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日銀が大赤字になって、債務超過(資産より負債が多い状態。民間企業なら倒産するような状態)になる、と心配している人が大勢います。たしかに、そういう可能性はあるでしょう。
理由は「日銀は巨額の国債を持っています。将来、金利が上がると日銀保有の国債が値下がりするので、これを時価評価すると日銀が債務超過に陥る可能性があります。」「保有国債を時価評価しなくとも、日銀が銀行から受け入れている準備預金の金利を引き上げざるを得なくなると、保有国債からの受取金利はゼロ(またはマイナス)で、準備預金への支払い金利が嵩むので、毎年赤字が続いて結局資本金より赤字が大きくなってしまう」といったところでしょうか。

しかし、それの何が問題なのでしょうか?日銀が債務超過に陥ったら、必ず政府が増資をして債務超過を解消するでしょう。つまり、日銀単体の債務超過は何も気にする必要はないのです。強いて言えば、日銀の職員が「国民の血税で救ってもらった債務超過会社の社員は給料を下げろ」と言われて困るかもしれませんが(笑)。

「政府が日銀の債務超過を補填すると、政府の財政赤字が増える」というのは、確かにそうでしょう。しかし、大騒ぎする必要はまったくありません。
(1)すでに政府は1000兆円の借金を抱えており、それが1010兆円になったとしても、「誤差の範囲」です。「海の水を一口飲んだから海の水が減った」といった議論です。もちろん、財政赤字が大きな問題であることは疑いありませんし、それを別の機会に論じる事は意味がありますが、日銀の債務超過を単体で論じる事には意味が無いのです。
(2)日銀が債務超過になる理由は、政府に低利で貸出している(低利の国債を保有している)ことです。つまり、その分だけ政府は利払い負担が軽減されているのです。したがって、日銀が債務超過に陥って、政府がそれを増資で補ったとしても、「本来利払いとして支払うはずであった金額を増資として支払っただけ」なのです。

そもそも政府と日銀は連結決算として見るべきで、単体の決算は意味がありません。日銀の独立性というのは、「政府は金融政策に口を出さない」ということであって、財務的には一心同体であることは疑いないのです。
日銀が債務超過に陥れば、政府が絶対にその分を穴埋めします。そこまで行かなくても、日銀が赤字になれば、政府への納付金が無くなりますので、政府の収入がそれだけ落ちることになります。
バランスシート面でも同様です。日銀が民間銀行から国債を購入すると、民間銀行の政府への貸出(国債の保有)が民間銀行の日銀への貸出(準備預金)になるだけで、何も変わらないのです。この点については、「ヘリコプター・マネー」などという奇妙な議論をする人がいますので、別の機会に論じたいと思います。




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