卒業式に際して、ゼミ生に以下のメッセージを贈りました。ご笑覧いただければ幸いです。

 

皆さん、卒業おめでとうございます。

 

おめでたい門出に際して、素敵な話は学長などから既にありましたので、私からはチョッと相応しくありませんが、厳しい話をします。私が皆さんに教えて来た事の中で、一番大事な事だと思いますので、よく聞いて下さい。

 

(1)養われる人から養う人へ

人間の一生は、大きく3つに分けられます。こども、現役、高齢者です。こどもは、親や社会に養ってもらっている時期です。現役は、自分だけではなく、こども世代や高齢者世代も養っている時期です。高齢者世代は、自分の蓄えも使いますが、主には現役世代に養ってもらう時期です。

 

これまで、皆さんは、親や世間に養ってもらっていました。これからは、養う側に立つのです。仕事は大変でしょう。苦しい事、嫌な事もたくさんあるはずです。しかし、それが一人前の大人になるという事なのです。

 

一人前の大人になったことを、喜びましょう。これまで自分を養ってくれた親や世間に感謝しながら、恩返しだと思って子育てをしたり税金を払ったりしましょう。老後に自分たちを養ってくれる世間に対して、あらかじめ恩返しをするつもりで、年金を払いましょう。

 

(2)大人は自己責任

高校生から大学生になった時も言われたと思いますが、大人には自由と責任があります。大学生にとっては、勉強するのもしないのも自由ですが、勉強せずに卒業できなければ自己責任だ、という事でしょう。これからは、さらに大きな自由とさらに大きな自己責任を持つことになります。

 

これからは、社会に出るわけですから、仕事でもプライベートでも、重要な選択を迫られる場面が増えると思います。これは大変な事だと思いますが、誰かに決めてもらうのではなく、自分の頭でしっかり考えて、判断して、結果には責任をとりましょう。いい加減な選択をすると、あとで悪い結果になったときに、過去の自分を怨んで生きる事になります。それは大変つらい事です。しっかり考えて判断すれば、あとから悪い結果になっても、運の神様を怨んで生きれば良いので、ずっと気が楽です。苦しいでしょうが、それが一人前の大人になるという事ですから、頑張って下さい。

 

(3)自分への投資を怠らない

今の職場で仕事をきちんとやっていく事が重要な事は言うまでもありませんが、それに加えて少しずつでも自分が成長できて行けたら素晴らしいことだと思います。

 

毎日必ず日経新聞を読む、毎日少しずつ英会話の勉強をする、といった事もありますが、社内外にギブ&テイクが出来る人間関係を幅広く持つことも重要です。いつも他人に何かをしてもらうだけでは、社会人の人間関係は長続きしません。他人に何かしてあげる事も心がけましょう。それ以前に、他人に必要とされる人間になりましょう。難しい事でなくても大丈夫です。たとえば「課長に御世辞を言うとしたら何が良いか」を知っているだけでも、異動して来たばかりの同僚に教えてあげれば感謝されるでしょう(笑)。

 

(4)辞める前に次の仕事を決める

少し次元の低い話ですが、是非とも覚えておいてもらいたい事を御話しします。仕事は、辛いです。嫌な事もたくさんあります。学生時代と違って、嫌な上司や同僚とも付き合わなければなりません。仕事をやめたいと思うことも、きっとあると思います。

 

もちろん、ある程度の我慢は必要ですが、「絶対にやめるな」などと言うつもりはありません。ただ、辞める前には必ず次の仕事を決めましょう。上司と喧嘩して辞表を叩きつけるような事だけは、絶対にやめましょう。上司と喧嘩して辞めたくなったら、上司への怒りを転職先探しのエネルギーにしましょう。そして、転職先が決まったら、堂々と辞表を出しましょう。これだけは、絶対に忘れないで下さい。

 

それでは、皆さんの明るい将来を祈りながら、私の挨拶を終える事にしましょう。

 

本当に、卒業おめでとうございました。