社会・経済ニュース ブログランキングへ


〔就職は人生の一大行事〕
就職は、人生の一大行事である。まず、その事をしっかりと認識して欲しい。就職活動は面倒であるし、時間も金もかかる。しかし、就職活動の結果次第で生涯所得が何百万円も何千万円も異なるのだと考えれば、そのコストは決して惜しむべきではない。

学生から、「会社説明会があるが、出た方が良いか」「OB・OG訪問はした方がよいか」等々の質問を受ける事がある。それに対する私の答は、「しない方が良い理由があるのか?」である。「面倒だから」などと言う理由は、何千万円の生涯所得を懸けた戦いの最中に口にすべき事ではない。

「一生に一度だけ本気で頑張る」とすれば、それは就職活動の時期である。就職活動に失敗してからどんなに頑張っても、生涯所得はそれほど上がらないし、就職活動に成功してからある程度気を抜いても生涯所得はそれほど下がらないからである(気を抜くといっても、常識の範囲内で!)。

〔1年生から自分を磨く〕
よい就職をするために重要なことは、第一に自分の「商品価値」を高めることである。スポーツでも勉学でも、何かに打ち込むことで、就職戦線に於ける学生の商品価値は必ずや上昇するであろう。就職試験で頻繁に聞かれる質問に「学生時代に打ち込んだ事は何か?」がある。これに対して「学生時代は何となく過ごしていました」と答えるようでは、大減点である。アルバイトは、他人と同じ事をやったのでは得点にはならない。得点するためには「新聞配達を3年間続け、雪の日も嵐の日も朝の3時に起きて新聞を配りました」というような特別の努力が必要であろう。

もっとも、運動部にはいるのは大変だし、新聞配達も辛そうだし、勉学に打ち込んでも結果が出なければアピールには使えない、と考える人もいるであろう。そうした人は、たとえば、ボランティア活動に参加してみよう。そうすれば、積極的に行動する人物である事、他人のために尽くそうという優しい心を持っている事、などを面接官が推測してくれるはずである。ボランティアを経験すれば、新しい発見があるであろうし、視野が広がって面接時の会話に広がりが出るという効果も期待出来るであろう。

学生から、「銀行を受けたいが、どんな資格をとっておくべきか」といった質問を受ける事がある。これに対する私の答えは、「何でもよい」である。銀行に限らず、多くの企業は学生が取得している資格をそれほど重視していないからである。企業が新卒採用をする際には、「今、何が出来るか」よりも「鍛えれば育つ可能性があるか」を重視する。これを「ポテンシャル採用」と呼んでいるようだ。

したがって、何であっても、難しい資格ならば価値がある。難しい資格をとっていれば、「学生時代は資格取得のために頑張りました」と言えるからである。採用担当者は、「この学生は努力家で、しかも努力すれば成果が出せる能力もある」と理解するであろう。強いて言えば、銀行を受ける際にファイナンシャルプランナーの資格を持っていると、「銀行志望だったので、この資格を取りました」という「志望動機の立証材料」として使えるかも知れないが、それほどこだわる必要は無い。

就職戦線で嫌われるのはネクラ、無気力、変人であるから、ネクラな性格を転換するといった事も重要であろう。コミュニケーション能力を強化する事も重要であろう。企業が求めるコミュニケーション能力とは、「自分の考えている事を相手に伝える能力」であると同時に、「学生同士ではなく、大人と会話が出来る能力」である。私のゼミでは頻繁に「最近気になったニュースは何か。そのニュースを聞いた感想を述べよ」と要求しているが、その目的の一つは学生のコミュニケーション能力を高めるための訓練という事である。

こうした訓練でなくとも、日常から大人と話をする機会を持つように心がけるだけでもコミュニケーション能力は自然と身に付くので、親でも先生でも知り合いの大人でも、積極的に話しかけるようにすべきである。アルバイトでも、たとえば飲食店の接客などを続ければ、ある程度はコミュニケーション能力が高まるであろう。それを考えると、アルバイトを探す時に、コンビニのレジより飲食店を優先すべきかもしれない。

