二人を生んですぐに
火葬の手続きが始まった。


慌ただしかった。


悲しかった。


記憶に残らないほどに。


残っている記憶は


「赤ちゃんの骨は残らないので
一番小さな骨壺と双子なので
少し広めの棺を用意しましょう」


だった気がする



部屋に戻るとなっちゃんとりんちゃんが
服を着てかわいく帰ってきていた。


服とおそろいのバッグもあった。


看護師さんは


「このバッグはひかりさんが
持ってて良いんですよ」


そう言ってくれた。


不思議なことに何時間でも二人の姿は見ていられた。


幸せな気持ちになった。


出産したらただ辛いだけかと思っていた


不思議だけど二人に会えたことで
明らかにわたしは幸せをもらえた


こんな大きな愛もらったことがない


そう思ったし


絶対自殺なんかしちゃいけない


とも思った


双子のために生きなければと思った。


看護師さんたちも何人も見に来てくれて


「顔かわいい!お母さんそっくり!」


そう言ってくれた。


みんな優しかった。本当に。


沐浴をしたり、足型をとって
カードで飾りつけをして物としても残した。


幸せな時間だった。


忙しい合間を縫って
看護師さんたちはずっと遊びに来てくれた。


とっても大きかったお腹も
嘘のように軽くて
陣痛止めの副作用がない体も
とても楽に思えた


何より双子が愛しかった


そして。無事に退院日を迎え、

なっちゃんとりんちゃんの
へその緒たちももらい
久々に外に出た

少し季節が変わっていた


そして見るもの全てが変わっていた


なっちゃんとりんちゃんと出会う前と
何もかも違って見えた


こんな中で生きるのきついな


そう思った。


火葬まで毎日なっちゃんとりんちゃんの顔を見に
保管されているところに通った。


家に連れてこなかったのは
夏だったから
身体が痛むのが可愛そうだった。


綺麗なままお空に返したくて。


二人ならさみしくないだろうし、と思って。


久々の家も苦しかった


二人との思い出がありすぎた。


あれもこれもどれも。


全部が二人との思い出になっていた


世界が変わって見えていた