KTV投稿作品【チョコレート行方不明事件 ①
】の続きになります。
まだお読みになってないかたは①からどうぞ!
ではでは続きへGO!
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一度、教室に戻ろう
そう思って、階段を上ると踊り場であやねとちづに遭遇する。
「あれ?風早」
「あんたどこ行ってたの?」
「矢野、吉田」
爽子と一番仲がいい二人。
何か手がかりを知っているかもしれなかった。
だけど、
仲がいいだけに聞きづらかった。
どう切り出せば・・・
言葉を捜して迷っていると、
「爽子が探してたよ」
「えっ!?」
ちづからふいにかけられた言葉に、
風早は反射的に顔をあげた。
「なんか大事な話があるとかなんとか」
「大事な話?」
(ま、まさか俺がチョコをなくしたって黒沼知ってしまったんじゃ・・・)
嫌な汗が手に滲んだ。
「妙に神妙な顔してたけど・・・もしかして、あんた、なんかしたんじゃないでしょーね?」
「えっ!」
あやねの言葉にドキッと心臓が飛び跳ねる。
「ちょっと、うちのかわい子ちゃんになにしたのよ!」
「な、なにもしてないって!」
「本当に?」
何もしていない。
するはずがない。
大事にしてる。
誰よりも大切だから・・・好きだから。
(でも、もしも黒沼がチョコをなくしてしまったことを知ってしまったのなら、傷つけてしまったかもしれない・・・)
風早はいたたまれない気持ちになった。
「・・・・」
無言になった風早をみて、あやねが思いついたようににやっと口の端をあげてから、
「まさか別れ話だったりしてね~」
わざといじわるな言葉を冗談まじりに言ってみた。
「えっ!!」
「あははじょーだんよじょーだん・・ってあんた何マジな顔してん・・・あ、ちょっと風早!?」
それに真剣な顔で反応する風早をみて、
あやねは、まさか本当に何かしたのか?と思ったのだが、
言い終わらないうちに、風早が走り去ってしまったので聞く暇もなかった。
「何あれ?・・・爽子と本当に何かあったの?」
凄い勢いで消えた風早の行った方向をちづがあっけにとられながら見送る。
隣にいたあやねが
「どうだろ、でも爽子の様子から察するに・・まあ、いつものアレでしょ。たいしたことじゃないわよきっと」
と、肩をすくめた。
「ああ、なるほど。」
ちづもあやねの言葉で、なんとなく理解したようだった。
***
(とにかく黒沼に謝ろう)
元々、隠したりできる性分ではない、
自分の不注意でなくしてしまったのは間違いないのだから、
正直に話して謝ろうと風早は心に決めた。
全力で走って急いで教室の前までくると、
丁度廊下反対方向に歩いていこうとしている爽子を発見する。
「く、黒沼!!」
その背中に向かって、風早は声をかけた。
「あっ・・・か、風早くん!?」
弾かれたように振り向いた爽子は
足を止め、風早の方に向かって2、3歩歩み寄った。
風早も息をきらしたまま、
爽子に近づく。
「・・・俺・・・」
「私・・・」
向かいあったまま、少しの沈黙ののち、
「「ごめんっ!」なさい」
まったくほぼ同時に同じ言葉を発していた。
「「えっ!?」」
それに驚いて、再び言葉が重なる。
(なんで?黒沼が謝るんだ?)
「黒沼?」
風早は爽子に謝られた理由がわからず戸惑った。
「・・・あの・・これ・・・」
爽子は少し迷いながら、ポケットの中からそっと包みを取り出す。
それは紛れもない、
朝、爽子からもらったチョコレートだった。
青色の包装紙にくるまれた、
ずっとずっと
自分が求め探していたもの――
「えっ!?・・これ・・・チョコ!!・・・ど、どうして!?」
風早は驚きあまり、声が上ずってしまう。
「・・・私、忘れてしまって・・・」
「?」
「朝、風早くんに会ったとき、嬉しくて、慌ててしまって・・・」
何を言っているかわからなかった。
でも、爽子は何か言おうとしている。
風早はとりあえず、何も言わずに爽子の次の言葉を待った。
「本当はこれも一緒に渡したかったの・・・」
そういいながら、爽子は再びポケットから取り出したものを
箱の上に重ねておずおずと差し出した。
「これって・・・」
受け取りながら、
風早はその重ねられたものに釘付けになった。
それは真っ白な封筒だった。
表には、丁寧にきっちりとした文字で
風早翔太様
と書いてある。
「手紙だけ後から渡すのはなんだかとても恥ずかしくて、こっそり風早くんのカバンに入れようかなともおもったのだけど・・・でも、やっぱりもう一度、きちんと一緒に渡したいなってそう思って・・・」
「・・・」
「・・・そしたら、ちょうど師匠が風早くんのカバンから滑り落ちたチョコを拾っていたので」
「三浦が?」
さっきアイツそんなこと一言も・・・
と一瞬思ったが、そういえば、
『あ、言っとくけど、俺は持ってないよ。・・・でも、知りたかったら教えてやってもいいけど』
あの含みのある意味深な言葉はこのことだったのか。
(三浦のやつ、知っててわざと!)