大卒は高卒よりも給料が高い。それは、「大学時代に学生が成長する」と企業が考えているからだ。つまり彼らは就活生にこう問うているのである。「君を採用しようか、高卒を採用しようか、迷っている。君が4年間に充分成長したのであれば、高い給料を払っても君を採用しようと思うが、どうかな?」。それに対しては、「私は4年間でこんなに成長しましたから、給料は多少高くても、私を雇った方が御社のためだと思います」と言えなければならないのだ。

〔4年次に就活に専念できるように準備〕
次元の異なる話であるが、大学三年までに卒業に必要な単位を出来るだけ揃えておくことは、非常に重要である。就職活動中に講義に出席する事は、大きな負担であるし、取得単位数があまりに少ないと、面接官に「この学生は、内定を出しても卒業できないのではないか」と思われる可能性もあるからである。

就職責任者としては「4年生は勉強などせずに就職活動に専念しなさい」と言いたいが、それでは教育者として問題なので、言い方を変えて「3年間で4年分の勉強をしてしまいなさい」と言うことである。

大学三年の秋までに貯金をしておくことも重要である。就職活動中はアルバイトをせず、就職活動に専念すべきだからである。「少なくとも半年間はアルバイトをしなくても飢え死にしない」ようにしたいものである。半年間アルバイトをしないと、何十万円もの収入を諦めることになる。何十万円という金額は、学生にとっては大金であるから、アルバイトを続けたいと思う人も多いはずだが、何十万円を惜しんだことで「何千万円の生涯所得が懸かった戦い」に負けるような事があっては、一生後悔する事になりかねないのである。

幅広い情報網を持つように心がける事も、重要である。履修登録の時には、どの先生の講義が役に立つか、単位がとりやすいか、等々の情報が非常に重要であるが、就職試験に際しては、会社の雰囲気はどうか、採用試験で何を聞かれるのか、等々が重要である。こうした情報は、公式資料(大学のシラバスや企業の求人票など)には載っていないので、実際にその講義を履修した人やその会社を受けた人などに聞くしかない。直接聞けない場合には、そうした情報を得てきた知人に聞くしかない。すなわち、重要な情報を入手するためには、多くの知人を持つことが重要である。なお、こうした関係は、単なる知人であっては長続きしない。欲を言えば、当方からも有益な情報が提供でき、ギブ・アンド・テイクの関係になる事が望ましい。

〔3年生の「助走」〕
3年生になったら、就職活動の「助走」を始めよう。第一は、自己分析である。自分は何が得意で何が不得意なのか、何が好きで何が嫌いなのか、といった事に加えて、自分はバリバリ働いて偉くなりたいのか普通に働いて普通の生活がしたいのか、東京などの大都市で楽しい事も苦しい事も沢山ある生活を望むのか、故郷などで平凡に暮らすのか、といった人生観についてもじっくり考えてみよう。

助走の第二は、ニュースを見ることである。毎日見るのが大変ならば、週刊ニュースを見ればよい。欲を言えば、面接を意識して「今のニュースを見た感想は、・・・です」とテレビに向かって話しかけるようにすると、コミュニケーション能力の訓練にもなるであろう。

サラリーマンが登場するドラマなども見るようにしよう。ドラマなので現実とは若干異なるだろうが、それでもイメージ作りには役立つだろう。その際大切なことは、自分を登場人物と重ね合わせる事である。課長に怒られている新入社員に重ね合わせたり、新入社員を怒っている課長に重ね合わせたりする事で、会社の仕事がどのように進んでいくのか、何となくイメージできるようになるだろう。

