3月3日はひな祭り!!ですが、
実はあやねのBDだったりするのです!(‐^▽^‐)
ひな祭りが誕生日素敵ですあやねーさん♪
これはその記念に
SLASH 詩麻様の
矢野ピン誕生日企画【inverse】に投稿させていただいたお話です。
ピンの誕生日まで開催されているので
これから続々と素敵な作品が読めるとおもいますので、
矢野ピン好きな方は是非足を運んでみてくださいね♪
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設定は、
高校2年の終わり、
あやねとピンはまだお互い無自覚です。
だけど、少しだけ変わりつつある。
そんな状態を想像してからご覧ください。
それではどうぞ~~~
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あやねは一人憂鬱な気持ちになっていた。
どうも今日はイマイチついてない。
昨晩から雨が降り続いていたせいか、
髪のまとまりがよくなかった。
おまけに肌の調子も悪く、いつもよりも化粧ののりが悪い。
他人は、そんなことで・・・なんて言うかもしれないが、
これはあやねにとっては由々しき問題だった。
(やっぱりパックするんだった)
姉の持ってる高級なパックの一つでもして寝れば、結果が違ったかもしれない。
ハァとひとつため息を吐いて
あやねはイライラとした気持ちのまま
学校へと向かった。
だが、ついていないことはそれだけでは終わらなかった。
朝、一番で出会った人物がこれまた最悪だった。
「あっ!」
背後からやけにバカでかい声がして、あやねは振り返る。
目に飛び込んできた姿
それは、
あやねの担任、荒井一市、通称ピンだった。
「おい、矢野」
そう言って、ピンはあやねにゆっくりと歩みよる。
190cmはあるであろう身長が近づくと、
さすがに威圧感があった。
「なに?」
だが、あやねはそんなことは意に返さず、
あからさまに不機嫌な顔をして、ピンを見上げてキッと睨んだ。
「ん?おまえ、何朝からとんがってんだ?」
「・・・べつに」
特に不機嫌な気持ちをぶつける理由はないのだが、
あまりにも悩みがなさそうなノー天気な声で言われると、
ついイラッとしてしまう。
「じゃあね」
そのまま横を通り過ぎて教室へ行こうとしたとき、
ふいに、ピンに
腕をガシッとつかまれた。
「なによ!」
振り向いたあやねに向かって、
妙にピンがまじめな顔になる。
(え?)
一瞬、戸惑うあやね。
「お前あとで職員室に来い!」
いつもなら、風早あたりに向けられるであろうお決まりのセリフが、
今日はなぜか自分に降りかかってきたのだ。
「はっ?なんでよ!?」
つかまれた腕を振り払いながら、
あやねは声を荒げる。
「いいから来いよ!」
そう言い残すと、
ピンは鼻歌まじりにそのまま逆方向へと歩き出した。
「ちょっと、ピン!!」
背中に向かって叫んだが、ピンは振り返ることなくそのまま姿を消した。
一人取り残されたあやねは釈然としない気持ちのまま、
イライラをさらに募らせた。
教室にかばんを置き、
爽子やちづと挨拶を交わしてから、
あやねはピンの元へ行くため、仕方なく職員室へと続く廊下を歩いていた。
(あ~あ、最悪・・・)
歩きながらピンからの呼び出しの理由を考える。
思い当たること・・・は実はひとつある。
この間のテストの結果が思いのほか悪かったのだ。
特に自分でも自信のあったはずの数学が落ちてしまっていた。
(やっぱ、あのことか?)
それに・・・。
さっきの教室で会った爽子とちづの様子も気になった。
気のせいか、妙に自分に対して、遠慮がちというか何かを隠しているような距離を感じた。
(あたしがイライラしてたから?)