だが、
「本当は風早くんにすぐに返すべきだったのだろうけど、どうしても一緒に渡したくて・・・。師匠から勝手に私が預かってしまいました」
「そっか・・・そうだったんだ・・・」
「さっき、高橋さんから風早くんが何か探してたって聞いて・・・もしかしたら、このチョコなのではないかって・・・本当にごめんなさい!」
爽子の言葉に、風早は
一瞬でそんなことどうでもよくなってしまった。
風早のさっきまでの緊張した心がみるみる緩んでいく。
暖かいものがこみあげてきて、
自然と唇の端が上がっていった。
爽子はそんな風早の様子に気づくことなく、ギュッと両手を握り締めながら
本当にごめんなさーいとペコリペコリと何度も頭を下げている。
「そんな、謝らないで黒沼!!・・・そっか・・・そっかぁ~よかった~~~!!!!」
真相がわかって、とたんに力が抜けるように、その場にしゃがみこむ風早。
「えっ?」
その言葉に今度は爽子が目を丸くした。
「俺、黒沼に嫌われたんじゃないかって思った」
「どどど、どうして?」
「だって、無意識とはいえ、もらったチョコなくしちゃうなんて・・・そんなの彼氏失格じゃん・・・謝るのは俺のほうだよ。本当ごめんな」
「そ、そんなこと!」
彼氏失格だなんてそんなことあるわけないよっ!
両手をブンブンと振って一生懸命否定する爽子は
「チョコくらいいつでも作るよ!!」
そういって、座り込んだ風早を心配そうに覗き込む。
バチッと視線があって、
風早は頬を赤らめた。
「ははっ、ありがと。・・・でも、やっぱり俺にとっては、初めて黒沼からもらったチョコレートは特別だから・・・よかった。また黒沼からもらえて嬉しいよ」
風早はゆっくり立ち上がると、
改めて、受け取ったチョコをまじまじと見つめた。
「このチョコって俺のために作ってくれたんだよね?」
「う、うん、もちろん!・・・あまり美味しくないかもしれないけど・・・」
チョコレートが食べたかったわけじゃない。
(黒沼のだから。黒沼からもらったものだから)
彼女が心をこめてつくったものを危うく失うところだった。
「ねえ、これ、今開けていい?」
もう我慢できなかった。
さっきから、
やっと手にしたその中身を見たくてうずうずしていたのだ。
「あ、ど、どうぞ」
風早は爽子の言葉を聞くや否や、やった!と言って箱の包装に手をかける。
(このラッピングも自分でやったんだろうな・・・)
なんだか手にしたものすべてが宝石のようだった。
解いてしまうのももったいない気がしてしまう。
破れないように丁寧に包装を解くと、
箱をそっと開けた。
箱の中から現れたチョコレートは
想像以上で、
とても手作りとは思えない、
市販されてるものと見まがうほどのもので思わず息をのむほどだった。
「スゲー、これ本当に黒沼が作ったの?」
「う、うん」
反応が気になるのか、
ひとつひとつの仕草をじっと見つめる爽子の視線に
ドキドキしながら、
風早はひとつ取って、口に運んだ。
口の中で
瞬間的に溶けていくチョコレート
「美味しい!!」
今まで食べたどんなチョコレートよりも
甘くて、深くて、おいしく感じた。
おせじじゃなく、
本当に心からそう思った。
「ほ、ほんと?」
「うん!!ほんとほんと!!!ねえ、もう一個食べていい?」
「よかったぁ~!どうぞどうぞ!!」
風早の笑顔を見て、
爽子もうれしそうに微笑む。
「あ、そうだ。これも・・開けていいかな??」
一緒に渡してくれた
もうひとつの宝物。
爽子からのはじめての手紙。
「えっ、あっ・・・それは・・・ちょっと恥ずかしい・・かも」
真っ赤な顔を両手で包んでうつむく爽子に、