背広を着た中年の男性に「会社」「サラリーマン」といったものについて、話を聞いておくことも重要である。お父さんでも親戚の叔父さんでも友人のお父さんでもよい。話を聞くうちに、会社とはどういう所か、そこにいるオッサンたちは若者のことをどう見ているのか、といった事が何となくわかってきて、大きな失敗をしなくなるであろう。履歴書で書類選考をする人も、就職の面接をする人も、多くはお兄さんでもオバさんでもなく、オッサンだからである。

〔志望先の決め方について〕
志望先を考える際に重要な事は、自己分析である。自分は給料の高い会社で働きたいのか、自分の好きな事に関係した仕事をしたい(たとえば車が好きだから車のセールスマンになる等)のか、人の役に立ちたい(たとえば介護の仕事等)のか、営業がやりたいのか事務がやりたいのか物作りに関わりたいのか、地元で働きたいのか東京へ行きたいのか、自分の人生観を見つめなおして、よく考える必要がある。その上で、目的に合った働き先を探す(たとえば営業系の仕事を探す、あるいは給料の高い会社はどこかを探す)ことである。

社風も重要である。人使いが荒くて休みもとれない会社、ノルマが厳しくて社員が疲れきっている会社、ワンマン社長が威張りまくっている会社、男女差別の激しい会社、などは避けたいものである。しかし、会社のホームページを見ても、社風はわからない。レストランの宣伝を見ても美味いか不味いかわからないのと同じである。したがって、就職課などに会社の評判を聞いておく必要がある。出来れば社員の話を直接聞くべきである。大学のOB・OGを頼って話を聞きに行くことが出来れば、是非そうすべきである。大学の就職課が卒業生の就職先を知っているはずだから、紹介してもらえるように頼んでみよう。会社に直接電話して、「御社の事を知りたい」と申し出てもよいであろう。独自の情報網を用いて情報が得られれば、もちろんそれも活用すべきである。

社員の話を聞いておく事は、社風を知る以外にも大きなメリットがある。それは、履歴書の志望動機を書く事が容易になる事である。「御社の○○さんの御話を伺って、活き活きと仕事をされている様子が手に取るようにわかりました。そこで私も御社で働きたいと思うようになりました。」と書けば良いからである。

もっとも、志望先を選ぶ作業は、それほど真剣に行なう必要はない。大体の方向が決まったら、その方向で100社ほどエントリーをしてみよう。何よりも、数をたくさん受けることである。悩むのは、2社以上から内定をもらってからで充分である。何も考えずに100社を選ぶと、志望動機を考えるのが大変なので、ある程度業種を絞る等の工夫はした方が良いかも知れないが。

それほど興味のない会社でも、とにかく受けてみることのメリットは多い。第一に、内定が一つでもとれれば、フリーターになってしまうという恐怖心から解放される。自分の就職活動にも心理的な余裕が生まれるし、親も安心するであろう。第二に、興味のない会社でも、面接を受けることで本命企業の面接に対、どうせする練習になる。「模擬面接が無料で受けられる」と考えればよいのである。第三に、就職試験は会社と自分の相性なので(後述)、とにかく受けてみて、相手に自分との相性を判断してもらう事が必要だ、という面もある。

ただ、一つだけ絶対に避けて欲しいのは、「全く興味の無い企業を受けたら内定が出た。興味がある企業を100社受ける予定だったが、3社受けた所で疲れたから、内定をくれた企業に行こう」と考える事である。そうした学生は、実に多い。それを逆手にとったブラック企業の話を聞いたことがある。とにかく、受けに来た学生は、ほとんど無条件に内定を出すのだそうだ。じっくり選考するよりも、「他社より先に内定を出す」事が重要だからだそうだ。「ダメな学生は、どうせ自分から辞めていくであろうから、別にしっかり選別して不合格にする必要は無い。優秀な学生の中で何人か、就活に疲れて他社を受けるのをやめて我が社に来てくれれば、これほど有難いことはない」という事のようだ。気をつけたいものだ。

