「……えっと、私たちからも一言いい?」

今度はミヨンさんとオードリーが立つ。


「ジン、祈里さん。

おめでとう。」


「「ありがとうございます」」


「先生、祈里さん。

……おめでとうございます。」

オードリーも続いた。


「これは僕とママから、2人に……」

受け取ったのは、小さな真四角の額縁。

私には向日葵、ジンさんには赤薔薇。

お互いの誕生花の刺繍。


「ありがとう。

ドレスやタキシードだけじゃなく、こんなに素敵な物まで……」


「ふたりはずっと幸せに、そして仲良くしていてね。

……たまに雑巾がけ競走もして、絵も教えて欲しい。

僕の友達でいてね。」


「ああ」「……勝てるまでがんばる」


「……2人には色々とお世話になってばかり。

迷惑掛けたのに、オードリーや私を友人としていてくれてありがとう。


これからも、仲良く。

末永くお幸せにね。」


「はい」「ああ」



「……ほらっ!」

見ると、ユナさんに背中を叩かれて何かを急かされている村雨さん。


「あの、えっと……」

しぶしぶその場に立ち上がる、村雨さん。

顔が赤い。


「……村雨からはいいよ。

なんだか、気まずい……」


「…気まずいとはなんですか?」

急にいつもの口調に戻った村雨さん。


「一番近くにいて、一番一緒にいたんだ。

言わなくても、言いたいことはなんとなくわかる……」


「なら、敢えて言わせていただきます。」


「……はあ。」

ジンさんは大きなため息をついた。


「ソクジン様、祈里様。

ご結婚おめでとうございます。」


「ありがとうございます。」「ありがとう」


「私からは……。」


……?


「多くは言いません。

ただ、お二人がこのように友人たちと、このような式を挙げられたことは、心から嬉しい。


我々はソクジン様の、あの屍のような頃を知っています。

だからこそ、今日というこの日、そのような笑顔が見れることが、本当に嬉しいかぎりです。


祈里様。


どうか、この方のこの笑顔を失わずに居てください。」


「はい。」