近寄りがたい空気でも出していたのかもしれないと、
あやねは自分の態度を少し後悔した。
(あ~~もう何やってんの・・・)
鬱積とした気持ちを抱えたまま、
「失礼しま~す」
重い足取りで職員室の扉を開ける。
「おっなんだ?なんか用か?」
入るや否や、
ピンがニヤリと笑いながらこちらを見ていた。
「なんだじゃないでしょ?呼び出したのはそっちじゃない!」
あやねはその言葉にカチンときながらも、仕方なくピンの傍まで行った。
「冗談だよ冗談。お前ほんと今日とがってんな~。そんなトゲトゲしてるとろくな彼氏できねーぞ」
「よけいなお世話よ!そんなこと言いたくて呼び出したなら帰るわよっ!!」
クルリと背を向けようとしたあやねに
「まあ、待てって」
ピンがとりあえず座れと隣の席を指差した。
ここまで来て何も聞かずに帰るのも釈然としないので、あやねはしぶしぶその指示に従い座る。
「・・・どーせこの間のテストのことでしょ?」
「テスト?」
「・・・数学下がってたし」
用件ならわかっているからとっとと済ませたい。
そう思って言ったのだが
「別にんなことで呼び出したりしねーよ」
ピンからは意外な答えが返ってきた。
「えっ?」
あやねは驚いた顔をしてピンを見る。
「そもそもだ。テストなんてのはな、大まかな自分の目安くらいに考えとけばいいんだよ。点数ばっか気にして中身頭入ってなきゃなんも意味ねーしな。あんま考えすぎると俺みたいなスゲー奴にはなれねーぞ!」
ガハハと大声で笑うピン。
「・・・あたしは別にあんたみたいになりたいわけじゃないけどね。」
本当にこれでも担任か?とあやねは半ばあきれてジト目でピンを見た。
だがこの担任、
たまに根拠のあるんだかないんだかわからない、妙に説得力のあるセリフを言うからあなどれない。
「とにかくだ!過ぎちまったことをクヨクヨ気にするだけ時間の無駄だ、やめちまえ。今回ダメでも次があんだろ?」
「まあ、そうだけど・・・」
なんでか妙に納得してしまう。
ピンのペースに巻き込まれるのなんてご免だと思ってるはずなのに。
「おまえって見た目と違って結構細かいよな~」
「見た目とちがってはよけいだってば」
そしてあんたは担任のくせに気にしなさすぎ。
ひとつツッコミを入れた後、
「・・・じゃあ、呼び出したのは何よ、まさか雑用押し付けようってんじゃないでしょーね?」
「あのなー俺様のことなんだとおもってんだよ」
「・・・」
世界一いいかげんな担任とか?
そう思ったがこれ以上ツッコムのもバカバカしいので
あやねはとりあず心の中だけにとどめておくことにした。
それから、
しばらくの沈黙の後、
ひとつ咳払いをしたピンは、
「用件はな、なんていうか・・・これだ」
ちょっと気まずそうにしながら、頭を掻いて、おもむろに自分の引き出しをあけて何かを取り出した。
差し出されたものを見て、
あやねの目が点になる。
「・・・・は?」
「だからこれをやるっていってんだよ!」
ぶっきらぼうにピンから手渡されたものにあやねの視線は釘付けだった。
「・・・・・」
「おい、なに黙り込んでんだ?」
ピンから手渡されたもの。
それは
カラフルな紙に包まれた小さなアメ玉だった。
しかも1個。
予想外のものを渡されてしばしあやねの思考が停止していたのだが、
「・・・・・あのね!あたしはアメ一個のために呼び出されるほど暇じゃないのよ!!」
怒りがフツフツと沸いてくる。
「なんだよ、1個じゃものたりねーのか?ったくしょーがねーなー、じゃ特別にもう1個やるよ。ほれっ」
さらにあやねの手の上にもうひとつアメ玉が増える。
「そういう意味じゃないってば!」
それを強くにぎりしめながら、
ガタッと立ち上がる。
「んじゃ、出血大サービスだ!これ全部やるからよ、とりあえず受け取れ。用件はそれだけだ」
ピンはそういったあと、
引き出しにあったほぼすべてのアメを一掴みして、あやねの上着のポケットに半ば無理やりねじ込んだ。
「ってなにすんのよ!・・・もしかして、マジでこれだけなの!?」
「ああ」
「し、信じらんないっ!」
来るんじゃなかった!
一刻も早くその場を立ち去ろうと、
ドカドカと職員室の扉の方へと歩いていく。
その背中に向かってピンの声が飛んだ。
「とりあえず、今日はおまえのアレだしな、去年のアレとイロイロ込みだ!いいか?これでちゃんと返したからな!!・・・あと、今日ぐらいおまえ素直になれよ、おめでとさん。」
「全然めでたくないわっ!!」
「ちなみに俺様は7月25日がだな・・・」
「知るか!!」
ピンの声をさえぎるようにそういって、
あやねはその場を立ち去った。
「・・・ったく、なんだってのよ!・・・時間の無駄だった!!」
本当に話せば話すほどわけのわからない教師だ。
あやねが今まで出会ったことのないタイプの、いい加減な俺様教師。
ピンといると落ち着かない。
話していると自分のペースまでもがかき乱されてしまってどうにも調子が狂う。
しかも、なんだかんだでなんとなく自分の中のすべてを見透かされているような気になり、
心がざわつくのだ。
(今日はあたしのアレ?去年のアレとイロイロ込みって何?アレアレばっかでわけわからん!おめでとさんって・・・ほんとなんなのよ!!)
それに・・・。
大量のアメを詰め込まれて妙に膨らんでしまったポケット。
(いったいこれどうしろっつーのよ!)
と、
怒りが収まらないまま、
廊下をズカズカと早足で歩いていたあやねの耳に、
すれ違った女子生徒の声が飛び込んできた。
「そういえばさー今度、彼氏がホワイトデーにさ~・・・」
その言葉を聞いて、あやねの足がピタリと止まった。
(ホワイトデー?)