なお、志望先を選ぶ際には、「消費者相手の企業は倍率が高い」という事も考えるべきである。たとえばビールのメーカーは、テレビでコマーシャルをするので、誰でも知っている。そこで、多くの学生がエントリーする。しかし、鉄鋼メーカーはテレビでコマーシャルをしないので、あまり学生がエントリーしない。どちらも大きくて立派な会社なのであるから、後者を受けた方が得である。もちろん、ビールが好きで仕方ない人は、ビール会社を受けるのも良いであろうが、そうした理由が無いのであれば、他の学生の受けない会社を受けるべきであろう。

〔夢に挑戦するか現実路線か〕
公務員試験を受ける、税理士試験を受ける、といった選択もあるだろうが、民間企業との両立は楽ではない。合格の可能性を客観的に判断した上で、夢を追うか現実路線かを判断しよう。公務員試験や税理士試験などは、合格可能性が何となく推測できるので良いのだが、「起業する」「ミュージシャンになる」といった夢の追い方は、成功確率が見えないので、本当に悩むところだ。

夢を追うなとは言わないが、一つだけ気をつけて欲しいのは、起業家やミュージシャンとして成功した人は「学生諸君、夢追いたまえ」という一方で、失敗した人の話は学生に聞こえて来ないという事だ。少数の成功者の裏には多数の敗者がいるのだ、ということをしっかり理解した上で、それでも夢を追うのか否かは、自分の人生観であるから、しっかり考えて決めれば良いであろう。


〔入試と就職試験〕
入学試験と就職試験は大きく異なる。主な違いを二つ挙げよう。

第一は、「入試は点数の良い悪いであるが、就職試験は会社と学生の相性の良い悪いである」ということである。会社によって、学業成績重視のところもあれば、コミュニケーション力重視のところも体育会系優遇のところもある。独創性や積極性を重んじる会社もあれば、それよりも従順な性格を好む会社もある。したがって、二流会社に落ちた人が一流会社に合格するといったことは、入学試験に比べてはるかに起こりやすいのである。異性にモテそうもない人がモテそうな人とカップルを組んでいる例は少なくないが、これも相性の問題があるからであって、就職試験にも似たような所があると考えればわかりやすいであろう。

そうとわかれば、学生としては、受ける前に社風を調べることが望ましい。もっとも、調べてもわからない場合も多いから、とにかく自分を全部さらけ出して、「私はこういう人間です。気に入ったら採用してください」と正直に言うことである。加えて重要なことは、相性の良い会社に巡りあうまで「数を打てば当たる」の精神で頑張ることである。

就職活動に際して大人たちにアドバイスを求める際にも、入社試験が相性であるということは覚えておく必要がある。良識ある大人であっても、人によりアドバイスは異なるかもしれない。たとえば「積極性をアピールしろ」という人もいれば、「従順な性格をアピールしろ」という人もいるであろう。これは、入社試験には正解が無いからであって、どちらかの大人が間違っているというわけではない。面接官に好みがあるように、アドバイスする大人にも好みがあるということである。したがって、その場合には、どちらのアドバイスを聞くかは、学生が決めれば良い。もっとも、複数の大人が同じアドバイスをくれた場合には、是非とも従うようにしよう。

第二は、「入試は与えられた問題を解くだけであるが、就職試験は積極的に自分を売り込むことが必要だ」ということである。入試にも「一芸入試」と言われるものがあるが、自分を売り込むという点ではそちらに似ているのかも知れない。

入試問題は、大学側が一方的に聞いてくるので、得意分野が出るか不得意分野が出るかはわからない。しかし、就職面接は、面接官が履歴書を見ながら質問をするので、履歴書を上手く書けば、面接官の質問を自分の得意分野に誘導することが可能である。そのためには、自分が聞いて欲しい質問は何かを考えて履歴書を書くことであり、そのためには自分が誇れる所、相対的に他の学生よりも有利である面が何であるかを十分に自己分析する必要がある。

