手つむぎ糸を使うのは本場結城紬だけです。これが、本場結城紬が最高峰の絹織物とされる由縁です。そしてその本質的な上質さは、古来より多くの人々を魅了してきました。(奥順株式会社HPより抜粋

 

洗い張りとは?

仕立てられた着物をほどいて、反物の状態に戻してから水洗いをします。全てほどいてから洗うため、着物のクリーニングの中でもきれいになり、生地が甦ります。

 

 

 

30~40回着込んだ本場結城紬の風合いがこんな感じです。本場結城独特の節はまだ残ってます。

 

 

裾回し(八掛地)がこのとおり、擦り切れてしまいました。洗い張りはこの裾回しの交換が一番の目的です。

 

 

袖口の糸もほつれていました。

 

 

背縫いのお尻部分もピシッと音がして糸が切れました。

 

 

真綿の着物は「育てる着物」です。新品は生まれたての赤ちゃん。着込み続け、洗い張りを繰り返し成長していきます。成長した本場結城紬のその風合いは柔らかく、しなやかになりツヤも出ると言われています。

 

 

今回は1回目の洗い張り。これからどんな成長を遂げるのかを楽しみです。