あやねの頭に瞬時に浮かぶピンとの会話
(『去年のアレ』って・・・)
覚えがあった。
去年クラス替えがある前に、
あやねがピンに渡した賄賂のバレンタインの義理チョコ。
まさかこれがあのお返しだとでもいうのだろうか。
しかも1年遅れで。
(・・・まさか・・・ね)
にわかに信じられないけど、でも思い返せばあの時のピンはちょっと照れくさそうにしていた・・・気がしないわけでもない。
(あげたものに比べたらはるかに安すぎるお返しだけど・・・)
あやねはしばらく考え込んでから、
手にあったアメ玉の包みを
クルクルと解いて
その一つを口の中に放り込んでみた。
「うわっ・・あまっ」
キャラメル味のアメが口の中いっぱいに広がった。
そのアメに溶かされるように、
なぜだかイライラしていた気持ちが治まり、
あやねの心も不思議とスルスルとほどけていく。
「ったく・・・」
(わかりづらいのよ。しかもホワイトデーってまだ先だし・・・でも・・・)
これがピンの言う”去年のアレ”だとしたら、
もう一つの疑問が残る。
(じゃあ、『今日はおまえのアレだから』ってなに???)
そして、その直後、”おまえのアレ”が判明することになった。
教室に入るや否や、
「あっ矢野ちん!」
「あ、あやねちゃん!!」
ちづと爽子が後ろ手にしてあるものを隠しながら顔を高揚させて、
戻ってきたあやねを出迎えたのだ。
そして、
口をそろえて
「「ハッピーバースデー!!!」」
そう言いながら、後ろに隠していたプレゼントをあやねの目の前に差し出した。
「おめでとうあやねちゃん!」
「矢野ちんおめでとう~!」
「えっ?あれ???・・・あ・・・そっか・・・今日・・・」
差し出されたプレゼントを受け取りながら、ポカンとしたままどこか他人事のようにあやねはつぶやく。
(それで・・・)
ようやく何もかもが納得がいった。
朝来たときに、妙に二人がソワソワと自分に隠すようにしていた理由も。
そして、
ピンのあの言葉の意味も――
「あははは、なんだよ矢野ちん忘れてたの?今日誕生日じゃん!」
「あやねちゃんお雛祭りの日に誕生日だなんて、素敵だなぁ~」
爽子とちづの声に反応した風早が駆け寄ってきた。
「えっなに?矢野、今日誕生日なの?おめでとー!!」
そして、近くの席に突っ伏して寝ていた龍も顔をムクリとおこし、
「おめでとう」
ボソッとつぶやいた。
「何?矢野の誕生日だって??めでてーじゃん!!」
風早の声に反応したクラスメイトがそれにつられて口々に
おめでとうの大合唱になった。
ふと、再びピンの言葉がよぎる。
(おめでとさんってそういう意味だったのか・・・でも、なんで知ってるの?)
担任だから当たり前なのか?
でも、そんな細かく生徒のことを覚えているようにも見えない。
(聞いたらたぶん、『俺様の知らないことなんてないぜ!』とか言ってはぐらかしそうね・・・。)
あやねはこらえきれずに
ふふふと声に出して笑う。
朝の髪のまとまらなかったことも、化粧ののりが悪かったことも、
そんな些細なことは、もはやどーでもよくなっていた。
なんだか気持ちがとても軽い。
「???何笑ってんの?矢野ちん」
「あやねちゃん??」
「あ、ううん、なんでもない。ありがとう。すごい嬉しいわ」
今までこんな風に大勢の人から、おめでとうと言われたことなどなかったあやねは
少し顔を赤らめ、恥ずかしそうにそれをごまかすかのように、
そっと髪をかきあげた。
そんな
あやねの様子を見て、爽子も笑顔になる。
ちづも、矢野ちんが素直だと変な感じだな~と言いながらも嬉しそうに、ニカッと笑った。
二人からもらったプレゼントを開けながら、
しばらくワイワイと盛り上がっていると、
気がついた時には、あやねの口の中にあるアメはいつのまにか溶けて消えてなくなっていた。
しかし、
ポケットの中にある数個のアメがあやねの手によって包まれている。
(イロイロ込みにしては安すぎるっつーの)
あやねは心の中で、不器用なわかりづらい担任の優しさにクスリと笑った。
(7月25日ね・・・)
さて、このお返しどうしてくれようか?
ポケットの甘すぎるアメをまた一つ取り出して、口の中に放り込みながら
あやねはあれこれ策をめぐらせるのだった。
【END】
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矢野ちん誕生日おめでとう!
ということで書き始めたんですが、
ピンがざっくりホワイトデーまでとまとめてくれちゃって^^;
あんまりラブな感じではないのですが、
なんとなくお互い”無意識な特別”という感じが伝わりましたでしょうか?
冒頭でもご紹介しましたが、
SLASH 詩麻様主催
矢野ピン誕生日企画inverseはまだまだこれからうひょーってなるお話が
続々掲載されていくとおもいますので、
矢野ピン好きな方はスキップしてGOです!
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素敵な企画に参加できて本当に嬉しかったです。
詩麻様ありがとうございます^^
最後まで読んでいただきありがとうございました。