〔履歴書の「自己アピール」〕
自分を売り込むための履歴書を書くためには、長所を説得的に示すことが重要である。そのためには、客観的な材料を示すことである。可能ならば、「学生時代、○○に打ち込み、△△の苦労と工夫を重ねたので、××が身に付きました」といった長所紹介ができれば素晴らしい。

たとえば、体育会の運動部に所属していれば、話は簡単である。「自分は運動部で頑張ってきたので、体力と忍耐力には自身がある」と書けばよいからである。そうでない場合、たとえば自らの長所として、たとえば「自分はリーダーシップがある」と書いても、説得力は弱い。自分がそう思い込んでいるだけかも知れないからである。その場合には、サークルの部長を務めている事を記せば、面接官は受験者にリーダーシップが備わっていることを推測するであろう。サークルの部長でなかった場合であっても、せめて「他人から、リーダーシップがあると言われる」という形式で書くようにすべきである。

一般に面接官が嫌うのは、「大学時代を何となく過ごしていた」学生であり、好むのは「何かに打ち込んでいた」学生であるという事を考えれば、自分が行動した事をアピールする事が望ましい。たとえば趣味に「スポーツ観戦」と記す場合には、「好きなチームの試合は全部見る」といった熱意が必要であるが、「野球(地元野球チームに参加)」と記せば、積極的に行動している姿勢は推測してもらえるであろう。

アピールする材料が見つからなければどうするか。20年も生きてきたのだから、自分をよく見つめ直せば、アピールする材料は必ず見つかるはずである。それを信じて、今一度探すことである。それほど素晴らしいことでなくても、「些細な事でも何か書けばゼロよりは良い」という精神で幅広く書こう。就職試験は、ライバルとの競争である。したがって、小さな長所でも、ライバルの長所と比べて少しでも大きければ、それで合格するかもしれないのである。

日本人は一般に自己アピールが苦手である。自慢は悪であるという文化の中で、自己アピールを控えるように教育されているからである。しかし、就職活動には、自己アピールが絶対に必要である。

したがって、履歴書には自己アピールを思い切って書くことにしよう。その上で、良識ある大人に履歴書を見てもらおう。良識ある大人が見て「自慢し過ぎだから控えめに」と言われたら、直せばよいので、言われる前から遠慮することはない。アドバイスを求められた大人にとってみれば、アピールし過ぎの履歴書を削ることは容易だが、何のアピールも無い履歴書では添削しろと言われても何も出来ない。そうした大人の立場も考えた上で、「少し自慢し過ぎかもしれませんが」と言いながらアドバイスを頼むようにすれば良い。

なお、上記から明らかなように、自己アピールは「長所」の欄だけに書くものではない。学生時代に打ち込んだ事の欄に「野球部の練習」と書けば、体力と忍耐力がある事はアピール出来るであろう。たとえば趣味の欄に「マラソン(昨年ホノルルマラソンを完走)」と書いておけば、それも十分な自己アピールである。

その際、他の欄で既にアピールした事を「自己アピール」の欄に書くべきではない。「野球部に打ち込んだことで体力と忍耐力がついた」と書いたならば、「自己アピール」の欄には体力と忍耐力以外の長所を探して書く必要がある。たとえば「キャプテンとして皆をまとめていく仕事をしていたので、リーダーシップが身に付いた」などと書ければ素晴らしいが、キャプテンでなくても、様々な工夫は可能であろう。

〔志望動機〕
履歴書の志望動機欄は、当然ながら、その会社を第一志望としているという前提で、当社に入社したいという熱意が伝わるように書く必要がある。そのためには、各社についてよく調べ、面接官が読んでも不自然だと思われないような理由を各社について考える必要がある。なぜその業界を選んだのか、その業界の中でその会社を選んだのはなぜか、自分の得意なことがその会社で活かせると考えた理由、などを記せれば、説得力は増すであろう。これは手間のかかる作業である。

その会社に勤めている人に会ったことがあれば、「○○さんが活き活きと働いておられるのを見て、自分もこんな会社に入れたらと思うようになったからです」と記せば説得力が増すであろう。会社説明会を聞いて、あるいはリクルーターの人の話を聞いて、という事でもよいであろう。しかし、それが無理ならば、会社のホームページなどを充分に研究して書くべきである。