「でも、今見たい。ダメ?」
「えっえっとダメでは・・・」
ねだるように爽子を覗き込む風早。
そんな仕草を見てしまったら、
爽子はダメとはいえなかった。
「ど、どうぞ」
「やった!」
そっとその封筒を開く。
几帳面に丁寧に二つ折りになった便箋を開くと
『前略、風早翔太様・・・』
目に飛び込んできた最初の文字を見て、
(ははっ、前略って)
いかにもそれが、爽子らしくてかわいくて思わず吹き出しそうになる。
そして、その先に綴られていた文字に
風早の心がギュッとつかまれた。
『いつも優しくしてくれてありがとう。風早くんのおかげで毎日がとてもとても幸せです。たくさんの気持ちを教えてくれてありがとう。これからもずっと大事にするので、末永くどうぞよろしくお願いいたします。2年分の想いを込めて。かしこ 黒沼 爽子』
あまり多くない文字。
でも、その一つ一つが嘘偽りない本当の言葉。
爽子のまっすぐな性格がそのまま出ている、そんな文章だった。
手紙を読み終わった瞬間、
衝動的に、
風早は爽子の腕を引いていた。
瞬間的にポスッと爽子が風早の胸に収まる。
「ありがとう」
感動で声が震えた。
今まで、
こんなに誰かのことを愛しいと思ったことはない。
大事にしたいと思う気持ちも、
特別だと感じる気持ちも、
目の前にいる爽子だから感じる気持ちばかりだ。
つきあってからもなお、
未だどんどん膨れ上がる気持ちを風早はどうやって伝えていいかわからなかった。
「あわわわわ、か、風早くん!?」
びっくりした爽子が顔を真っ赤にしたまま、声をあげた。
そんな二人の様子を端から見ていたのは・・・
「あ~あ、結局これだわ」
あきれたようにため息まじりに言うあやねと、
「やっぱりな」
それにうなずくちづ、
(しょーた・・・)
その隣で口には出さないまま、無言で龍も見つめていた。
「う~んベリタイム☆」
いつの間にか高橋千草もその場にいて、二人を見ながらフフフと不適に笑っている。
「貞子ちゃん固い固い♪」
と、どこからか健人の声も飛んできた。
「おーい!みんな~いつもの夢みたいな時間だぞ~~~!!」
ジョーが教室を走り回りながら、
廊下の二人のことを大声でふれまわっている。
集まる
2-Dのクラスメイトたち、
そして
いつの間にか増えていた他のクラスの野次馬たちによって、
爽子と風早は囲まれていた。
周りの声を聞いて、
ガバッ
我に返り、
顔を真っ赤にして、
弾かれたように離れた風早と爽子。
そして、
とどめに
「ほぅっ・・・オレ様の授業の前にいちゃつくとは、溶ろけ太君よ~いい度胸じゃねーか!」
風早の背後から低い声がした。
恐る恐る振り返った風早の目に映ったのは
「しょーた!・・・お前今日はとことんつき合わせてやる!放課後また来い!!」
「えっな、なんで!?」
やはりピンだった。
どっと笑い声と歓声が起こる中、
風早と爽子はさらに顔を赤くしたのだった。
【END】
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と、いうわけで
バレンタインドタバタコメディ(?)でした^^;
久しぶりに書いたお話でしたが、
いかがだったでしょうか?(ドキドキ)
楽しんでいただけたら嬉しいです。
現在
KTVのサイトには
他の方の作品がバレンタインのチョコレートのように
たくさんちりばめられています。
鼻血でそうになります。
皆様の素敵作品もどうぞご覧ください。
※追記:
やはり真夜中に書き上げると確認したつもりなのに誤字脱字の数々・・・。
投稿した作中のは直せませんが、こちらのは若干修正させていただきました。
スミマセン><