沖縄に来てから小説などゆっくり読む時間なんてぜんぜんなかったのですが
先日、ふと手に取ったものが沖縄を舞台にしたものだったので
(開いた瞬間、いきなり「ガーブ川」と出てきてビックリ)即買し、即読破。
桐野夏生さんの「メタボラ」です。
避難移住1年目の開放感とか、目新しさとか、出会いとか、
お祭り騒ぎを一通り経験して、
さぁ、じゃこれからどうすんの?と新たな段階に差し掛かっているところで、
この1年で見聞きしたこと、経験したことが本当に
そのままそっくり再現されているかのようなリアルな描写に
背筋が凍りました(汗)
作品中に出てくる、沖縄好きで移住して沖縄に恩返ししたいナイチャーとか
そこに集まる浮遊する若者たちとか、
農連市場のおじぃとかおばぁの本音とか…。
あーいるいる~!という楽しげな感じでは全然なくて
恐ろしいほどの戒めとして感じる部分が多々あります。
これまで桐野作品はほぼすべて読んでいたはずなのに
どうしてこの作品に今頃出会ったのか。
やはり物事にはそうなるべくして導かれるものなのか…。
そう思うと、後ろ向きに考えてしまう瞬間があっても
自分にそれ以外の選択肢はなかったのだと
いい意味で吹っ切って前に進めそうな気がしています。
沖縄の現実に直面したい方、
(それでもまだライトなほうだけど)
どんなに辛くても最後まで読破する根性のある方、
(とはいえ、3.11後の現実のほうがよっぽど過酷だけど)
ぜひご一読を。(とハードル上げてみる)
メタボラ (文春文庫)/文藝春秋
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