問題は、第一志望でなく、たいして熱意も感じていない「滑り止め」の企業に提出する履歴書に自分の熱意を示すような志望動機を書くことを如何に考えるかということである。これについては、「本音と建前の使い分け」というものを学ぶ、良いチャンスだと考えるようにしたいものである。嘘をつけと言っているのではない。大人の世界では、「本音と建前の使い分け」「見て見ぬふりをする」といったことが重要になる場面が多数ある。就職を機に、そうした大人の世界の暗黙のルールを学ぶようにすべきだということである。

間違っても、「御社は滑り止めです」などと言わないように。「私は本音と建前の使い分けが出来ない人間なので、入社してから苦労すると思います」と告白しているようなものだからだ(笑)。

〔面接の練習〕
面接の練習は重要である。スーツを着て大人の人に面接の練習をしてもらおう。緊張する経験だけでも、馴れるという意味で大きな価値がある。大人の人に何回も頼むわけに行かない場合には、友人と交互に面接官の役をやることも大切である。その際、「他には?」「それで?」といった質問を何回か繰り返してもらうと、厳しい練習として自分を鍛えることが出来るであろう。

自分が面接官からどのように見られているかを認識することも重要である。スマホの録画機能で自分を撮影してみよう。きっと、自分では気付いていなかった欠点が数多く見つかるはずである。

〔諦めない〕
就職活動は、決して楽しいものではなく、自分との闘いである。それが、君の生涯所得を押し上げると同時に、君を一回り大きな人間に成長させるのだ。

就職活動で最も辛いのは、落ちても落ちても落ち込まず、投げ出さず、受け続けることである。不採用通知は、君がダメな人間だという意味ではなく、君と会社の相性が悪いというだけの意味である。

私は学生に、宝くじだと思って受験する事を勧めている。宝くじは、「どうせ当たらない」と思っているから、外れてもガッカリする必要が無いからだ。「100社受ければ1社くらいは受かるだろう」と思って受ければ、20社や30社くらい落ちても何とも思わないはずだ。いつか相性の良い会社に出会う事を信じよう。

 真面目な学生ほど、「10社続けて落ちたので、疲れました。1週間だけ就活を休ませて下さい」という場合があるが、これは絶対に認めてはならない。マラソンの途中で5分間だけ座って、再び走り出すだけの根性を持っている人は稀であろうから。

今一つ、気をつけて欲しいのは、1社から内定を取ると、そこで就活を終えてしまう学生が実に多いことだ。疲れているのはわかるが、「滑り止め」からの内定を得て、これから「本命」に向けて頑張るべき時に、就活をやめてしまうのだ。実に勿体ない。最後まで第一志望等を目指して欲しい。某ブラック企業の採用担当者の言葉を参考にしてくれたまえ。「受けに来た学生には、全員内定を出す。他社より先に内定を出すことがポイントだ。そのうち何人かは、優秀な学生だが、就活に疲れたと言って、第一志望は受けずに我が社に入社するはずだ」。君がその一員でない事を祈る。

最後に、私の好きな言葉を贈ろう。「努力すれば報われるとは限らないが、それでも努力は惜しむべきでない。努力をしておけば、悪い結果となった時にも、運の神様を怨みながら生きて行けば良い。努力しなければ、悪い結果となった時に、過去の自分を怨みながら生きて行かなければならない。これは非常に辛い事だから」

君の健闘を祈る。


大学教育 ブログランキングへ一番わかりやすい日本経済入門/河出書房新社

¥価格不明
Amazon.co.jp

経済暴論: 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体/河出書房新社

¥価格不明
Amazon.co.jp

老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識/東洋経済新報社

¥価格不明
Amazon.co.jp

初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく/東洋経済新報社

¥価格不明
Amazon.co.jp